キャリアコンサルティング技能検定の

実技面接試験を受検される方同士等での話題のひとつに、

 

《あれだけの短い面接時間の中では何にもできないよね…》
 
というようなお話しがあります。
 
2級であればキャリアコンサルティングのロールプレイは20分間。

1級であれば事例指導のロールプレイは30分間。
 
この限られた時間の中での実技面接試験です。
 
時間が短いかどうかは人それぞれの感じ方があると思いますが、
確かに実際の面接の時間として余裕のある時間だとは言い難いかもしれません。
 
この決まった面接時間の枠の中での受検者のかかわり方や働きかけ方によって、
 
相談者や事例相談者が如何に自己の問題を自覚することができ、
自ら解決の糸口を見つけ、自律的な行動変容に繋げることができるのか、
 
こうしたことを展開していく必要性があるのです。
 
 
《とりあえず検定では目標設定とその共有化が出来れば大丈夫。
あとは口頭試問でカバー出来るから…》
 
《終了した時、事例相談者が笑顔になっていれば大丈夫。
とにかく関係構築が出来ればいい線いってるはず…》
 
等々。
 
根拠のない様々な憶測でお話しをお聞きすることがあります。
 
結果論として、
確かに面接展開がうまく出来なかったとしても、
中には上記のような面接内容で、
実技試験に合格されている方もいらっしゃるかもしれません。
 
しかし、
そうしたことに期待して、何とかそこに行き着くような気持ちで検定試験に臨んでも良いことはないかと思います。
 
基本的な姿勢や態度を大切にしながら、
関係構築、問題把握、目標設定、手立ての共有と実行、振り返り(自己評価・相互評価)
という面接過程を展開していくことを念頭に入れて実技面接試験に臨んだ方が良いと思います。
 
面接を展開するために根底にある技術は何と言っても傾聴です。
 
傾聴と言っても様々な技法があり、
単に話し手のお話しを聴いていればよいということではありません。
 
カウンセラーとして駆け出しの頃に傾聴は
《とにかく聴くこと》
だと教わってきた背景があるかもしれませんが、

カウンセラーを養成する講座等では、
相談者のお話しを聴くための姿勢や態度を大切にすることの重要性等、
来談者中心療法の入口/基礎を教えていく必要があるからこそ、
「傾聴=とにかく聴く」と指導されているのだと思います。
 
その基本的なことだけに留まることなく、
自身の傾聴スキルの幅を広げていくことや、
応用的な技法等を知り深く学び続けて、
初歩的なものから脱皮してひとつのやり方だけではなく、様々な傾聴の技術を習得していくことが重要です。
 
例え、
話し手が面接の場で幾分気持ちが良くなって安心したところで、
問題解決のための手掛かりすら具体的に見えなければ、
面接の帰り道、ふと…

《さっきの面接は何だったのだろう…??》

と話し手はその時間に価値を見出せずに振り返ってみても何も残らないものになるかもしれません。

すると、面接終了後は笑顔だったけれども、
結局、次回約束した日に来談しなかったということになるのでしょう。
 
話し手と聴き手との間で意義のある時間を過ごせた場合は、
面接の帰り道、話し手自身が自分の中で色々と意味深く振り返ることができるものです。
 
私たちはきちんと考えながら聴く必要があり、
また、限られた時間の中で面接を展開するためにも関係を如何に早い時間で構築しているかが大切なことかと思います。
 
ここでは1級キャリアコンサルティング技能検定の
実技面接試験でのロールプレイを基にして記事を書きます。
 
事例指導者は、
事例相談者と向き合い、
決して自分を優位にしてはいけません。
 
検定試験であるという意識が、
気づかぬうちに落ち着きのない態度をとっていたり、
(例えば体を揺すっていたり、ペンをいじっていたり…)
また、
事例相談者のお話しを肯定的に受け止めて共感をしているつもりが、
実際は心ここにあらずのような表層的な対応になっている場合もあり、
心が事例相談者に向いていない状態になっていることも多いと思います。
 
事例指導者からの言葉以上に、
その表情や身振り手振り等から発せられる非言語の影響は、
関係構築のほとんどを占めるといっても過言ではありません。
 
そうした対話技法を考えていない行き当たりばったりの面接では厳しいと思いますので、
現場で起こり得る空気感を大切にしたいものです。
 
対応力というものは、
相手ときちんとした対話が出来て成り立っていくものです。
 
事例相談者が事例を説明してくれる中で、
私たちはそのお話しをしっかりと傾聴することが出来、
同時進行で、
事例相談者がどのように相談者支援をしていこうとしたのか、
関係構築、問題把握、目標設定、手立ての共有と実行、振り返り(自己評価・相互評価)の過程をベースにマインドマップをイメージしていく要領等で整理することが出来れば、
事例相談者の自己理解が進んでいきます。
 
こうしたプロセスを経ていくことが傾聴技術のひとつであり、
また事例を概念化することに繋がるのです。
 
事例相談者の相談者への対処内容について、
キャリアコンサルティングの面談プロセスに重ねていきながら、
事例相談者のその時々の思考や感情等を理解していくワークを行いつつ、
事例指導面接そのものの進め方自体も、
上記面談プロセスにそってレイヤーして進めていくという技法を使い指導効果を出します。
 
30分間の中で事例を通し、
より適切な面接にするためにはどうすればよかったか、それは何故か、
どのような面接の展開が考えられるのか等を事例相談者自身で仮説を立てて見立てながら説明出来るところまで展開することが事例指導では重要です。

結果、事例相談者は次のお仕事から、
『今度はこうしてみよう!』
『この点を意識してやってみたい!』
等、やる気になっている状態で面接が終了できることが必要なのです。
 
CVCLABの1級実技面接講座では、
こうしたことを展開出来る指導レベルキャリアコンサルタントを目指し、多くの方々とご一緒に学んでいます。