1級キャリアコンサルティング技能検定試験に挑戦する準備を着々と始めている方も多いと思いますが、
その内容が試験対策だけに終わらないようにしたいものです。
「試験に出るからやらなければいけない」
というような考え方ではなく、
今担当している、
又はこれから出会う相談者への支援や、
相談者の支援を行う事例相談者との学びに役立てたいと考える力がある方が良いです。
それが実技検定試験の場で、
普段の自分の仕事(本当の自分の姿)を魅せることができる受検者になるのかもしれませんね。
ここで事例相談者への指導と書かず、
あえて事例相談者との学びと表現したのは、
事例相談者の人格や価値観などに基づく支援のあり方や考え方等をリスペクトしていく姿勢が事例指導者にはとても重要であるからです。
事例指導者が指導者と表現されているから優位であるとか、
指導すべきであるという考え方やその文化的なものから離れられないと、
そこにはどうしても限界が生じて、
結局のところ事例相談者のためにならないどころか、
その向こうにいる相談者のお役に立つことにはなりません。
このお話しはまた近く記事にいたしますが、
事例指導面談は、
事例相談者と学習同盟を結ぶというイメージで考えてみていただけたらと思うのです。
さて、お話しは戻ります。
試験に合格するためにやらなければという考え方ではなく、
今後のキャリアコンサルティングや事例指導面談の質を高めるために学ぶという、
そうした使命感というか、
責任感のようなものが具体的な行動に出せることは、
キャリアコンサルタントにとって重要な姿勢であると様々な場面に遭遇するたびに思います。
なお、ここで書いていることは、
私自らを奮い立たせるためにも、
このような課題をもっているということを表現しています。
お読みいただける際には、
諸背景を含めてご理解いただけたら幸いです。
今回の記事では、
本来実務で直面していることが多いことでありながら、
キャリアコンサルタントの方が意外と弱い一面があるのではないか…
と思われる一部の知識と技能について取り上げ、
私のひとつの見方として記事を書いてみます。
働く人やこれから働こうとしている人への支援を検討する場面が当然にあり、
すると、
企業組織等と個の関係性について、
法令的な見解などの理解も深めていくことは当たり前なのかもしれません。
ただ心理的アプローチだけを行っているだけでは、コンサルタントとして足りないことになるかと危惧します。
企業組織の仕組みや労務管理等はよくわからない…
ということでは、
これから働く人へのサポートが一部でしかできず、浅く幅の狭い支援になります。
最低限、
基本的な労働法分野の理解と最新知識の活用が必要になります。
キャリア形成支援を要する相談者は、
自ら働く組織の環境などに悩まされて、
当然にそこには労使に関する問題や不利益が根深く複雑に絡み合っています。
知識さえあれば解決の糸口になるものがあるにもかかわらず、
これに気付くこともなく、
どうすれば良いのか、身動きが取れなくなっている人がいます。
しかも労働法分野は社会情勢の変化等に合わせての法令の数と変化が激しい世界です。
キャリア形成支援の専門家としてのキャリアコンサルタントが、
《労働基準法や労働安全衛生法等に弱い》
《私の領域じゃないから…》
などと考えて、
試験対策用だけに過去問とページ構成の薄い参考書だけで勉強しているのでは現場で大変なことになります。
もし、これを読んでいて、
《特に労働法などの知識がなくとも、
私の現場は特に大変なことにはなっていない》
というように認識している場合、
もしかしたらただ気づいていないだけなのか、
はたまた現実から逃避してしまっているのか、
という一面があるかもしれないのです。
本当は相談者の問題にそのようなことがあっても、
その話題や問題自体を、
キャリアコンサルタント側が無意識か意識的に敬遠してしまう面談の流れになっているケースがあります。
これでは業界が指摘している質の向上にマッチしません。
例えば、労基法や安衛法など、
せめて社労士試験の基本テキストに掲載されている判例や基礎的なものだけでも常にアップデートしておくことは労働基準監督署等と連携を取るときでも共通認識としてもベースになるかと思います。
私たちキャリアコンサルタントは、
相談者が個々で多様な価値観を持っていることを認識して学びを続けています。
その意識があるのであれば、
キャリア支援のあり方に様々な基礎的知識や技法等を含めて、
多様性がある事が必須になるかと思います。
これは心理職(公認心理師を目指す)方々も実践勉強の中で取り入れている考え方ですが、
特にキャリアコンサルタントは、
相談者が自己のキャリア形成について自律的に行動できるようなかかわりを持つ役割を担っており、
実際に実践するのは相談者となるわけですから、
相談者の人格や価値観に見合ったキャリアコンサルティングが提供される事が大切であり、
また、
相談者がその戦略を主体的に取り組めるように支援をする必要があるわけで、
意思決定するのは相談者自身になることから、
教育でも需給調整でも企業でも、
キャリアコンサルタントは全ての領域において基礎的なものを体得していることが理想です。
ないしは、
体得できるように努力・意識することが必要なのです。
結局、
キャリアコンサルタントがやりたいことだけ、
若しくは、
日々ルーティンでやっていることだけを自分の専門だといって他を避けたり、
手掛けることを後回しにしたりすれば、
自己中心的なことを基本にした面談になってしまい、
本来の来談者中心の機能が発揮できず、
いくら合理的な戦略提案だったとしても相談者にとって意味を成さないことになり得ます。
要は、相談者の価値観に合っていない場合は、
キャリアコンサルタントが考えた適切な方法と、
相談者が考える適切な決定と行動は、
意識や気持ちの中で異なることも多く一致しません。
相談者の価値観で決めていける支援がとても大切なことで、
予め専門家の方で用意している型通りの支援方法などよりも、
その時々に相談者が納得できる方策の方が、
より効果的な支援だと相談者が感じるのでしょう。
そうした相談者の姿を目指すことも、
我々キャリアコンサルタントができる支援内容なのだと思うのです。
これらを事例指導者が真から心得て、
事例相談者にもそうしたかかわり方を持っているからこそ、
恐らく、
事例相談者にとって多くの気づきが生まれ、
「居心地が良く信頼性の高い指導面談の提供を受けられた」
と感じることなんだと私は考えています。