1級キャリアコンサルティング技能検定の実技面接試験の中の口頭試問について、
これまで何度かこのブログで解説をしてきましたが、
最近ご質問をいただく内容を踏まえ、
私の視点で改めて書いてみたいと思います。
なお、この記事は私の考え方から私の視点で書いています。
ご自身のお考えと照らし合わせながら、しっくりくるやり方をご検討ください。
また本年度の口頭試問とは関係なく、
例年の内容を基準にして書いていますのでご理解ください。
口頭試問での質問には、
《今回のロールプレイを振り返って、ご自分の良かった点、改善したい点はなんですか》
という内容のものがありました。
これは受検者の方に予め送付されている1級実技(面接)実施概要に口頭試問の例として掲載されています。
以前も書きましたが、
「改善したい点」=「自分が出来ていない点」「悪かった点」
というように解釈して、自分の反省点を考える方がいらっしゃるかと思いますが、
言葉の受け止め方で少しニュアンスが違ってきます。
《ご自分の良かった点と悪かった点は何か》
と聞かれたのであればそのまま答えれば良いと思いますが、
特段、悪かった点は何かと聞かれていないのであれば、
「改善したい点」=「より良くしたい点」
と捉えて答えた方が私は建設的で良いと思います。
しかしながら、
質問では良かった点と一緒に問われるために、
ついつい反対のことをセットで聞かれていると勘違いしやすいですよね。
なお、より良くしたい点とは自分を基準にするのではなく、
事例相談者にとって、よりお役に立てるかかわり方等を基準にして考えることを心掛けると、
ご自身の実践的な学びにもなるかと思います。
また似た質問として、
《今回のロールプレイでやろうと考えてできたこと、できなかったことは何ですか》
というような内容を聞かれることもあります。
受検者からすると先程の質問とかぶっているように感じやすいかと思います。
例年では、
2名の試験官の方から交代して質問があるため、
質問する試験官が変わって、同じような質問を受けたような感覚にとらわれてしまうことがあります。
そんな時は質問を頭で復誦して意味を考えてみてください。
《できたこと》
を聞かれたら良かったこととは意味が異なります。
事例指導者として、
事例相談者へやろうとした指導プランは何でしょうか。
そのプラン内容を基準に、今回のロールプレイセッションで実際にできたこと(やれたこと)を答えれば良いと思うのです。
《できなかったこと》
については、ダメだったところを聞かれているわけではなく、
上記の通り、やろうとした指導プランの中でできなかったことを(やれなかったこと)を答えることが質問に対して適切な答えにつながると感じます。
できたこと、できなかったことを聞かれて、
良かった点、改善したい点の質問の答えと同じような内容を返すと、
指導面談を構造的に考えられていないと見られてしまう可能性があるかと私は思います。
30分間の面談が事例相談者のお役に立つように、
事例指導面談を構造的に展開できる練習は必要だと思います。
それが自分の中で確立していれば、
事例相談者のお話を聴きながらガイド機能を十分に働かせて、
この事例相談者のやれる範囲でより良い面談を検討していくセッションが成立します。
口頭試問は、
その場で実際にやったこと、やれたことなどを基本にして、頭の中で立てていたプランを踏まえ、どこまでそれが達成できたのかをプランと比較しながら答えていくことになります。
なお見立てや意見を伝える時は必ずセッションで行ったことなどの事実と論拠をもって答えましょう。
そしてその答えは、
全て事例相談者を主体にしてどのような支援になったのかを考えていくことが大切だと思います。