前回の指導方策に加えて、
事例相談者のさらなる気づきに繋がる面接展開を書いてみます。
前回は、事例相談者の問題点への気づきを促して、
目標設定を行い実行するという流れをひとつのやり方として書きました。
1級キャリアコンサルティング技能検定の実技面接試験の中で、
上記の展開まで進み、もし残り時間が5分間程度あるとするならば、
事例相談者のためにも役立つ指導支援として、
・環境への働きかけ
・自己研鑽方法(ネットワークの確認)
・事例指導の評価(お互いでのフィードバック)
こうしたテーマでセッションを重ねたいところです。
勿論、
《30分間の面談でそんなところまで展開出来ないよ!》
と言われる方は口頭試問で、改善点やできなかったこと、
今後の課題等を聞かれる場面で根拠を踏まえて答えられると良いかもしれません。
30分間という与えられた時間を、如何に事例相談者(相談者)のために濃厚に出来るのか、
常にこうしたことを考えて、例えば30分間でどのように面接を組み立てていくことで展開出来そうか、
イメージをしておかないと事例指導者としてのコーディネート能力を示すなど到底難しいことになります。
既に論述試験の選択問題の問3でコーディネート能力を示しているわけですが、
実際の事例指導では面接でも重要な能力になります。
実技面接試験でも実施出来れば、事例相談者役の方のためにもなるでしょう。
私は、残り5分程度のところで、
『〇〇さん、これまでは相談者への直接的な支援を検討してきましたが、少しお時間がありますので、
ここで少し異なる視点での支援方法を一緒に検討してみませんか。』
と事例相談者に問いかけて、
『この事例で、相談者の周囲の環境が変化すれば、相談者の問題解決に繋がりそうなことはありますか?』
というようなアクションを起こします。
事例相談者は既に気づきを得て来ているので、
ある程度思考が活発になっていることから、
こうしたヒントが役に立ちます。
「相談者の周囲…ですか…。
あぁ、例えば会社組織がメンタルヘルスマネジメントの教育を積極的に導入することで相談者の職場環境に変化が起きるとか…」
『いいですね!その点でキャリアコンサルタントとして何かできることはありそうですか?』
「私は契約コンサルタントなので、相談者の会社の経営陣への報告や提案等にメンタルヘルスマネジメントの必要性を訴求することは出来るかもしれません。」
という具合にやり取りを行うことで、
事例相談者の新たな気づきや枠組みを変えた視点を育成していくことが出来ます。
倫理面の重要性を含めてフォローして、
事例相談者が活動領域を広げられるように働きかけます。
また、
今回の事例指導での気づきをどのようにして学習継続していくのか、
それは事例相談者の既存のネットワークで成り立ちそうか、
このあたりも点検していく流れを作りたいです。
必要に応じて情報提供や助言をおこなうことも事例指導者の役割です。
事例指導面接の終了時には、
事例相談者の意見や考えを聞き合意を得て終了するわけですが、
事例指導者からも、最後に一言、
今回のセッションを通じて気がついたことを伝えることも大切です。
『時間が残りわずかになりましたが、私からも一言よろしいでしょうか?
今回、貴重な事例をご提供いただきありがとうございました。
○○さんの相談者への想い、そして方針について、私にとっても学びとなった点がありました。
特に○○さんは、相談者の問題をひとつひとつ丁寧に置き石を置くようにして聴き進めていかれていると感じました。
その傾聴力は素晴らしい支援に繋がると思います。
本日の気づきを活かして、これからもさらに質の高いキャリアコンサルタントを目指していってくださいね。』
例えばこのような励ましのメッセージを贈って欲しいと思います。
事例指導は、事例相談者が元気になること。
そして、
事例相談者が、明日からのキャリアコンサルティングに自信を持ち、
様々な相談者支援のために、さらに学び続けようとやる気になること。
30分間のロールプレイでも、
そうした展開を実践していただきたいと思います。
2018年も瞬く間に8日となり、
来月にはいよいよ1級キャリアコンサルティング技能検定の面接試験が始まります。
日々、事例相談者の役に立つ面接を展開出来るように、
イメージトレーニングを重ねてみてください。
読者の皆様を応援しています。
頑張ってください!!