昨日まで、数回に記事を分けて、
1級キャリアコンサルティング技能検定の論述試験【必須問題】について、
各問づつ私の視点等をご紹介してきました。
今日は、必須問題の全体の見方等について改めてまとめて書いてみたいと思います。
問1は、
事例指導を行う上で、相談者Aの問題の核心(クライエント視点の問題とキャリアコンサルタント視点の問題を合わせた中心部分)を掴んでいくこと。
→ CL視点/相談者Aに起きている事柄などから読み取れる感情面と認知や行動を結び付けていくなど。
→ CC視点/相談者Aがそうなってしまったのはどんなことからか、どうしてそう考えてしまうのかなど、
問題の本質などを見立てられること。
なお、あくまで事例記録を通しての見立てなので、要点や言語・非言語の表現が記録に足りない場合もあり、事例指導者としてその面を加味して論拠を示せることが重要。
問2は、
事例指導は事例相談者へダメ出しすることが目的ではなく、
・事例相談者のより良い適応と行動
・事例相談者の気づきや発達、成長を支援
こうした目的を基にしてbetterな方策を一緒に考えていくイメージを持つこと。
→ 事例相談者が事例指導を受講していることを忘れず、対等の立場で事例相談者を見守ること。
→ 事例相談者と事例指導者は、今回の事例を通し、お互いにより良い面談を目指す方針を共有出来る関係にあることを事例指導者として自己一致していること。
問3は、
事例相談者の良い点をより伸ばす視点で、
事例の中で事例相談者が相談者Aに対処していること(方策全体)を基準にし、
よりよいさま(少し足りなかったところに気づけることも含む)を、見せていける対処方法を具体的に考えてみること。
→ 単に自分がプレイヤーとして素晴らしい面談をしている様子を示すわけではなく、
事例相談者の気づきに繋がるような対処を行うことを心掛ける。
以上のような考え方で事例をみてみると、
人(受検される方々)によって様々な記述内容が生まれてくると思うのです。
私にとって、
論述や面接の実技の学び方で一致出来ないのは、
特定の点数に達することを目的とした、
相談者Aや事例相談者へのかかわり方を模索しているやり方です。
※理論のキーワードや戦略に使う理論を形式的に事例に当てはめてみるなどのトレーニングも重要な学びだと思いますが、そのトレーニング自体を上手く活用して、活きた指導面談展開が出来ると、さらに良いのではないでしょうか。
そもそも、試験の基準等、
受検評価のあり方は試験官にしかわからないはずで、
”こう記述しなければ点が入らない”
”試験なのだから正解となるポイントやキーワードがあるはずだ”
というような発想になっていると、それは実技ではないような気がします。
※これは私の考え方です。
その発想に違和感があると感じている方は、
何故、
《キーワードの記述が必要である》
と思い込んでいるのでしょうか…
その辺りを振り返ってみてください。
相談者Aや事例相談者の役に立たない考え方にもなっているかもしれません。
試験の評価区分等の情報はキャリアコンサルティング協議会のHPにある細目等に記載されている通りであり、
私が考える重要なポイントは、人と人との会話を通して行われるセッションだということで、
事前に何かを決めて向かうものではありません。
専門家として、
人間と人間のコミュニケーションから生まれるダイナミックな変化とその対処を理解しているのか、
論述やライブで事例や相談相手とどこまでそれが展開出来るのかなど、
目に見えないものを含め、その捉え方や行動等が評価されていると私は信じています。
だからこそ模範解答などないでしょうし示しようがない。
私が人の論述や面接について、
添削などお受けしない…
というか出来ないのは、
倫理も含め上記のような諸々の点からお断りしていますし実際に難しいと思います。
事例相談者が実際にやれること、
事例相談者の感性や仕事のやり方等を大切に扱い、
お互いに学習同盟が組める関係を構築する点が基本にあるのではないかと思います。
ひとつの考え方として、何かご参考になれば幸いです。