1級キャリアコンサルティング技能検定の論述選択過去問題の中に、
この事例相談者が相談者を支援するために必要なネットワークや環境への働きかけ
の内容などを問われる質問があります。
私が事例指導に関する講座を行っているときに、
よくご質問をいただく内容に、
Q:キャリアコンサルタントがクライエントを支援するために必要な環境への働きかけは、
キャリアコンサルタントが直接介入することなのか、
それとも、クライエントを通じて介入することなのか、
このようなことを聞かれます。
私は、
A:どちらもです。(私の考え方です。)
このように答えさせていただきますし、
実際にキャリアコンサルタントはどちらも必要です。
キャリアコンサルタントがクライエントの環境に直接働きかけが出来、それが一番有効な戦略であれば、
その視点で倫理綱領を遵守の上で関係者を含めて適切な働きかけが出来るように検討すれば良いですし、
一番有効な内容について、
その環境はキャリアコンサルタントが直接働きかけが出来ない場合、
戦略をクライエントとともに検討してクライエントを通して環境に働きかけを行えば良いのです。
両方が出来れば良い場合もありますし、
出来ることを確実にコーディネートしていくことが事例指導者の役割にもなると思います。
事例指導を行う時、
上記の通り、両方のことが考えられるわけですし、
片方が出来ないことだってあります。
事例によって全く異なり、
型通りの考え方にしてしまうと現場で困ってしまうはずなので、
先ず、クライエント個人とクライエントが所属(依存)する環境の関係性を把握することが最重要です。
このときに注意して欲しいのは、
クライエントの環境の問題を探そうとすることではないということです。
※問題を探る訳ではありません。
結果、環境の問題として明確化されていく場合はありますが、
我々キャリアコンサルタント側が環境の問題であるとして決めつけていくことは危険です。
例えば、
企業組織に所属するクライエントの場合を仮に想定してみます。
クライエント個人の問題があり、
面談を通じて、クライエントの問題把握が出来、
適切な面談対処によって、その場ではクライエントが前向きになり、
結果行動変容が起きたとします。
しかしながら、
その企業組織全体としては、
社員に求めていること等がクライエントの認識と大きく異なっており、
実際はクライエントの成長を支援するシステムが構築されている環境であったとします。
そのシステム自体をクライエント自身がどのように捉えていたのか、
クライエントの感情が邪魔をしていないか等の個の内的なものをキャリアコンサルタントは把握しておかなければ、
クライエントの認識をキャリアコンサルタントが同一視してしまい、
間違った組織への介入をしてしまうことも考えられるわけです。
また、会社がクライエント(社員)の捉え方をどう認識していたのか、
それによってクライエントのモチベーションはどう変化しているのか等、
会社側も社員を知るシステムをどうしているのか、
キャリアコンサルタントは相互作用を理解していることが必要です。
このように考えてみると、
個と組織の固有・特有の関係性を把握して、
個の環境をどう変化させていくことで、
個が個の環境の中でより豊かな生活が出来るかを見立てられることが必要です。
よって、決まったことは何もなく、
環境へのアプローチは、
想定外のあらゆる方策も考えられるので、
クライエントとその環境の関係性をイメージしていくことが有効です。
※どちらが悪い等の視点ではありません。
論述の場合、
そのクライエントはいませんし、
そして事例相談者も目の前にはいません。
事例記録を基に、
如何に事例個別に、スタンダードで的確な戦略が展開出来るかが大切です。
そして、事例相談者が、
その指導を通して事例を概念化して捉え、
他のクライエントでも同様の視点で、事例に合わせて臨機応変に環境への働きかけが出来るように検討しておきたいところです。
このあたりを踏まえて、次回はネットワークと環境への働きかけを考えていきます。