事例指導者が事例相談者からの依頼を受けて指導を行う際、
事例相談者が指導を受けたいとする自身の担当した事例について内容を説明してもらいますが、
その時、事例指導者は事例相談者の説明を受容的な態度と姿勢で話を聴いていきます。
事例相談者が整理しながら懸命に説明しているところを遮らないように十分な配慮をもってかかわるわけですが、
必要に応じて確認や質問を行いながら、
実際は様々な点に触覚を働かせて事例を概観しつつこの事例相談者の問題を把握していきます。
しかしながら、
論述問題の場合はそのような面談が出来るわけではないので、
この事例相談者が作った事例記録から問題の手掛かりを得ていくわけですね。
私の場合ここでの問題把握とは論述問題の質問内容には関係なく、
・この事例相談者は相談者Aの問題をどのように捉えているのか。
・この事例相談者の問題はどのようなことがあるか。
このような視点で、
事例を通してこの事例相談者の癖みたいなものを感じ取ります。
なお、これはあくまで事例相談者の成長に繋がる手掛かりを得ていくためであり、
この事例相談者が担当した相談者Aの問題をあれこれ探るためではないことを付け加えておきます。
前述した
・この事例相談者は相談者Aの問題をどのように捉えているのか。
・この事例相談者の問題はどのようなことがあるか。
例えばこの視点は言いかえれば、
①この事例相談者は相談者Aの問題を〇〇と捉えたからこそ◇◇の対処を行ったのに上手くいかなかった。
→ この事例相談者の主訴に繋がる。
②この事例相談者は相談者Aの問題を〇〇と捉えているが◎◎を確認しないまま◇◇を行ってしまっている。
→ この事例相談者の問題の本質に繋がる。
このような感じになると思うのです。
そして今回の記事タイトルですが、
『相談者Aについて、どのような問題があるか』
この質問に答える際、
《この事例相談者が事例指導を受けるためにまとめた事例である》
と前置き条件があるわけですから、
我々事例指導者は、
間接情報を通して相談者Aをみていく意識が必要なことと、
この事例相談者への具体的指導に役立つ見立てを行うことが事例指導者の裁量ということになります。
我々キャリアコンサルタントは基礎の基礎として、
目の前の相談者の問題を扱う際、
・相談者視点の問題
・キャリアコンサルタント視点の問題
のふたつを有効に合わせて相談者の支援に役立てていきます。
この基本的なことが、
この事例相談者の面談では出来ているのでしょうか。
もし出来ているのであれば事例記録の中のどこに根拠があるでしょうか。
出来ている場合も出来ていない場合でも何を根拠にそう見立てていくのか示す必要があります。
それが事例指導では絶対に重要ですね。
また、
『相談者Aについて、どのような問題があるか』
この質問を2級キャリアコンサルティング技能検定論述試験(問1+問2)の視点だけで検討していると、
もしかしたら1級ではどうかな…ということになるかもしれませんね。
単に、
相談者の問題は何かと問われているのか、
それとも、
事例相談者の成長支援に役立つような相談者の問題の見立て内容を問われているのか、
この捉え方は事例指導者の感性に委ねられています。
どんな捉え方でも、
結局は目の前の事例相談者の役に立つことと、
それによって、事例相談者が担当する相談者の支援に役立つこと。
これが王道であり正解だと私は考えています。
よって、
『相談者Aについて、どのような問題があるか』
という問題には、
私の場合、
相談者Aの問題の考え方は、
この事例相談者への具体的指導に役立つ見立てを行うことを意識して、
①この事例相談者は相談者Aの問題を〇〇と捉えたからこそ◇◇の対処を行ったのに上手くいかなかった。
②この事例相談者は相談者Aの問題を〇〇と捉えているが◎◎を確認しないまま◇◇を行ってしまっている。
以上の事例相談者の捉え方を十分に踏まえたうえで、
相談者Aの問題について、
・相談者A視点の問題
・本来のキャリアコンサルタント視点の問題
これらを検討したいと思います。
今回はこれまでの解説からさらに踏み込んで書いてみました。
次回は以上の内容を取り入れて、
第4回の過去問を活用させていただき書いてみたいと思います。