断片的な記事になりますが、
今回は、キャリアコンサルティングやその事例指導における『逆転移』について、
私なりに考えていることを少し書いてみます。
先日の7月9日の記事で
「逆転移の解釈などから自己洞察を深めていく」
ということを書いてきましたが、
そこで言う逆転移の解釈など…とはどういうことか。
今回の記事で掘り下げて私の考え方で書いてみようと思いました。
逆転移とは何かということについては、
ここで改めて書くこともないと思いますので記事にはしませんが、
万一、キャリアコンサルタント職の方で、
逆転移が何なのか聞いたこともないという方がいらしたら、
ご自身の学習のためにもお調べ下さいね。
もしかすると、人によっては古典的な理論の影響で、
逆転移=有害と捉えている方がいらっしゃるかもしれません。
逆転移にも様々な背景などからくるものや事象がありますので一概に言えませんが、
私がキャリアコンサルティングや事例指導で活かせると捉えている逆転移は陽性と言えると思います。
私のような心理学の学びにおいての未熟者が、
逆転移を語るなどとんでもないと言う専門家の方々がいらっしゃるかもしれませんが、
心理学・精神分析に精通されたある著名な先生から、
「深く学ぶということは、経験や論理を語ることなどからも得られることがある。
常に考えて学び、勇気と責任をもって行動していることが重要だ。」
と励ましていただいたことがあります。
そんなことから、今回は私が面談実践で取り入れて、
ぼんやりと「こういうことか…」と感じ得たシーンをイメージしながら書いてみます。
私が自分で逆転移を掴んでいることのひとつには、
私個人のコンプレックスや葛藤の経験等が逆転移に含まれているということを体験し心得ています。
ここで自分のコンプレックスを書くつもりはありませんが、
例えば、
自分の経験などに似た経験を悩みに持つ相談者に遭遇した際、
私の感性がフラットでいられるかというと必ずしもそうではありません。
その時、私はそこから避けたり無理したりと振り回されたりするのではなく、
ある局面で、相談者にありのまま私をお話しをすることもあります。
ただしあくまでも、
それが相談者の問題解決に繋がると見立てられる場合に限ります。
キャリアコンサルタントとして、
逆転移を無意識から意識化して、
相談者に自己開示することで、人間らしい次の面談の展開が生まれることがあります。
このようなことは勇気が要りますが、
専門家としての責任を持って、スキルを持って挑戦することは大事です。
事例指導において、
事例相談者の方が相談者との関係の中で、
逆転移に影響を受けていることに事例相談者が気づいていないことは多い気がします。
この時、
「逆転移の解釈などから自己洞察を深めていく」
という表現が一番しっくりくるので、
先日の記事でご紹介させていただきました。
事例相談者に説明をしながら逆転移が問題ではなく、
事例相談者は相談者に対して、
どうしてそのような気持ちが生まれたのか、
無意識に感じ取っていた気持ちはどんなことなのか、
これらを事例指導の中でじっくり聴かせていただき、
だからこそ事例相談者らしいキャリアコンサルティングが提供出来るのではないかと、
その特徴を活かした面談力を肯定しながら、
逆転移を活かした面談を意識化出来るように働きかけます。
逆転移があるからこそ、
その人らしい面談をしていることも多いです。
しかしそれが、
相談者にとって重荷になってしまっていては問題は解決できません。
そこが問題の本質だったりすることもあります。
その事例相談者の良さからくるズレが、
ちょっと工夫するだけで、相談者への素晴らしい面談提供に変わることに気づけると、
事例相談者の大きな成長に繋がるのです。
あくまでも一例ですが逆転移は奥が深く、
面談力の向上にとても役立つと私は思います。
理論を学ぶことも重要ですが、
同時に、キャリアコンサルタント職に就かれている方々は、
きっと日々の仕事の中で現場で起きていることだと思いますので、
それを意識化する訓練と自己分析を常に心掛けると有益かもしれません。
ひとかけらの私の経験から記事を書いてみました。
文書に起こすとそっけない表現になってしまいますが、
これを読んでいただいた方が、何か感じ得るものがあるのであれば、是非現場で意識してみてください。
このアプローチは、
キャリアコンサルティングの実践で活かせることは勿論、
事例指導時の問題把握や共有化のプロセスでも有効ですし、
1級キャリアコンサルティング技能検定の実技試験でも十分活用できると私は思います。