1級キャリアコンサルティング技能検定の受検準備などで学びを深めていこうとする際、

 

「1級キャリアコンサルティング技能士」

「1級キャリアコンサルティング技能検定」

「スーパービジョン」

「事例指導」

「キャリアコンサルティングの事例指導」

「キャリアコンサルティングのスーパービジョン」

「キャリアカウンセリングのスーパービジョン」

「指導レベル キャリアコンサルタント」

 

という感じで、

様々なキーワードを使ってネット検索されているのではないかと思います。

 

しかしながら、

期待されているような情報がなかなか得られず、

スッキリしない方も多いのではないでしょうか。

 

もともとキャリアコンサルティングやその事例指導は、

こうすれば良いという性格のものではないので、

万能な指南書やハウツー本などはないと思います。

 

 

また技能検定実技試験に対して、

相手(本人)に会う前から予め問題を見立てるとか、

問題設定傾向を分析するとか…

 

それではキャリアコンサルティングにはならないです。

 

目の前の人に話を聴き、

初めて専門家としての機能が働くのです。

 

技能検定試験で想定外の考えや思いを受けてなかなか目の前の相談者や事例相談者がわからなかった場合、

それは、こちら側が何かを期待してしまっている可能性があります。

 

思い通りにいかないと考えていること自体が、

相談者や事例相談者をみることが出来ていないことにもなります。

 

 

激変する社会情勢環境と様々な方針を随所で変化させていく組織、

そして個人の様々な受け止め方によるあらゆる価値観が存在する中で同じ面談や指導はありません。

 

我々はその個人のキャリア形成支援にかかわる専門家となりますので型にとらわれず、

常に変化に適切な対応が出来る準備を可能な限り行っている姿勢が大切です。

 

色んな考えを持った先生がいらっしゃいますが、

そのおひとりお一人の思いや願い、経験や思想等によって異なる意見があって当然です。

 

だからこそ、

ありがたいことに先人の知恵が理論として我々に伝授され、偏りやズレのない基礎知識を習得出来、

その学びによって現場で論理的な経験を積み、

さらなる理論の深みに気づかされます。

 

臨床に基づき確立された専門的理論が多数存在しているわけで、

様々な相談者や事例相談者に役立てることが出来るのです。

 

間違えた認識での理論の使い方にならないように、

我々は諸先輩方に基本的な理論の入り口を教えていただき、

キャリアコンサルタント職に就いているわけですよね。

 

そこからそれぞれのステージの上で、

現代に合ったキャリアコンサルティングを理論と共に実験的にも研究し続けて、

今の相談者に、より役立つキャリアコンサルタントとなれるよう、自助努力で高い能力を形成する場面を創り出して欲しいと思います。

 

私も日々現場でやり方を常に変えて検証のレポート作りに励んでいます。

 

お話を戻し、

事例指導の実際のポイントを簡潔に表現すると、

私は日頃から、

 

【わかったこと】

【気づいたこと】

【わからなかったこと】

【スッキリしないこと】

 

この4つの課題を整理することにしています。

 

これは、

ある先生が講座のグループワークで取り入れていらっしゃいます。

 

それぞれの課題に対して相手に訊ね、

【わかったこと】【気づいたこと】については、

相手の答えに肯定的・受容的なフィードバックを行います。

 

そして、

『では、その理解や気づきをこれからどうしますか?どうやって現場で活かしていきますか?』

と伺い、

またその答えを丁寧に受け止めて共有化をしていきます。

 

そして、

 

【わからなかったこと】

【スッキリしないこと】

 

については、

その内容や原因等を構造的に掘り下げて聴きながら、

本人がこれからどうしていけば良いか解決策を考えられるように質問と確認を繰り返して自己洞察力を高めていきます。

 

このセッションを繰り返すと事例指導の面談にとても役立つのです。

 

何故かと言えば、事例指導は、

事例相談者本人の統合的面談力の振り返りと自己評価そのものだからです。

 

 

もう少し具体的に書くと、

事例相談者は相談したい面談事例を持っています。

 

その面談を事例相談者が自己分析した場合、

例えば下記の項目でどんな点がわかっていて、

気付いた点はどこなのでしょうか。

 

また、

わからない点やスッキリしない点はなんでしょうか。

それをどうしたいのでしょうか。

 

キャリアコンサルティングは以下の項目が重要な課題になると思います。

 

これは事例指導でも事例相談者の能力点検項目として重要です。

 

 

●基本的姿勢や態度、関係構築

・個性の尊重

・肯定的、共感的、受容的態度

・純粋性

・時間共有、時間価値の配慮

 

●面談能力

・コミュニケーション能力(傾聴・アサーション等)

・想像力、論理的思考、アセスメント力

・見立てる力と伝える力

 

●面談能力の掘り下げ(事例の把握)

・相談者(家族や所属組織等)の把握

・問題に繋がる出来事などの環境把握

・相談者の問題となる状況や感情、行動等の把握

・仮説を共有し目標設定

・適切な理論や技法を提案して専門的な介入を実施

 

●コーディネート能力

・倫理綱領遵守

・外部資源活用

・相談者資源活用

 

●面談評価

・相談者との評価共有

・振り返りによる自己評価

・自己能力の限界を知り、自己研鑽行動を具現化

・外部資源の拡大努力

 

 

事例指導では、

キャリアコンサルタントとして事例相談者はどこに問題があり、

本人はそれがわかったら何を取り組んでいきたいと考えるのか、

 

事例相談者のその意志は相談者支援のためのものになるのか、

 

こうしたセッションが事例指導の視点のひとつにもなります。

 

目の前の事例相談者に何より関心を持ち、

今二人で過ごすこの時間をお互いに本物の時間に出来ることが全てだと思います。

 

本物の時間とは、全ての相談者の支援に向かう事例相談者と自分が一致していて、

専門家同士の学びに雲ひとつなく積極的である状況が成り立っていることだと思います。

 

事例指導の課題を真っ直ぐに見つめられることは指導関係が深まることに強く繋がると私は思います。