キャリアコンサルティングは、
現状よりも良くしたい、人生をより良くしたい等と願っていたり、考えている人々を相談者として対象に支援していくことになります。
勿論、相談者自身が今以上に大して何も求めないというケースもありますが、
その場合は、自身から相談者になって来室されること自体が少ないでしょう。
※本人が自分の望み自体わからないケースもありますね。
お話が少しそれますが、
今、私はキャリアコンサルティング普及のための活動のひとつとして、
セルフ・キャリアドック制度導入企業様にキャリアコンサルティングの提供を行うことがありますが、
この場合によくある事例として、企業側から面接対象者への事前動機付けが全くなく、本人が自身のキャリアに興味を持っていない(キャリア自体に気がついていない)こともあります。
その企業側に任命された対象相談者は、
キャリアコンサルティング面接当日になってジョブ・カードをその場しのぎに作成されたりで、
面談に仕方なく来るなんてこともあるのです。
ここでジョブ・カードの内容をフィードバックしても本人には筋違いな面接になるため、
例えジョブ・カードの完成度が低くとも、特に本人に相談事が無くとも相談者に集中します。
私はこれもキャリアコンサルティングを知っていただくきっかけであると考えています。
人はそれぞれを必ず持っています。
ですので、
私はこのような場面がキャリアコンサルティングの価値提供を普及していく良き場面だとも思うのです。
実は、基本に忠実に対象者の方に集中してキャリアコンサルティングを実施していくとダイナミックな変化が生まれます。
結果、最初のきっかけが上記のように制度導入のためのおまけ的な面談と思われていたとしても、
キャリアコンサルティングの価値提供を本人に出来れば、本人やご紹介等から次のアプローチがあるものなのです。
本人が本格的にキャリアを意識した瞬間となります。
キャリアコンサルタントの仕事は実に幅広くこれといった形がないものだと思います。
決まったことはなにもありませんが、
いつでも誰にでも起こり得る環境の劇的な変化等に本人が適応出来るように相談者の成長・発達を促していったり、
相談者の環境そのものに変化を生じさせたりする働きかけを企画実行出来る仕事です。
だからこそ重要なことはキャリアコンサルティングの面談プロセスを忠実に展開出来るように、
キャリアコンサルタントは、ひとつひとつのプロセスの意味合いとその必要性、有効性を十分に勉強して理解を深めていくことです。
面談プロセスで共通していることは、
相談者との人間関係を出来る限り良きものに発展させていきつつ相談者の問題を聴き受け止め、共同作業として目標設定を行って達成するための行動計画を立て実行支援を構造的に展開することです。
この相談者の問題とは、
その人が抱えて意識出来ている問題もあれば、
その人自身が気がついていない問題もあります。
また今は問題とまではいっていないけれど、
この先、より良い生活を送るためにはどうすれば良いかという視点での見えない問題も存在します。
どのようなことでも、
先ずは、相手と人間関係が構築されていくことがプロセスで最重要なポイントになります。
キャリアコンサルタントは、
この重要なプロセスを踏んでいくためにも、
面談開始時の相談者との信頼関係は絶対的に丁寧なかかわりが必要です。
人間関係が出来て初めてキャリアコンサルティングをどう進めていくかを相談者とコミットメント出来ます。
人間関係が出来る前から、根掘り葉掘りキャリアコンサルタントのペースで相談者へ土足で入り込んでいこうとするとお互いに残念な結果となることと思います。
人間関係が成り立ってお互いに確認し合うことが出来、この面談での目標等をコミットメント出来るのです。
目標を相談者と決めていく方法は色々あると思いますが、大切なことは、相談者に焦点を当てているということ、そして必ず確認して合意を得られているということだと思います。
相談者が望むこと、
相談者が意欲を持っている等です。
これが中途半端だと面談そのものがずれてくることが多いです。
また、相談者がその目標達成に向かうことについて、
キャリアコンサルタントの総合的スキルは大丈夫か、
ネットワークを活かす必要の有無なども自己評価することが必要です。
これらがしっかりと相互で確認し合えていれば、
目標を達成するためのやり方を企画出来ます。
相談者も意欲的であれば身を乗り出して一緒に考えることでしょう。
達成するためのやり方は幾つか並べられると思います。
これは、
構造論的、発達論的、社会学習論的、意思決定論的等々、
どんな方法でも良いと思いますので、
相談者に期待できる効果やデメリット等を踏まえてステップを説明してニーズに合わせていくことが出来ると良いです。
ここでやり方を決められたら、再度、相談者に最終確認を行って、相談者が主体になって方策を具体的に実行していくことになります。
既にここまで来ていることがキャリアコンサルティングにおいては方策全体の実行となります。
ここまで面談を構造的に展開して、相談者はどんな評価をしているのか、
キャリアコンサルタントもどう評価出来るのか、
双方で確認を行い、相談者に行動の自己管理をどうしていくかなど確認して、必要に応じて次のステップを検討したりします。
終了する際は、何か問題があればいつでもキャリアコンサルティングの再開が可能であることを伝え相談者の合意を得て終わります。
上記の一連を与えられた面談時間の中で体系的に進めていけるようにイメージして欲しいと思います。
2級キャリアコンサルティング技能検定の実技面接試験を受検される方は、ぜひ意識されてみてください。
また、既に支援業務でベテランとしてご活躍されている方も、
もし直近での学びを行わず、
我流と経験だけに任せて、現行のキャリアの資格試験等の制度に興味を持たず、そのまま相談者支援を実施されているとすれば、
世間の変化に適応出来ないことも出て来て、相談者への支援に繋がらないこともあります。
私も24年以上の経験があっても、
今懸命に勉強されている若いキャリアコンサルタントの方から学ぶことが沢山あります。
常に現在の資格試験の基準をベースにして、
キャリアコンサルタント職全員の方に理論と実技の勉強を継続されることをお勧めしたいです。
我々自身が様々な視点で自己のキャリアを形成していくことは大切なことです。