1級キャリアコンサルティング技能検定の実技論述・面接試験において、
事例指導者としてコーディネート能力をどのように発揮していくかを考えてみたいと思います。
例えば、面接試験の場合では、
30分のロールプレイの中で、クライエント支援に必要な環境への働きかけが見立てられる場合には、事例相談者とその内容を検討したいものです。
事例を活用してクライエントの環境の問題について気づきを促していく指導戦略も大切です。
『このクライエントの環境にはどのような問題がありそうですか?』
というような問いかけをおこなえば、
事例相談者は何かしら考えて答えてくると思います。
勿論、事例相談者がわからないような時は、
例えば…
という感じでヒントを出すことも良いですよね。
そして環境の問題に焦点を当てられたら、
『その環境の問題に対してどんな働きかけが考えられそうですか?』
このようなやり取りをして、
事例相談者の立場に応じて現実的に出来ることや、
実際に事例指導者がこれまでやってきた経験等を活かしてフィードバックします。
現実的に出来ることは、
例えば、
①事例相談者がクライエントが所属している組織等に関わりがある場合と、
②事例相談者がクライエントが所属している組織等に全く接点がない場合とでは、
異なる働きかけにもなりますよね。
双方倫理面を十分に考慮した上で、
クライエントの周囲を変化させていけるような専門的な介入により、
クライエントの抱える問題が軽減したり、解決する方向に向かったりすることがあるので、
①なら、
キャリアコンサルタントとして直接組織等に何かを働きかけることがあります。
色々考えられます。
また②ならば、
クライエントが組織(例えば上司、先輩、同僚、別部署等々)や家族、友人等、そして様々な外部資源等へ相談することなどで、周囲がクライエントの苦しみや悩みに気がつき、変化することもあります。
環境への働きかけは、キャリアコンサルタントが直接出来ることだけではなく、
クライエントが無理なくやれそうなことを具体的に示して、周囲の変化を現実的に期待出来る有効な働きかけが出来ることが大切になります。
また、
この事例相談者がクライエント支援に必要なネットワークについても、
指導プランの実行により、指導面談の価値提供がある程度認められたうえで、
事例相談者の今後の自己研鑽の方法等を確認するなどの啓蒙を行うことで、
事例相談者が自身で勉強方法などをイメージしやすくなり色々検討出来ます。
今回の指導面談による気づき等を継続学習していくためにも、
『今の気づきを含め、今後も面談力を上げていくために〇〇さんはどのような研鑽を積んでいけそうですか?』
というような問いかけ、働きかけを行い、
事例相談者が自己研鑽を行うための具体的な方策を確認したり、助言・情報提供したりします。
これは事例相談者の既存・新規のネットワークを活用・模索する戦略でもあり、
また、場合によっては事例指導者側のネットワーク等を紹介するなどの支援にもなります。
但し、事例相談者へ一度に色々なことを言うとオーバーフローしてしまうので、
そのあたりのさじ加減は事例指導者として事例相談者のスキルなどをみて考えてください。
論述では、事例指導者の考え方として戦略の内容をしっかりと示せますが、
面接の場合、
事例指導者が指導面接後半に向かうにつれて指導的且つ多弁になっていると、
事例相談者にとっては思っている以上に重たくいっぱいいっぱいになって環境への働きかけどころではなくなってしまいますので、
その時はこの点を指導していくかどうか考えた方が良さそうです。
面接試験の場合、口頭試問という試験がありますので、
例えば、
「できたこと、できなかったこと」というような質問をいただければ、
ここで事例指導者としての考え方を示す良いチャンスでもあるかもしれませんね。
『事例相談者のスキルから今回の指導では、これを中心に時間をかけて行なったが、〇〇ような根拠から、環境やネットワークの気づきを支援できればさらに良い指導になったと考えている。』
こんな感じでしょうか。
事例指導は終了時、
事例相談者と事例指導者の間でお互いにある意味爽やかな空気感があると思います。
論述の場合も面接の場合も、
何度もイメージトレーニングやアウトプットの練習、ロールプレイの練習等で仕上げていって欲しいと思います。