1級キャリアコンサルティング技能検定の論述と面接の試験では、事例相談者が抱えている問題を捉えて、
その問題視点について事例相談者に気づきを促すかかわりが事例指導者(受検者)に必要になります。

この指導プロセスは、
実際の事例指導でとても重要なポイントにもなるので、
1級技能士の試験では必須項目になるのでしょう。
 

以前、このブログで書いた内容なのですが、
私の実技講座において、受講者の方からのご質問に、
 
Q:事例相談者の問題が、関係構築、問題把握、方策の全てにあった場合、関係構築をしっかり修正しなければ、その後の問題把握も方策もずれるのではないでしょうか?
このような場合は関係構築の問題にフォーカスして指導すべきではないでしょうか?
また、事例相談者の面談内容に承認出来るところがない場合、無理に褒めるようなことをするとかえっておかしくなるのではないでしょうか?


このような内容のものがあります。

例えば、
実際に関係構築に問題があるのであれば、
その問題があるという根拠や事実を示すことができれば事例相談者に対して説得力があり、
またその通り、関係構築が出来ていればクライエントは自己開示出来て、何でもお話しをしてくれたのかもしれませんね。
よって、それが出来れば、クライエントが強く訴えたことも、そしてキャリアコンサルタント視点の問題把握も、しっかりとグリップ出来たのかもしれません。

すると方策も適切なものが考えられます。


しかし、
事例相談者の関係構築力は本当に0点なのでしょうか。
 
それとも30点〜50点程度で何とかなりそうな感じですか。
 
または、最初は80点くらいだったけれど、
面談過程の中で、徐々に50点になり、最後に0点なったのでしょうか?

何はともあれ、クライエントを生で知っているのは事例相談者であり、
その事例相談者は関係構築についてどのように自己評価しているのでしょうか。

その方がよっぽど大切です。

事例相談者本人が50点と言っているなら、
何故100点ではないのか、聴いてみなければわかりません。

論述ならそんなところを事例記録から読み取れば良いですし、面接なら直接聞けばいいのです。
※その自己評価が適切かどうかは後の話です。

本人が50点と言ってるなら良い点と悪い点があるのでしょう。
それを事例指導者は根拠を含めて理解し、承認していくことは自然かもしれませんね。
 
事例指導者がどう見立てるかによって、
どこに指導の焦点を当てるかが変わります。
 
因みに、
事例指導を受けたいと考えて来ている事例相談者に、
 
「あなたはどうも関係構築が結果0点です。特に傾聴が出来ていないからですね。
何故ならば“斯斯然然”というわけで、今回は傾聴が出来るように練習しましょうか」

という感じで根拠を示して説得力があるお話しをしたとしても、
事例相談者の気持ちはどうなりそうでしょうか。
 

せっかく指導を受けに来たのに、
頭から関係構築が出来ていない、すなわちクライエントの問題把握以前に、関係構築力を上げるため、傾聴の弱いところをなおしていきましょうと目標宣言を受け、
事例指導への意欲は湧きそうでしょうか。

事例相談者の意気込みをくじかせるような事例指導は効果的と言えないかもしれません。


事例指導も、
事例相談者との人間関係が重要であり、
且つ、事例相談者のケースに向かう意欲を向上させていくことが非常に大切です。

これは論述過去問で言えば、
必須問題の問2や選択問題の問1と問2にかかわることですね。

さらには、面接試験のロールプレイの中でもこの点は大切になると思います。
 

お話しは戻り、
確かに、事例相談者の抱えている問題を掘り下げていけば、
結局、関係構築に問題があったにせよ、
事例相談者とのセッションの中で、一緒に優先順位を考えていくことも大切なことだと私は思います。

事例指導者が気がついている事例相談者の問題を、
何とか事例相談者に気づかせていこうとして、
あれこれ質問したり誘導しようとしたりすれば、
せっかく学びたいと思っている事例相談者の意気込みは徐々に萎えていくでしょう。

そのようなやり方は事例指導として効果的な指導方法や内容になりません。

事例相談者にとっても納得感があるのは、
事例の中で本人がやろうとしたことを、
先ずは事例指導者が最初から最後まで理解しようとする姿勢や態度が必須だと私は思います。

《全部聞いてたらあっという間に30分終わっちゃう》

というような声が聞こえてきそうですね。

面接の進め方次第で30分の中で事例相談者が事例でやろうとしていることを知り、
そしてひとつひとつ一緒に確認していくことは15分〜20分程度あれば成り立つでしょうし、
その上で指導展開していくことは出来るものです。

事例指導者の価値観で指導面談を進めていると、
なかなかそうはいかないかもしれません。


試験対策として、
事例相談者の問題は関係構築か問題把握にあるものだというような偏った思い込みで試験に臨んでしまうと、
例えそこに問題があったにせよ、きっと事例相談者は気分が悪くて抵抗するか貝のように口を閉ざしてしまうかもしれませんね。

論述でもなんだかしっくりこないありきたりの解答しか記述できなくなるかもしれません。
この事例相談者にあったものになっていないこととなるのです。

事例相談者は、
クライエントに対して懸命にキャリアコンサルティングを提供していると考えられます。

論述でも面接でも、
事例に対して真剣だからこそ事例相談者は事例をまとめて指導を受けに来るのだと思うのです。

事例の内容そのもの以上に、
事例相談者がキャリアコンサルタントとして、
どの場面でどのように考え、
どのように捉えて、
何をしようとしたのか、

きちんと事例相談者の対処の内容とその考え方を読み取ること、聴くことが出来れば、自然と事例の要点は読み取れるのではないかと思います。

事例ばかりに気を取られず、
論述でも面接でも事例相談者に焦点を当てられるようにすると手掛かりが見えてくるのではないでしょうか。

なお、
事例相談者は、自分の問題解決に取り組む意欲が高ければ、例えば目標設定のあり方に問題を感じてそこに焦点を当てていたとしても、
問題解決に取り組んでいくと、結果、傾聴力をもっと高めれば問題把握力が高まり、
より適切な目標設定に繋がることに気がつくものです。
すると、クライエントのことをより理解しようと努力することになるので、
さらなる関係構築力アップに繋がってくるわけです。

極端なことを言うと、
傾聴の上達を目標にしましょうと宣言されるのと
クライエントの行動化に繋がる目標を考えてみましょうと宣言されるのでは、
事例相談者にとってどちらが腹落ちしそうでしょうか。
 
要は、事例指導者の伝え方ひとつで事例指導の内容が大きく変化し効果が全く異なります。

論述のように効果的な方法や内容を具体的に記述して示す場合、その辺りも取り入れていきたいです。

ご参考にしていただけたらと思います。