1級キャリアコンサルティング技能検定実技面接試験の中での
『事例相談者の問題の本質共有化』
そして
『事例の概念化』
について、色々考えて書いてみます。
 
先ずは、
事例指導の効果を客観的に捉えることからも、
実際の事例相談者が事例指導を受講してどのような感想を持っているのか、
数日後に改めてアンケートを得て纏めたものを一部ご紹介致します。
※私の事例指導を受講いただいた方の感想(掲載許可済)、
また、私自身が事例指導を受けて感じたことを含めてご紹介致します。
 
・視野が広くなった、新たな気づきを持つことが出来た
・振り返りの際のポイントを得ることが出来た
・自身の出来ているところ、出来ていないところが明確にわかった
・不安な点が解決したと感じる。自己研鑽の方法もわかった。
・明日からの面談に向かう意欲が高まった
・専門家としてもっと勉強をしたいと思った
・キャリアコンサルタントという仕事に改めてやりがいを持つことが出来た
 
このように事例指導の効果を感じている方は多いです。
 
一方、
事例相談者は、どのような不安要素があるのかというと、
 
・事例指導者へ嫌悪感を抱いたり関係の悪化など
・問題解決の手掛かりが得られない、的外れな指摘・批判的指導
・押し付け、指示的にされるなど
 
というような事が挙げられそうです。
要は、事例指導者に対しての信頼度等が確立されていない状況です。
 
これは初対面だったりもするので、
当然な面かもしれませんが、いずれにしても上記両面、紙一重な部分があるのかな…
という感じがしています。
 
事例指導者も、
事例指導の事例指導を積極的に受けていくことが重要ですね。
 
この事例相談者の不安要素等に鑑みて、
『事例相談者の問題の本質共有化』
『事例の概念化』
を検討してみます。
 
事例相談者の問題の本質に気づかせていく際、
大切なのは、以前記事にさせていただいた通り、
先ず、事例相談者がやろうとしたことや出来ているところを把握出来なければ、
事例全体を掴んでいることになりません。
 
事例自体を把握していきながら、
事例相談者がクライエントの問題をどう捉え、
どのような考え方でどうクライエントにかかわったのか、
事例相談者の面談はクライエントのためになっているのか、
 
目の前の事例相談者は、
クライエントにやろうとしたのにやれなかったことがあったり、
思った通りにならなかった点などがあるからこそ、
事例相談に来ている、問題が何かわからずに手掛かりを見つけに来ている、アドバイスが欲しい。
そのことを事例指導者はしっかりと受け止められることが大切ですね。
 
これらのことから、
根拠をもって出来ている点を承認していく姿勢がとても重要でそこが前提にあります。
 
だからこそ、事例相談者の主訴を受け止められるわけです。
 
その事例相談者の主訴を解決するには、どうすればよいでしょうか。
 
やはり、キャリアコンサルティングの過程において、
どこに問題があるのか、
一緒に考えていくことがお互いに共有化しやすい方法だと思います。
 
やることをやった、出来る事をやったつもりだと思っているのは事例相談者です。
 
何故、クライエントに前向きな変化が起こらなかったのか、
本質を一緒に考えていくわけです。
 
事例指導者はその時、的を射た見立てを持っていることが必要で、
その見立てに、事例相談者の気づきを促せるよう働きかけていきます。
※勿論、例えば事例相談者の抱える問題の本質がもっと深い場合等、
見立てを変えていくダイナミックさを持つことも重要です。
 
その方法は様々ですが、
先程の事例指導を受講する際の、事例相談者の不安要素を思い浮かべると、
どうすれば良いか、どう工夫をしていけばよいか、
考えていけると思います。
 
そして、次のステップですが、
事例相談者が自身の問題の本質におぼろげながら気になり始め、
内省を進めて徐々に気づきがはっきりとしてきます。
 
場合によっては、
事例指導者は、その気づきをより具現化していくため、
実際のケース記録を使って、その場で一緒に実践をやってみることも効果的です。
 
また、そのようにやっていくことでクライエントはどう変化したと想定出来るか、
事例相談者に根拠のあるイメージをさせていくことで、それをやる意図に納得出来ます。
 
このどこに向かえそうかというイメージは大切ですよね。
 
 
ここでもとても重要なポイントがあり、
 
”何故、目の前の事例相談者は、今回のような問題を抱えたのでしょうか”
 
という事例指導者側の視点です。
 
 
何かにつまづいていたからこそ、
今回の事例で問題を抱えたわけですが、
他の似たような事例ではその傾向はないのでしょうか、
若しくはこれからの面談は大丈夫でしょうか、
 
ここに焦点を当てることが、
事例相談者が今日気づいた点を継続・強化していけることに繋がります。
 
これが事例指導の本質ですよね。
 
ケースを概念化をする時の働きかけについて、
「他にもこのような事例はありませんか?」
というような問いかけを画一的に行うだけではなく、
 
『今回の事例に似たケースを扱うことはありますか?』
 
とか、
 
『このようなところで前に進めないときは、今お気付きの点を意識されたらいかがでしょうか?』
 
『今日学べたこと、気がついたことを、他の面談でも活用したり継続していくためには、どのように行動したらいいと思いますか?』
 
というような問いかけ、働きかけは、
実際の現場で有効なアプローチになります。
 
いかがでしょうか。
 
何かヒントにしていただけたら幸いです。
 
CVCLAB/小林幸彦