今回は、

1級キャリアコンサルティング技能検定の面接試験にある
口頭試問について解説をしてみます。
 
ある程度、質問が想定出来ている方が多いと思いますが、
今回から数回に分けて記事をアップします。
※私が想定しているだけの内容ですのでご理解願います。
 
既に受検経験のある方はご存知だと思いますが、
1級の口頭試問は質問数がとても多く感じます。
 
口頭試問は10分と決まっていますが、
緊張感がある中、2名の試験官から、
次から次へと要点が掴みにくい漠然とした内容に聞こえる質問が飛び込んできて、
 
こちらの脳が受け止められない…
というか、試験官からの質問内容を処理しきれない感じになって、
戸惑う方も多いのではないかと思います。
 
「そんなにいじめないでください…」
という感じでしょうか。
 
しかも、
質問されたら、レスポンスよく答えなければと思い、
余計に脳が働かない、
何と言い出せばいいのか整理がつかない、
的外れなことを言わないように意識はしてるが、どう要点を伝えればいいのか、
論理的にきちんと答えようと思えば思うほどドツボにはまっていくような感じ。。。
 
そして、
もっともらしい言葉をただ並べるだけで精一杯。
自分で何を言っているのか整理がつかない事も…。
 
口頭試問が終わってみると何と答えたかも覚えていない…。
 
せっかくロールプレイは
”そこそこ上手くいったぞ!!”
と自己評価していても、
口頭試問がダメだとがっかりしてしまいますよね。
 
口頭試問で試験官から聞かれたことをしっかりグリップして、
要点を網羅して答えたいところです。
 
 
口頭試問では、
今回のロールプレイの場面場面での裏付け等が必要になったり、
また、受検者の方の日頃の姿勢(指導レベルのキャリアコンサルタントとしての姿勢)
を問われるような内容(自己研鑽や周囲への啓蒙等)に及ぶこともあるのではと思われます。
 
今回は手始めに【Part1】として、
過去の試験実施概要に記載されている
口頭試問の例(第6回の試験実施概要と一緒であるかご確認ください)
を使って、私の考え方を解説します。
 
①今回のロールプレイを振り返って、ご自分の良かった点、改善したい点は何ですか。
 
 
この質問についての私の捉え方ですが、
ロールプレイが上手くいったかどうかではなくて、
質問の本質を考えて、事例指導の目的からの視点で考えられると良いと思います。
 
良かった点とは、
客観的にみて特に事例相談者に育成的な支援が出来たところとその根拠を答え、
改善したい点は、
どこをどうすれば事例相談者にとって、より効果的な事例指導になるということを
根拠をもって答えていきます。
 
その場で自分が行った事例指導全体の振り返りが出来るということはとても重要で、
自分のロールプレイが出来た出来ないについての主観ではなく、
事例相談者にとって事例指導がどのように役に立ったのか、
それはどんなところからそう言えるのか、
常にその視点で答えられると良いのではないかと私は思います。
 
また、私が良くないなと思う例では、
改善したい点として謙虚な姿勢を示すことにあまりにも偏り過ぎてしまい、
良かれと思って、自分がロールプレイで出来なかったところや失敗したところを懸命に伝え、
結局、その理由を長々と話し続けてひとり反省会のような答えになったりする例です。
 
ここでは指導レベルのキャリアコンサルタントとしての能力を試験官に評価いただいていると考えれば、伝えていくべき視点が違うと気づくのではないでしょうか。
また必要以上にへりくだることはどうかと考えます。
 
※あくまでも私の経験や捉え方ですので、ひとつの考え方だと思ってくだされば幸いです。
 
②この事例相談者の事例の進め方の問題は何でしょうか。
 
この質問は事例相談者がキャリアコンサルティングの
面談プロセスの中でどこにつまづいてしまっているのか、
それはどのようなところからそう評価出来たのか、
どうしてそうなってしまったのか、
それを修正することで事例の進め方はどのように変化したのだろうか、
というように、根拠をもった見立て方を説明します。
 
特に私は、
『事例相談者はどうしてそうなってしまったのか』
という点を明確に答えるようにしていました。
 
何故かと言えば、
事例相談者は良かれと思ってそのような面談を行ったわけで、
本人はそこに問題があることに気がついていません。
 
それは何故でしょうか。
 
ということです。
 
例えば、
事例相談者は、クライエントの感情に寄り添うあまり
(実際は本当に寄り添えているかわかりませんが…)
クライエントのためを思ってそうしたわけで、
そこにとらわれてしまっているからこそ、そうなってしまったのです。
 
つまづいてしまっている所や、
そうなってしまっていることだけを問題として挙げていると、
ちょっと浅いような感じですよね。
 
いかがでしょうか。
 
③事例相談者の問題を事例相談者と共有するためにどのような働きかけをしましたか。
 
これも口頭試問で聞かれると真っ白になりやすいですよね。
 
1級の口頭試問を経験したことがない方は、この質問を文字で読むと
「聞かれていることはわかりやすいことではないか」
と思われる方もいらっしゃるとは思いますが、
 
例えば、
『今回の事例指導で事例相談者の問題を事例相談者と共有するために事例指導者としてどのような働きかけをしましたか。』
と、
「今回の事例指導で」「事例指導者として」が増えただけで、
わけがわからなくなるものです。

試しに、自分で試験官になったつもりで質問を読み上げてスマホで録音してみてください。
そしてそれを自分で耳だけで聞いて質問に答えられるかやってみればわかります。
 

元々、そのままの文面で聞かれても、ちょっと考えなければ整理して答えられないのに、
このように、似たような言葉を入れ込み繰り返されるだけで、
混乱してしまいますよね。
 
聞かれていることがわからなくなったら、
推測で答えないできちんと質問を確認しましょう。
 
でも極端ですが、全ての質問を聞き直していたら、
この人、人が話していることを聞いているのかな、
理解度が足りないのかな…
みたいになってしまうことは避けたいですね。
 
出来る限り、神経を集中して、
聞かれていることを自分の中で消化して答えていきましょう。
 
お話しは戻りますが、
事例相談者の問題を事例相談者と共有するために働きかけていったことを答えていけばいいのですが、
これは事例指導の大切なポイントです。
 
単に、
”ここでこのように言って事例相談者が気づくようにした。”
とかではなく、
 
事例相談者は自分で考えがあってクライエントにこのように働きかけていたり、
提案をしたりしているので、
その点を肯定的に受け止め、
そして、それでも上手くいかなったことの原因を一緒に考えていくために、
面談プロセスの重要性の理解度を確かめながら、
どこでどうすれば事例相談者の働きかけや提案をクライエントが受け入れてくれそうか、
もしくは、どうすればクライエントの行動化に繋がったのだろうか、
 
このように、
事例相談者の気づきに繋がるように工夫したこととその意図を説明出来ると良いと思います。
 
またこの質問で大切なのは、ケースの概念化です。
 
この事例ではこのような問題がありましたが、
他の事例では大丈夫ってことではないので、
要は、事例相談者の問題の本質が解決しなければ、
他の事例でも同じ面談傾向が出てしまう可能性が高いわけですよね。
 
ですので、問題の共有は、ケースの概念化まで出来、
それで事例相談者が自身の問題を把握することが大切です。
 
口頭試問でも忘れないで欲しいポイントです。
 
なお、口頭試問については、
事例指導の評価に関するポイントが中心に出てくるわけなので、
ある程度、ご自身の評価をきちんと表現出来る準備はしておいた方が良いと思います。
 
次回、口頭試問の別バージョンを解説していきます。