本年最後の記事をアップさせていただきます。
数あるブログの中から、いつもここへアクセスいただき感謝申し上げます。
来年は酉年ということで、皆様がより一層飛躍されますよう、
微力ながら出来る限りの応援をさせていただく所存です。
もっと記事内容を充実させて、日々の更新やメッセージ発信等に努めてまいりますので、
来年もお付き合いいただければ嬉しく思います。
どうぞよろしくお願い致します。
今年最後の記事は、
「事例把握」の方法について、私が1級の実技面接試験で行った事を書いてみます。
実際のスーパービジョンを行うときは、
私は事前に逐語記録かケース記録を受講者の方に送っていただくようにしていますので、
事例指導を行う前から、その事例内容と事例相談者が問題や課題にしていることがある程度把握出来ています。
その点では、技能検定の面接試験について、どうやって30分という短い時間の中で、
事例を正確に把握すればいいのだろうかと考えていました。
皆様はその点はいかがでしょうか。
事例相談者と出会って間もないのに、
「では今回の相談の事例を説明いただけますか?」
「事例の必要なポイントを説明いただけますか?」
「ちょっと事例を読むので待っててもらえますか?」
というようなギクシャクしたアプローチになっていませんか。
以前にも書いてきましたが、1級実技面接試験では、
ケース記録を読むことが出来るのは試験開始後となります。
受検者の皆様には、既にロールプレイケース概要が届いてはいますが、
いくらその概要から事例を仮に想定して練習していても、
実際に試験会場で出てくる事例内容は想像していた内容と異なることも当然です。
だからといって、せっかく事前にオフィシャルに受検者の方々へ送付されている事例概要を活かさない事は非常にもったいないですね。
私のやり方は、送付されてきたロールプレイケース概要の大切な箇所を活かして、様々なストーリーを描いてみます。
そして数種類のケース記録を作成することから始めます。
※的外れなケース記録を作成してもあまり意味がないと思います。
さすがに逐語記録まで妄想の世界で作成するのは、脚本家等の才能がないと、作業中に
『私は何をしているのだろうか…』
と、ふと我に返り、モチベーションが低下したり疑心暗鬼になったりするでしょう。
これはやってみるとわかります。
ここでのケース記録の作成は、ロールプレイケースをもとに自身の面談経験等を反映させたり、
実際のケース検討等の準備のイメージでやれば作成しやすいので、
色々な自己資源の素材から、あくまでも練習だと割り切ってやってみられると良いと思います。
そして、自分が作ったケース記録を用いて、一人でイメージトレーニングをすることも良いですが、
広がりを持たせるためにも、実際のキャリアコンサルタントの学び仲間に、自分の作成したケース記録を渡し、事例相談者を演じてもらうことも凄く勉強になります。
これは自分が作ったケース記録内容でありながら仲間(他人)が演じると、
その人の考え方や視点、経験等から異なる解釈や視点も大いにあり得るわけで、
その異なる点を加味して事例相談者を演じてもらえるため、自分が予想していたこと以外のストーリーや反応が返ってきたりします。
すると指導面接が思うように組み立てられなくなったりしますので、面接展開をしっかりと考えられます。
また、1級の受検者同士で同様のことを行うのも有意義な時間が作れます。
キャリアコンサルタントのお仕事に関することをやってきている方であり、且つ、1級を目指す方々であれば、今回のロールプレイケースの内容から、そこまで突拍子もないケース記録を作成することはないと思いますので、個々で作成したケース記録を持ち寄って、それぞれで交換して事例相談者の役割をしっかりと演じられれば、相当な勉強になるのではないでしょうか。
このやり方は私の講座でも実施しています。
そして本題です。
「事例把握」の方法ですが、
先ず、30分の面接試験時間をどのように考えるか、非常に重要です。
これは、事例相談者の育成時間であり、
事例相談者の問題解決のためだけに使われる時間でなければなりません。
受検者(事例指導者)の方のために設定された30分ではないということを忘れてはいけないということです。
※勿論、検定試験ですので、その視点だけで見れば受検者の方の時間ですが、実践と同様の姿勢で臨むべきです。
このことから、事例相談者との指導関係がままならないまま、
受検者側の都合で、「事例把握をしたいから説明して欲しい」と言うと、
きっと、
”そこに書いてある内容の通りです”
なんて、どこか素っ気ない返事がくることでしょう。
実際のスーパービジョンでも、
事例相談者の育成指導のために説明をお願いした場合と、
事例指導者の情報収集のために説明を促した場合とでは、
大きな差があります。
それは、事例相談者にとって大きな差があるのです。
実際に事例の内容は事例相談者から聴かなければわかりません。
ですから、最大のポイントは、事例を把握することが目的ではなく、
目の前の事例相談者が持ってきた事例の何に問題を抱えてしまっているのか、
何に悩んでいるのか、事例相談したいことは何なのか、
先ず、目の前の事例相談者の考えていることを聴かなければ成り立たないということです。
そして、スーパービジョンは、カウンセリングではありません。
話が少しそれますが、
事例相談者の個人の問題(専門家同士としての事例指導・育成以外の問題)には触れることは出来ないので、実践ではここらへんもしっかりと意識しておかなければならない点ですね。
面接試験に戻り、
「事例把握」は、ケース記録を読み込むことではなく、
事例相談者の事例への思いや考え方、問題の捉え方等にしっかりと耳を傾けることから始まります。
事例相談者は、指導者がどんな形で指導面談をしてくれるのか、不安と期待が入り混じっています。
抵抗を感じたり、摩擦が発生したり、色々あります。
その原因はなんでしょうか。
論述試験の解答では、
「CLのペースを無視してCCが自分の価値観を押し付けている」
「CLの問題把握が出来ていないままCCのペースで方策を提示している」
みたいに事例相談者の問題を記述された方もいらっしゃると思います。
事例指導者にも同じようなことが当てはまる場合があります。
ここでインスパイアされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事の内容にご納得された方、何か気づかれた方なら、
どのように時間の中で事例把握を進めていくでしょうか。
来年、1月と2月前半にCVCLABの面接講座を受講される方は、
この点をしっかりと意識して臨んでいただけたらと思います。
以上で事例把握について書かせていただきました。
最後になりましたが、
来年は、受検者の皆様にとって、必ずや合格の年とすることが出来るよう心からお祈りしております。
素晴らしい新年をお迎えください。
それでは、また来年!
年末年始は色々と忙しいと思いますが、
お互いに頑張りましょうね。
CVCLAB/小林幸彦