今回は、前回の事例相談者の問題点を概念化したところから、

の流れとして、問題解決のための目標設定とその合意について書いてみます。

 
 
事例相談者自身が自分の面談の問題点として、ケースの捉え方の偏りや面談の進め方の癖などの傾向に気がついて、その問題が原因で面談がうまくいっていないという理解が出来て、初めてその問題を修正したい、直していきたい、解決したいと考えられます。
 
 
ここで、問題を解決と言っても、実際はその問題となる癖や捉え方自体が事例相談者に身に付いてしまった原因を払拭していくセッションを行わなければ解決出来ないことになりますよね。
なので、問題を解決出来る目標設定とは、
問題が出ている原因の逆の表現をすると比較的しっくりくるのではないでしょうか。
 
例えば、
 
『CLが自身の問題の本質に気がついていないにもかかわらずCCペースで目標設定と方策の提示を行っているため、CLはCCの提案に合意が出来ず問題解決の為の行動化に繋がらない』
 
ということが事例相談者の問題の本質とします。
 
 
逆の表現と言っても、事例指導は目の前のCCの成長支援が目的なので、CLが問題解決の為に行動化出来ることや行動化出来るようにすることが目標とはなりません。
 
"面談プロセスに沿って進められるようにCLへ問題の本質を気づかせるための働きかけが適切に出来るようにすること"
 
というような感じの目標設定が良いのではないでしょうか。
 
 
ただし注意が必要です。

実際のスーパービジョンにおいて、上記のように論述試験の解答内容みたいな目標設定では、事例指導者からライブでそう宣言された時、事例相談者としてはあまり面白くありません。
 
ロープレでここを切り取って体験してみるとわかります。
 
いくら、自分の問題がそこにあって、気づきや自覚が出来ていても、
露骨に指導目標として言われると意外と抵抗があるものです。
 
事例指導者として、事例相談者との指導関係を維持する力や、事例相談者自身の問題解決への意欲を向上させていく力も問われるのがスーパービジョンの難しさなので、
面接試験で形式的に進めてしまっていると、
一気に指導関係崩壊…
なんてことになりかねませんね。
 
 
さっきまで、問題点の共有、概念化が上手く進んでいたのに、
急に事例相談者の態度が変わって意欲が失せた様子になるなど、こちらからの企画や提案を受け入れてもらえなくなるということがあります。
 
 
前回も書きましたが、いくら事例指導者視点の問題が図星で、目標設定も適切だったとしても、相手も人間ですので、事例指導者のペースで進められてしまうと人間関係に違和感や不信感を覚え、提案が素直に聞き入れられなくなるものです。
 
 
問題が明確化して、さらに自分の癖や捉え方自体に偏りがあったことをさらけ出されると、
事例相談者はそれが正しいだけにショックや抵抗を受け表情に出ます。
だからこそ丁寧に扱いたいですね。

 
もし、事例相談者の態度に何か受け入れていないような変化があった場合は、
事例指導者側から、
 
「私が何か気に触るようなことを言ってしまったのであれば申し訳ありません。出来れば教えていただけませんか?」
 
と誠実な姿勢で事例相談者に聴かせていただく勇気が必要です。
 

事例相談者も自分の面談を良いものにしたいと思って指導を受けに来ているのですから、
このような局面での事例指導者の謙虚な姿勢は勉強にもなり、且つ勇気を得られると思います。
 

お話を戻しますが、事例相談者の問題を本質的に共有出来た後、あからさまに作業的に目標設定を行うのではなく、
 
実際は面談プロセスに沿っていなかったというよりは、〇〇さん(事例相談者)は、CLが気がつくように先に方策を提示して考えさせようとしたところが、CLはそこに気がつかず、結果、〇〇さん(事例相談者)が企画した内容をCLが実行に移せていない感じですよね。
〇〇さんはそこにしっかり気がついていらっしゃったので、良ければ今回の事例指導の中では、CLが自身の問題の本質に気づけるようなアプローチを検討出来るように、〇〇さん(事例相談者)がお持ちいただいたこのケースを使って実際に一緒にやってみませんか?
 
 
このように、この場での指導目標をさりげなく宣言して伝え、且つ、目的を持って取り組めるように、そのやり方まで包括的に提案してみます。
 
 
すると事例相談者は、
 
「はい!お願いします。」
 
と元気に受け入れてくださることでしょう。
 
 
これが、この面接で取り組む目標となり、事例相談者にとってもやってみようと思える合意を得た内容になるのではないのでしょうか。
 
次回は、方策の共有と実行について書いてみます。
 

この記事を読んでくださっている方々、
1級キャリアコンサルティング技能検定試験の合格に向けて、引き続き頑張って欲しいと思っています。


年末年始は何かと忙しくあっという間に過ぎてしまうことでしょう。


すると瞬く間に各々面接試験日が近づきます。


すき間時間を活用してでも、何度も面接の最初から最後までの大凡の流れをシュミレーションしてイメージトレーニングを重ねてください。

 
CVCLAB/小林幸彦