今回、事例相談者の問題の本質から、概念化をしていくことについて書いてみます。

 
前回まで、事例を通して、そのクライエントに対し、
事例相談者の問題はどのようなものがあるかという内容を解説してきました。
 
これは、
●事例相談者視点の問題
●事例指導者視点の問題
 
この2つの視点があることと、どのようにそれらを、
事例相談者との面接で効果的に共有していくかということを書いてきました。
 
先ず、キャリアコンサルティングの基本的なプロセスに当てはめていくことで、
事例相談者の弱い点を一緒に検討出来、手掛かりを得られることを解説しましたね。
 
事例相談者のキャリアコンサルティングの問題で、
一番の根っ子になるところがどこにあるのか、持ち込まれた事例で掴めたら、
事例相談者がその根っこの問題に納得していて、修正したいと思わなければ成長に繋がりません。
くれぐれも事例指導者のペースや価値観で、先走りした指導をしないように気をつけたいところです。
 
また、特に大事な点は、何故この事例でこのような問題の本質が見えてきたのでしょうか…
という点です。
 
この事例でたまたまそうなったということではなく、事例相談者は知らず知らずのうちに、
他の事例においても、今回と同じような事例の捉え方、進め方、視点の持ち方等をしている可能性がありますよね。
 
目の前の事例がうまくいかない原因はわかったけど、
他の事例では大丈夫… ということではないと思います。
 
その傾向があることに気づきを促すためにも、
基本的プロセスに当てはめていく作業はとても重要です。
 
"自分はここは出来てると思ってたけれど、こうして振り返ると、結局ここが甘いからこうなったんだな"
 
こんな問題点に気づきや理解を得られれば、
 
他の事例でもそんな傾向がなかったかな…
これから面談プロセスをもっと意識していこう…
これからの面談でやってみたいな…
 
というように、事例相談者のキャリアコンサルティングに関する自己効力感も上がるし、課題を明確にして事例指導を受講出来ることや、今後の仕事(キャリアコンサルティング活動)に臨めるという多大な効果が生まれます。
 
これを、
『概念化をする』と言います。
 
スーパービジョンのとっても大切なポイントで、
これが出来て、事例指導者視点の事例相談者の問題が明確化し、
問題解決するための優先的な目標設定が可能となります。
 
目標設定は事例相談者自身が
 
"ぜひそこの修正に取り組みたいです"
 
と受け入れられていなければ指導面接は進みません。
 
そして、その設定した目標を確実に達成するためのプランニング(企画)を具体的に設計する工程に入ります。
 
これらの一連の流れは、
事例相談者に主体的な学びをしようとする気持ちとやる気が必須になります。
そこには、事例指導者の働きかけが重要な役割があります。
 
次回は、概念化を行なった後、事例相談者との目標設定、
及びその共有をどのように行っていくか、
ご参考までに流れを少し掘り下げて解説してみたいと思います。