1級キャリアコンサルティング技能検定の面接試験について、
【具体的展開力】の評価内容を解説します。
 
 
『事例相談者の問題を解決するために、適切な目標を設定し、効果的な指導を企画することができること。』
 
 
前回、【問題把握力】の解説で、
事例相談者の面談の進め方に癖や思考が偏ってしまっていることがあるので、他のケースでも同様の傾向がないか確認して概念化を行うと書きました。
 
そして、事例相談者が自分のその問題に気がつき、受け入れ、その問題を克服したいという気持ちになって初めて指導目標と方策の設定が出来るようになります。
 
 
問題把握のところで、その事例だけでの話しか出来ていないと、そのケースでの問題だけに留まってしまうので、どうしてそうなったのか、どうしてうまくいかないのか等々、掘り下げていくと、事例相談者の問題の本質が掴めるわけですよね。
 
問題の本質が掴めれば、その問題を解決するための適切な指導目標設定が行いやすくなります。
 
そして目標を事例相談者と共有化して合意が得られたら、目標達成のためにどんな事を実施していくのか、これを企画していきます。
 
事例相談者がせっかく時間をかけて指導を受けるために事例を作ってきてくれているので、概念化を行なった後、再び事例を使って、問題に関わる部分に焦点を当てて、
「今ならどのようにクライエントに応じていけそうですか?」
「ここではどんな風に質問をしてみますか?」
「そうするとクライエントはどんな変化が起きそうですか?」
等々、具体的に練習をしていく事があります。
 
ただし、いきなり事例指導者がこのように進めていくのではなく、
 
事例相談者に、
 
「これこれこういう練習をすることによって実際に体験が出来て、さっきの気づきを深めていけると思うのでやってみませんか?」
 
「こういう練習でやってみて出来れば、次からその点を注意して面談を進めていけば、とても良い面談になるのではないでしょうか?」
 
こんな働きかけを行い、やる事の意味を伝えて納得してもらう事が重要です。
 
これを効果的な指導を企画するという点にあたります。
 
 
そして、
 
『事例相談者に対して、適切でわかりやすく、理論的・具体的な説明を行うことができること。』
 
と評価内容に記されています。
 
 
これは例えば、
上記の企画した事を進めていきながら、
 
Svor1 ここでのクライエントの発言にどんな支援が考えられますか?
 
Svee1 思い込みが強いので…うーん。
 
Svor2 そうですよね。そこに気づけて良かったです。では、思い込みが強い状況の時、このクライエントにはどんなアプローチが効果的でしょうか?
 
Svee2 認知的アプローチでイラショナルビリーフを無くしていくのがいいと思います。
 
Svor3 その調子です。ではちょっとやってみましょうか
 
Svee3 はい、お願いします。
 
 
こんな感じですよね。
 
こうして実技試験のライブで具体的に実施することは非常に有効です。
 
試験官二人が思わず首を縦に振ってうなづいてしまう位のライブを魅せましょう。
 
 
最後に、
『指導プロセスにおける個々のセッションの中で、事例指導者が企画した指導方法を効果的に遂行するために、専門的な介入を行うことができること』
とあります。
 
事例指導者からして
『ここに気づいて欲しいな』
『こうすればいいのにな』
とセッション中に思う事があります。
 
決して事例指導者が欲しい答えを押し付けるのではなく、
どうしても事例相談者が気がつかない時や、わからない時は、
 
「ちょっと良いですか?
私だったらこうするけど…どうでしょうか。
ここの応答を代わって私がやってみましょうか」
 
「クライエントになってみてどうでしたか?
私の働きかけでクライエントはどんな気持ちになりましたか?」
 
このようにセッション中に専門的な介入をしていきます。
 
事例相談者が気づき納得をしたら、
再度、事例相談者にやってもらい、それが出来たらきちんと承認して、その方法を理論的に解説して事例相談者の理解を更に深めていきます。
 
この辺りを丁寧にやれていると、
きっと具体的展開力は高得点が得られると私は思います。
 
また、忘れてはいけない事が、このクライエントを支援するための事例相談者のネットワークと環境への働きかけを検討することです。
 
事例相談者自身がスキルアップを常に行えるように働きかける事や、クライエント自身の環境の問題はなかったか、クライエントの環境へどんな働きかけを行う事が効果的であるか等、検討を進めていきます。
 
こうする事で他のケースでもこのような視点を持つ必要性が理解出来ていくと思います。
 
その後、クロージングとして、今回の事例指導を受けてみてどうだったか、
わかった事、わからない事、気づいた事、モヤモヤしている事を振り返り、
どうすれば良いかを事例相談者と検討して必要に応じて次の課題を設定して終了します。
 
 
【問題把握力】と【具体的展開力】は、1級キャリアコンサルティング技能検定の特に難易度の高い評価項目だと私は考えますので、
日々のお仕事でもしっかりと意識してやっていって欲しいと願っております。
 
 
これで1級実技面接試験の評価区分とその内容について解説を終えたいと思います。
 
受検者の皆様、本当に頑張ってくださいね。