イギリスの旅行会社のトーマス・クックが破たんした。180年近くの歴史を持つ会社の破たんは大きなニュースになっているが、同時にCDS市場でも議論が巻き起こっている。CDSのデフォルト事由に該当するかどうかはISDAの判定委員会で決まるが、強制清算が信用事由に該当するという判断を下したことにより、CDSの買い手は利益を上げることとなった。

 

通常のヘッジであれば特に問題がないのだが、単にデフォルトに賭けて投資をしていたヘッジファンド等が多かったようで、中には救済案に反対するファンドもあった。また、トーマスクックの社債を保有していた投資家がCDSの売りも同時に行い、2倍の賭けをしていたところもあったようだ。そしてこうした2倍の賭けを行った投資家が救済のためにローンまで出していたというニュースも出ていた。しかもそのローンには、救済案がCDSのデフォルトを起こさないという条件が付いていたとのことだ。こうなると企業再生の行方がマネーゲームに翻弄されるような様相を呈するようになってしまう。

 

救済のためのローンを出すということは、CDSの価格に大きな影響を与える情報なので、重要な未公表情報であるように思えるが、その情報を持った上でCDSを売るというのはどういうことなのだろう。内部でウォールを設けて投資をしているのかもしれないが、話だけを聞いていると非常にグレーである。

 

日本でも今後破綻しそうな会社が出てきた場合は、突然どこからか海外のファンドが現れて、会社更生法など信用事由として認定されやすい方向に導こうとする動きがみられてくるのかもしれない。今回の混乱を見ていると、CDSマーケットにも何等か制度変更が必要なのかもしれない。