日本の金融取引の活発化を妨げる一つの理由として、市場が開いている日数の違いがあるような気がしてならない。

年号変更にかかる特殊事情もあったが、今年の営業日数は以下の通りである。

米国:252

欧州:253

アジア:246

日本:241

これはNY、London、香港、東京を拠点とした場合を前提としているが、日本の営業日は欧米に比べて10日以上少なく、アジアに比べても5日少ない。10日というと全体の5%にあたり、欧米に比べて5%マーケットが開いている日が少ないということになる。

グローバル金融機関では全体の予算策定をする中で地域ごとの目標を立て、一日当たりの収益目標を計算するか、日本の地位を保つためには、他地域より一日辺りの目標が高くならざるを得ない。一年間の経済活動が同じというのであれば、一日当たりの収益などはあまり気にしなくても良いのかもしれないが、こと金融に関しては、やはり市場活動をしている日数が少ないということは金融活動も減っているというのが現場の感覚だ。拠点間に人員、コスト等を割り当てる議論になると、日本は5%分ハンデを背負っているように思えてしまう。

 

各従業員の休暇日数は変わらないので、一人当たりの年間仕事量は変わらない。というよりは海外の方が有給取得率が高く、日本の方が残業時間が長いので日本のスタッフの方が労働時間の方が長い。ただし、海外ではチーム内の休暇をずらすことによって年間の収益の最大化を図れる。日本の生産性が低いと言われるのは当然である。

 

日本に祝日が多いのは、日本人が有給を取らない、取りにくい文化があるからと言われることがあるが、それによって全体の経済活動を止めてしまい、結果的に一人当たり年間労働時間が長くなってしまっているというのは本末転倒だ。昨今の働き方改革で本当に残業時間が急減しているのを見ると、そろそろ有給休暇をうまく義務付けることによって、祝日を増やさなくても国民が休める方向に持って行った方が良いと思う。そうしないと世界からますます取り残されてしまう。祝日を増やしたとしても結局どこも混雑しているため、ゆっくり休むという訳にもいかない。

 

金融に関しては、欧米のように、祝日でも半日だけでも市場を開けるとか、リスクを減らすために資金決済の時間を設けた方がよっぽど合理的だと思う。5月の10連休時は結局海外市場の急激な動きを警戒したり、海外取引に伴う資金決済に対応するため、海外旅行等を取りやめて自宅待機した金融機関関係者は多かったと思う。こんな10連休なんていう金融の歴史上例を見ないイベントの時に海外旅行なんかするのは何事だという雰囲気もあったやに聞く。

そのくせ台風が来たとか地震が来たという時でも、市場を開けるために皆が必死で努力をしており、BCPと称して何があっても市場を支える為にコストのかかるバックアップ拠点を作ったりしている。外資系であれば香港等他の国からバックアップすれば良いのだが、ライセンスの関係でこれも非常に難しい。911の週は米国市場はクローズしていたと思うが、311の次の月曜に日本のマーケットは開いていた。香港では大きな台風が来ると帰宅命令が出てオフィスはクローズされるが、日本では会社に行くために丸の内、大手町周辺のビジネスホテルは台風の前日になると満室になる。こんな危険なことをするよりは、祝日にマーケットを開けた方がよっぽど簡単な気がする。

 

また、考えすぎかもしれないが、今年の1月3日のように、日本人だけが働いていない時間帯を狙ってアルゴ取引などを仕掛ける動きもあるように思う。今後はこうした市場変動も考慮しながら銀行営業日は考えた方が良いのではないだろうか。

 

日本の収益が低下しているから日本拠点の縮小をすべきという話が出るたびにいつも思うことであるが、祝日を減らして有給を義務付けるか、祝日でも一定の金融取引を継続する方向に進んで欲しいと切に願う。でないと日本は世界からますます取り残されてしまうことなるだろう。