米国補完的レバレッジ比率(SLR)の見直しに注目が集まっている。
米銀はティア1レバレッジ比率、SLRを満たすために十分なティア1資本を保有する必要があり、特にデリバティブ取引が多い銀行については、CCARのストレス時のSLRが最大の制約要因になっているのはよく知られた事実だ。
FEDが検討している修正SLR(eSLR)とストレス資本バッファ(SCB)が最終化されると、この制約がかなり小さくなるだろうというコメントが米銀トップから出された。この修正によって、大手米銀8行のティア1所要資本は$12bn程度減るだろうとのことで、うち$9bnはeSLRから、残りはデリバティブ取引のトータルレバレッジエクスポージャーの計算方法の修正によるものとのことだ。
現行の米国SLRは3%の最低基準に加え、2%のバッファが求められている。今回はこの2%のバッファを銀行ごとに異なるG-Sib資本サーチャージの半分に変更される。
現行SLRは、リスクではなくサイズを縛るもので、どんなにリスクが小さくても金利スワップの想定元本が大きければ資本を積まなければならない。バックストップとしては有用性があるのかもしれないが、これが最大制約となると、例えばリスクは少なくても元本の大きい短期スワップができなくなり、よりリスクの大きい長期スワップを選好するようになってしまう。
この修正が行われると、レバレッジ比率ではなくリスクベースの自己資本比率等が最大の制約となり、リスクテイクのインセンティブメカニズムが修正される。これによって恩恵を受けるのは、レバレッジ比率計算上の掛け目の大きい通貨スワップ、CDS、コモディティ取引、レポ取引になるのだろう。
日本にとっては為替スワップ、通貨スワップやレポによるドル調達が重要なので、この変更は日本の機関投資家にとってプラスに働くかもしれない。個人的には米銀の行動を最も大きく変えたのがこのSLRだと思っているので、この変更が市場に与えるインパクトは相当のものがあるように思う。今後の議論の進展に注目したい。