持ち家と賃貸、どちらが良いか?
買っちゃったから、知らないよ。
===========================「残念なイケメン俳優」業界での評価
<お金の人生相談/ファイナンシャルプランナー・花輪陽子>
◆相談:32歳、これからを考えたとき、家は借りるべき?買うべき?
●結局のところ、どっちがお得なの?(32歳・女性・会社員)
夫婦+子ども2人の4人家族で都内の2LDKに住んでいます。そろそろ手狭になってきたので3LDK以上の物件に引っ越しを考えており、「マンションを買う」という選択肢も浮かんできました。夫婦ともに共働きで都内に勤めており、場所は都心、もしくは郊外でも都心へのアクセスがいいところがいいなとは考えています。
ただ、ここでぶつかるのが、雑誌の住まい特集などで何度も議論されているテーマ「賃貸と持ち家とどっちがお得か」という問題についてです。それほど変わらないとも聞きますが、実際のところどうなのでしょう。また、買う時期や狙い目の物件タイプなども教えていただけると嬉しいです。
◆まずは、自分のライフスタイルとマネー事情を振り返って
「持ち家 VS 賃貸」というのは永遠のテーマで、私がファイナンシャル・プランナーとして独立をしてから約10年、ずっと議論されてきているテーマの一つです。
結論から言うと明確な答えはなく、ライフスタイルやマネー事情によって、どちらが向いているのか、数字で計算をして冷静に判断をするのがよいと思います。
たとえば賃貸の大きなメリットとしては、身軽でライフスタイルの変化に対応しやすいことが挙げられます。
子供が独立をすると3LDKの部屋は必要ありません。子供部屋が必要な期間はせいぜい15年程度でしょう。その期間だけ広い部屋を借りるのも無駄がありません。
また、天災が起きるリスク、日本の社会問題(超高齢化社会)があります。持ち家の場合、こうしたリスクから自分だけでなく、マイホームも守っていく必要が出てきます。戦略的に考えていかないと、マイホームが重荷になってしまう可能性もあるのです。
◆実は、マイホームを持っていないからこその利点も
相続の際に、マイホームを持っていない「家なき子」だからこそできる節税もあります。持ち家のない相続人が「小規模宅地等の特例」を使い、亡くなった親などの住んでいた家の土地を相続すると、土地の評価額を8割も下げることができるのです。配偶者と同居親族に法定相続人がいない場合に限り、離れて暮らす家なき子が相続をしても特例が認められます。
将来的に実家を相続する予定があるといった人が賃貸に住み続けるのは、実はメリットが大きいのです。
持ち家のメリットとしては、「資産になる」「社会的なステータスになる」「賃貸住宅よりもグレードの高い物件に住むことができる」などが挙げられます。兄弟が多くて実家を相続できないという人などは、いざとなった時に自分の住まいを確保しておくと、老後まで住むところがあって安心かもしれません。
また、不動産は相続をする時に預貯金などと比べると評価額を下げることができるため、相続対策として不動産を購入する人もいます(家なき子の特例が使えない場合など)。
◆「買う」か「借りる」かは、数値化して冷静に判断しましょう
このように、メリットとデメリットを比較検討した上で、数値化して冷静に判断してみましょう。賃貸を借りる場合は少しでも家賃を抑えたいですし、購入の場合も可能な限りマイホーム取得費用を抑えたいものですよね。
購入の場合は自己資金が多くあると、住宅ローンの金利を優遇してもらえる場合もあり、自己資金がまったくない時と比べると金利負担が少なくなります。
例えば、6000万円の住宅ローンを金利1%で35年間借りる場合、毎月返済額は16万9371円で利息を含めた返済総額は71,135,820円になります。この他にも管理費、修繕積立金(当初よりも上昇していく傾向があるので注意が必要)、税金もあって、月20万円程度は住居費がかかると思ったようがよいでしょう。
仮に、現在35歳なら、繰上げ返済なしに完済できるのは70歳になります。家を買わずとも、15年程度は3LDKで家賃が月20万円程度の物件を借りて、それ以降は夫婦2人になるため、もう少し家賃を下げた部屋を借りるといった選択肢もあるでしょう。
◆マイホームを購入するなら、投資の元が取れるかも考えて
また、購入の場合は将来的に賃貸に出したり、売却したりすることも視野に入れておく必要があります。都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)などの一等地、駅近などロケーションがよいと価値が落ちにくいです。
反対に郊外で駅から遠い場合など、賃貸や売却に出すことが難しい場合もあります。現在は人口減少社会なのにもかかわらず、新築マンションがどんどん建っています。将来的に価値が落ちないマンションをしっかり選んでいかないと、売り手や借主がつかないということになりかねません。メリット・デメリットを比較検討して数字で計算をして、投資の元が取れるかを考えることが大切です。
<文/花輪陽子>