約14年前。 GSX-R1100で、左折の巻き込み事故にあった。
22日間、意識不明。 第五・六頸椎剥離骨折。
中国の赴任から何からご破算になった。

Uターン就職を決めて私は、そこまでの2年間仕事をしっかり行い、
海外赴任の機会をつかんだ。 それを失ったのだ。
代わりに言った人間は、一人は全然ダメ。もう一人も、よくやったと思うが、
組織作りの本質を分かっていない。 大体、日本を代表する企業なのに、
英語を一切話せない、逆に毛嫌いする社員がたくさんでいささか驚いたのだが。
この赴任で、業務を手中に収め、仕切るつもりだった。あとは、中国での結果を
残すのみだったが、そこまでは、順調に100%シナリオ通りだった。

ま、あの事故は、大きな事故だったわけだが、会社にとっても、大きな痛手に
なった。 彼女との会話に夢中になっていた馬鹿が、後続から迫ってる
GSX‐R1100に気付かずに、急に左折したのだ。
車間距離を取っていなかったせい…? 否、ウインカーを出さずに
急にハンドルを切ったのだ。 もう一つ言えば、手前の信号が赤で、
徐行以上に遅いスピードで、動いていた。 前方の車が、車間を詰めた分、
前方に移動させるような状態だった。
それを思い付いたように、渋滞を迂回するために、左にハンドルを切ったのだ。
左のタイヤに、ヒットされた自分は、左側をヨタヨタ走り、歩道を乗り越え、
歩道の奥のフェンスを乗り越え、前方宙返りで、頭から落ちたのだ。
22日間の意識不明の後、目を開けた私は、多くの救急病院がそうであるように、
早々に退院させられた。

22日間の意識不明って、結構、後遺症の残るものでね、肩凝りだけじゃなく、
まだ、完調にはなっていない。

良くなった、良くなったという話は、良く知人にも話すが、目が明いた時って、
その状態が全てだと思うんですよね? 未経験者は、分からないだろうけど、
あとから、その異変に気が付く。 例えば、骨折して、痛みがある場合は、
分かりやすいよね…。

私の場合、視覚的な異常があった。 遠近感がおかしかった。
人間の目というものは、3次元でモノが見える。
ところが、平面の絵画を見ているような感覚だったのだ。
この状態をどのように説明したら、良いのかも分からなかったし、
周りの人間も気が付かなかったようだ。

(当時)マンションの5階から、阿武隈連峰を見るでしょ?
遠くにあったはずの山々が、近くに見えるのよ。
違和感しか感じなかったな? 脳内に、少しでも出血があった人は
気を付けなければいけない。 ほんの少しでも、出血があったら、
瘡蓋(かさぶた)ができて、将来的に、脳にどんな悪さをするか分からない、
ということだった。 視覚的な問題は、当初からあったのだが、
自覚していなかった…? これは、残念ながら、うまく伝えられないと思う。
当時、この視覚的違和感を訴えることができたら、示談金は、もう3,000万円は
上乗せだっただろう。 今頃、気がついても、遅いけど、真実を理解するために、
時間を要することってあるよね…。

で、長くなりましたが、この視覚的問題が、治った。 異常に思っていなかった
視覚的問題が、治った。 ある日、モノが、しっかり3次元で立体的に見えた時、
異常に思っていなかった視覚的問題が治ったのである。

思えば、肩凝りの一部の原因は、視覚的な問題も影響していたと思うが、
とにかく自然に見えるようになった。 意識不明状態から目が覚め、
リハビリを開始しても、この視覚的な異常を認識することなく、
生活してきたことにも驚くが、近くに同じような状況の人がいたら、
周りの人はそのような観点でも、その患者を見守って欲しいと思う。
経験者じゃないと理解は難しいと思いますが、このようなことも
起こりうることを理解してあげたら、その人はとても感謝すると思います。