ホストファミリー体験日記 -10ページ目

ホストファミリー体験日記

日本で海外からの留学生を受け入れるホストファミリーを始めて10年が経過。いつの間にかゲストは25人を超えました。日本は狭くて、やっぱり世界はどこまでも広い。文化の違いに戸惑い、思考錯誤しながらの留学生との生活はどうして??だらけ。そんな多文化な日常の記録です。

いってきます。
この言葉に違和感を感じる留学生は多い。

違和感というか、これだけでは言い足りない感じがするらしい。英語では"Have a nice day."とか"Have fun!"とか、何かを付け加えるのが一般的で、"See you later."や"Bye."だけではそっけない感じがする。

「いってきます」だけ?日本人は他には何も言わないの?と。

「いってきます」は単に「今から家を出ます」と言う動作を相手に知らせるだけの言葉ではなくて、「またここに帰ってくるよ」の意味が含まれている。心はここにあるよ、という相手を気遣う意味も含まれてるから他には言わなくて大丈夫。「いってらっしゃい」も同じ。そう答えた。

便利な言葉というか、そんな事を暗に伝えるなんてまわりくどいというか...

英語では言わないと伝わらない。逆に言わない=思っていないという事になる。でも日本語の世界では沈黙が大きな意味を持つ。良くも悪くも。それは留学生にとって言語習得よりも遥かに大変で、理解するところまでたどり着けなかった多くの外国人が、日本に悪い印象を持って帰国してしまうのはとても残念だと思う。

その潤滑油になることが、ホストファミリーとしての私の一番の使命かな。
メキシコから留学生が来た時の話。

彼は私の長女(5歳)を見て、「どうしてピアスをしていないの?」と聞いた。私はびっくり。「メキシコでは女の子は赤ちゃんからピアスをしているのがフツー」なんだそう。何か宗教的な理由でもあるのかと思い聞いてみると、「お洒落のため」だって。

ラテンアメリカやアフリカなどでは女の赤ちゃんにピアスをする習慣があって、生まれた日にするのも一般的らしい。痛くないのか?!と心配するが、逆に成長が進むと子供が痛がるので余計にかわいそう...。ならば生まれた日やってしまおうと言う事か。

この習慣が根付いている理由は、社会の構造や、文化や、人々の考え方などがとても深く関係していると思う。男女平等をタテマエに掲げる国ではこの習慣は浸透しないだろうし。

世界は広い...。



061010
ホームステイの受け入れがあると必ず別れの日がやって来る。別れを重ねる事は、そのストレスと闘う事だ。何度もサヨナラしてきたけど、免疫がついたわけじゃない。ただ、別れの日を覚悟してホームステイに向き合う計算を身に着けたかも知れない。寂しい事だけど、そうじゃなきゃ正気でいられなかった気もする。

別れそのものが辛いというより、その日を境に留学生は私が知らない人生の新しいページを綴り始め、日々の生活から私は完全に消えてしまう。ホームステイ期間中はきっと誰よりも深く留学生を理解し、近い存在で、(多分........)必要とされていたのに。帰国して時が経っても心のどこかに私の存在は残っているはずだけど、普段表面に現れる事はなく、お互い違う世界に生き、時間が私達を少しずつ変えていく。いつか再会できたとしても、もう同じ私達じゃないのが、何だか想像すると一番辛い。

とても後ろ向きな見解だな、と自分で思う。ホストファミリーとして良い経験をしたと心から思えるには、別れの後、いつも少し時間がかかる。



050810
お友達の家にホームステイしているアメリカ人の留学生が、我が家に1泊で遊びに来てくれた。

何よりも良かったのは、たまたまその日に開催された町内の子供神輿に私達家族と一緒に参加してくれた事。見るからに外国人の彼は良い意味で目立っていて、町内の人も温かく迎えてくれた。法被を着せてくれたり、話しかけてくれたり。役員っぽいお父さんがえらく彼を気に入ってずーっと相手をしてくれていた。

私は町内付き合いは苦手な方なので、今までは町内イベントにあまり参加しなかった。でも長男が小学校に入学した今年からはもうそういう訳にはいかない。みんなの名前も顔もよく知らないし、緊張するなぁーと思っていた矢先だった。外国人を連れてきた私にも当然注目は集まる。単なる「新一年生のお母さん」ら「インターナショナルな新一年生 のお母さん」に格上げされたハズ!?

1泊というスーパー短期は今回が初めて。今まで9人の留学生を受け入れて来たけど、それとは全く別ジャンルの新しい体験だった。

とにかく短時間でお互いを理解し合えればと思うが、どうしようもない限界がある事にすぐに気がつく。

どうやら1泊には1泊なりの時間の配分の仕方があるらしい。

最終的にスーパー短期で一番大切なもの。それは「間」だな、と。電車の中。列に並ぶ間。エレベーターの中。何でもない小さな時間が、目的を持った時間と時間の間に無数にあって、それをムダなく利用し、お互いの距離を縮める事ができれば、全ての歯車が止まる事なく良い方向に回転する。でもこれは結構難しい。

結局反省点がいっぱいであっという間に終わってしまったが、とても楽しかった。

長期に慣れ過ぎていたけど、ま、こういうのもいいな、と思った2日間だった。


230510
私がホストファミリーをしている事を誰かに話すと、よく
「私、料理が苦手やから絶対できひんわぁ~!」
と言われる。

一般的には、ホストファミリーをしている人は料理が得意な人が多いと思 う。でも、私はどちらかと言うと料理は苦手。嫌いじゃないけど、決して 得意ではない..........。

1ヵ月くらいの短期なら自信のあるレパートリーでローテーションを組んで、何とか切り抜ける事ができる。でも、1年近い長期ステイになると、下手な事が絶対にバレてしまう。

昨年の夏、我が家に1ヵ月間ホームステイした台湾からの留学生は私の料理をいつも褒めてくれた。だから私がその気になって相当頑張ったのか、実際に料理のクオリティは高かったと思う。

..........それにしても今回の長期ステイに関して私の料理の腕は最悪に落ち込んでいる。

何故か失敗の連続.........。

勿論、長期って事をふまえて最初から頑張っていないってコトもあるかもしれないけど。

そんな時はいつも、

「失敗してん。ごめんな。」

と言って素直に負けを認める。すると留学生は受け入れてくれる。お客さんとしてではなく、家族として迎える意味がここにある気がする。作った事のないレシピに挑戦して、失敗しても一緒に残念がってくれれば、安心して挑戦できる。お客さんが来る時は絶対にそんな事はしない。

自然体でいるってやっぱり一番心地がいいなぁーと思う。


220310