家に帰って筍を茹で、胡瓜を糠床に入れ、豆乳トマトジュースを飲んで、居間で次に買うべきルアーを検討していた。
急に何処かで警報機が鳴り、警報音に加えて、火事ですと女性の声が叫んだ。
8畳へ行ったら火災警報器から煙が出ていて、自身でそれを感知して火事だと叫んでいたので、こんなこんな馬鹿げたことがあるのかと笑ってしまった。
リチウム電池でも使っていて発火したのだろうか、見たら中国製の火災報知機で、まさか党本部からの指令で、仕掛けておいたプログラムを発動させたんじゃないのかと危ぶんだ。
妻は、消防署の職員が来て買わされたのに、こんなパチモンを推奨するなんて、冗談じゃないと怒っていた。
太陽光発電機もそうだが、政治家とこの手の製品による裏金づくりは神奈川県が本場で、小泉何某と河野何某の息が掛かった製品だろうかと怪しんだ。
また、いつ何時発火して「火事です」なんてやられたらたまらないので、ステンレス製の鍋に入れて蓋をして置いてある。
昼はパエリヤだった。
諄いから嫌だと云ったが、もう冷凍の海老とムール貝を解凍しちゃったから駄目だと云われて、仕方なく了承した。
火災報知機の騒ぎと同じ頃、台所でも酷く臭いにおいがした。
そっちのほうの原因は、妻がローズマリーをガスレンジに入れておいたのが焦げたのだ。
それって、そんな風に使うんじゃなくて、火で軽く炙って、出来上がったリゾットの上で振って香りをつけて、添えて置くんだよと説明した。
少なくとも、バルセロナの海岸沿いのパエリヤの有名店のシェフは、そうやって使っていた。
火災報知器騒ぎやローズマリー騒ぎもあったが、出来上がったパエリヤは今まで妻が作ったパエリヤで一番美味かった。
理由はきっと、名前は忘れたが、小振りの烏賊の鮮度がよく、何時もの冷凍のゴムのような烏賊じゃなかったことだろうと、妻と話した。
味わいは薄くて上品で幾らでも喰えるタイプのパエリヤで、アールグレーを飲みながら二度お代わりをして三皿喰って仕舞った。
本場バレンシヤにもない、いい出来だと妻を褒めたから、今後高頻度でパエリヤが食卓に上る可能性がある。