身体が動かなくても
息をして回復を待ち続けた




翌19日夕方。
C4(7500m)でシェルパと
ようやく合流し
夜通しC2(6400m)に向けて下山した。




西稜は、再び宇宙に包まれていた。




日本に帰国後、すぐに入院となった。



足の凍傷は軽傷だったが
右手親指以外の手の指は重傷で
第二関節より先は切断と宣告された。



激痛と高熱が続く中
僕は父に電話した。




父にあまり心配を掛けたくないと思い
しばらく電話するのをためらっていた。



父との約束は、
何があっても無事に帰って来ること。

頂いたこの身体を
傷つけてしまったことに
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。



父に電話すると
意外な言葉が返ってきた。

おめでとう

下山して、「おめでとう」と
言われたのは初めてだった。

「お前はそれだけの苦しみを背負って
これからも登る。
それはすごいことだよ。」




標高8000m地点での下山。
4度の挑戦。そして、重度の凍傷。


人はそれを
「失敗だ」と言うかもしれない。



しかし
僕はあの場所までたどり着き
あの龍のような地球の息吹
宇宙を感じることができたことに
後悔はなかった



「登頂成功」は
一つの山の終わりであり
始まりに過ぎない。



僕が求めている頂は
成功しそうだから挑戦する
または失敗しそうだから
止めておこうという壁はなく
本当に自分が心からやりたいと
思っていることに挑戦していくこと。


そこには成功も失敗もなく
挑戦する喜びがあり続ける世界


そこに僕は向かい、共有し
世界に広げていきたい



勝っても負けても、生き続けること。

成功しても失敗しても、生き続けること。

終わらない旅は、まだこれからだ。







ヨウヘイ君が作り
栗城事務所の方がアップしてくれました