調子にのってパート2をお送りいたします。
今回は特殊ラインの作成方法です。
簡単にいえば一段掘り下げて全体的に間延びしないようにラインを作る、ということなのですが、そもそもどうすればラインが出来て、それが格好いいかという話があります。
ラインというのはむやみに作っても格好いいわけではありません。
いくら頑張ってすごい技術でラインを作りました、と言っても格好悪ければ何の意味もありません。
ラインのポイントはいくつかあると思いますが、ざっと
・規則性
・自然さ
・独創性
などがあげられると思います。独創性に関してはショーカーカスタム的な要素がからむので、今回などで重要なのは規則性と自然さでしょう。
実はこの二つをかねそなえたラインは簡単に見て勉強することが出来ます。
それは純正内装パネルの形状です。
ダッシュやドア、ピラーなど、ただの箱や平板で作られているわけではありません。
しかしそれらは自然なので我々のようなそれを追い求める人間や、そういったことに興味のあるユーザーさん達以外には全く気付かれていませんが、実は実に奥深いライン構成をしています。
しかも破綻がなく自然。これは実に勉強になります。
この純正ラインを自分のものにできれば、ショーカー的な要素はもちろん、出来るかぎり純正風な自然な仕上がりにする際に大きな力となります。
なので自分はこの純正のラインはいつも興味を持って見るようにしていますね。
話がスーパーそれましたが続けましょう。
半月のパネルは表面にはこのように出てきます。
少し高くなるのはラインの要素としてですが、この7mmMDFの断面そのまま使うのは自然ではありません。
ちなみにこんな感じで半月パネルは出っ張っています。
モニター上の部分がそれに合わせて削られているのがおわかりでしょうか?
さて、半月パネルの断面は7mmですが、この中心にラインを引きます。
そしてそのラインを頂点とし、ベルトサンダーで尖らせてしまいます。
ルーターでやれよ!という指摘はごもっともですが、両サイドカットするのは結構出来ないと思っているので、ベルトサンダーによる目見で尖らせています。
最近ではパネルワークでもこのような部品でもパテを盛る前に出来る限り自然になるであろう形へ削ってから作業しています。
ほんのちょっとの違いですが、それは仕上がりに現れると思っています。
というわけでMDF単体で出来るところまでやりきってみました。
なんで全部埋めてないの?という鋭い指摘もあるかとは思いますが、ここは多少違ったことをするのと、一度パテを入れて固めて強度を出したいのでここでパテ盛りに入ります。
実はすでにこのようにぶんかつできるようになっています。
ここまでMDFを組んでいたのはこのパネルが外れても本体がしっかり形を保てる強度になるまで形を作らなければならなかったからです。
十分強度がでたようなので一度はずしてみました。
はずしたと言っても意味がないわけではありません。
MDFだけでかなりラインを作ってみましたが、実は弱点もあります。
MDFで本当に固いのは実は表面部分で、表面部分を削ってしまうと実に傷つきやすく、実にパテがのりづらい状態です。
それを解決するのが次の作業です。
一度パテが乗る部分と強度を保ちたい部分に対し樹脂をしみこませます。
こうすると多少押したくらいではへこみも出来ませんし、なによりパテの食い付きが段違いです。
所詮手で成形したものなので歪みは出ています。それをパテで修正するのですが、あまりにパテ部分が薄くなるとMDFの断面にパテをそのまま持った状態では薄くなるとはがれてしまいます。
でも、樹脂が塗ってあるとそんなことはありません。きっちり形になります。
というわけで一度ささっとパテを盛ってみました。
形を複雑に出したい場合は薄く何回もパテを盛る方法もあります。
せっかくMDFで基準となるラインを出したのにパテをたくさん持ったらそれは意味がなくなってしまいます。
なので今回は薄く盛って形を出していきましょう。
硬化したのちに成形しますが、こういった成形はライン、というよりプレスラインが重要です。
プレスラインというのは正確には意味が違いますが、ここでは平面同士がぶつかって出来る角のようなものです。
この角がラインとなり、見た目にわかりやすいラインになります。
それが丸まっていては複雑なラインを出している意味がないのでこの角を出すことに重点を置きます。
角を出すには面をしっかりだし、次の面もしっかり出し、結果その面の合わさった部分が自然にラインになる、ということが重要です。
ラインを出したいがためにラインを出すために盛ったり削ったりしているとラインがでても全体が不自然になりがちです。
しかしある面をしっかりだし、次の面をしっかり成形するとちゃんと考えられた構成ならば綺麗にラインが出るはずなのです。
ここではまず頂点部分を当て板で綺麗にします。
そのあとモニター上部の面を綺麗に成形します。
すると二つの面の境は綺麗なラインになっていますね。
このラインはぱっと見ても自然なのです。
後はひたすらペーパーで手前の面を砥ぐのみです。
パテは少なめに盛っているので砥ぐのはそれほど大変ではありませんが、完成を予想して必要な部分だけを削ることが重要になっています。
だいたい砥いだところで2回目のパテへ。
中間パテを使用しています。砥ぎやすいので・・・。
なんかそれっぽいラインが出来てきましたね。
近くで見るとこんな感じ。
自分なりに規則性があり、自然かつ起伏をだして単純な面にならないようにしているつもりです。
なにか今日のブログはいつにもましてマニアックです。
技術的なことよりもどうしてこういうことをしているのか?という考え方を書いている気がしますね。
でも、カスタムをされるユーザーさんもそうだと思うのですが、人と同じはいやなのです。
自分の場合、それが手間をかけることでしか実現できないのでこういうことしているわけで、面倒くさい=やりたくない、いや、というわけではありません。
単に自虐的で、やっていることを主張したいだけなのですが、この主張がいいものを作りお客様を満足させられるのなら自分もお客様も楽しいということで一番いいですよね。
どちらかだけが楽しいというのはどんなことでもそうなのですが、いずれ上手くいかなくなると思っています。
作り手、ユーザー、両方が楽しめて初めてレベルの高いカスタムが成立するのだと思っているのですが、いかがでしょうか?
ちょっとくどい感じのブログだったでしょうか?適当そうに見える自分ですが、カスタムに関しては結構真面目なのをわかっていただければ幸いです。
それではまた!