ポン子:はぁ……。もう、今日の残業確定です……。
先輩:お疲れ様。また例の「お局様」から、無理難題を押し付けられたの?
ポン子:そうなんです……。「ポン子さん、これ明日までにやっておいてね。あなたならできるでしょ?」って、山のような伝票を渡されて。本当は自分の仕事じゃないのに、断れなくて「はい……」って言っちゃいました。
先輩:ポン子ちゃんは本当に「いい人」ね。でも、そのままだとずっとターゲットにされちゃうわよ。
ポン子:でも、反論して嫌われるのも怖いし、波風立てたくないんです。私が我慢すれば済む話なのかなって……。
先輩:優しいわね。でも、そんなポン子ちゃんにこそ、この一冊が必要かも。『マキャベリの君主論』よ。
ポン子:えっ、マキャベリ!?それって、「目的のためには手段を選ばない」みたいな、冷徹で怖い人の本ですよね?
先輩:そう思われがちだけど、実はマキャベリの教えは「過酷な現実を生き抜くための盾」なの。特に彼が言った「愛されるより、恐れられる方が安全である」という言葉、今のポン子ちゃんに刺さらない?
ポン子:恐れられる……?私が、あのお局様にですか?無理です、そんな怖いこと!
先輩:勘違いしないでね。ここで言う「恐れられる」っていうのは、威張り散らすことじゃないの。「この人に理不尽なことをしたら、タダでは済まないな」と思わせる「一線を引く強さ」のことよ。
ポン子:一線を引く強さ……。
先輩:マキャベリはね、「君主は冷酷だという評判を気にすべきではない」とも言っているわ。お局様に嫌われるのを恐れて言いなりになるのは、マキャベリ流に言えば「自分を守るための力を放棄している」のと同じなの。
ポン子:……確かに。私が「いい人」を演じているせいで、お局様は私をなめてもいい存在だと思ってるのかも。
先輩:その通り。でもね、ここが大事なんだけど、「自分さえ良ければいい」と思って他人を不快にさせるのは、マキャベリも推奨していないわ。 彼は「憎まれることは避けなければならない」とも言っているの。
ポン子:えっ、そうなんですか?
先輩:そうよ。ただ反抗して周囲を不快にさせたら、今度はポン子ちゃんが孤立しちゃう。本当の「いい女」は、周囲への配慮を忘れず、かつ「自分の領域」は絶対に守る。 これがマキャベリズムを現代のオフィスで使うコツね。
ポン子:具体的にどうすればいいんでしょう……?
先輩:次に仕事を押し付けられそうになったら、笑顔でこう言ってみて。「承知いたしました。ただ、今抱えている業務が〇時までかかるので、お局様の分はその後になりますがよろしいですか?」って。
ポン子:あ……!「できません」って拒絶するんじゃなくて、自分の状況を提示して、相手に選ばせるんですね。
先輩:そう。相手への敬意(不快にさせない)を保ちつつ、「私は何でも言うことを聞く道具ではない(なめられない)」という意思表示をする。これが、マキャベリが教える「賢い振る舞い」よ。
ポン子:それなら、私にもできそうな気がします……!ただの「いい人」を卒業して、自分を大切にできる「いい女」を目指してみます!
先輩:ふふ、その意気よ。気が向いたら、この本のページをめくってみて。狡猾に、でも優雅に生きるヒントがもっと見つかるはずだから。