気まぐれカレー(ニラチキン)

狭山ヶ丘は所沢より西にあるが、まだ奥多摩の山々には至らず、平らな土地が広がっている。そこを北西に横切る国道463号線沿いには、土地が小さく切り分けられて碁盤の目に並ぶ。時を経た新興住宅地のようでもあり、古い街道筋のようでもある。時折、床屋とか、あるいはスナックや肉屋がある。
その中にシックなラーメンとカレーの店がある。停滞した時の中に、目立つことなくひっそりと。

カレーは特別だった。阿吽の樹で作ってくれるような、ココナッツミルクとスパイスパウダーのカレーに、ニラやオクラが入ってとろみが出る。1センチ角くらいに切られた鶏肉と鶏皮はソースになじんで、具材というよりソースの一部になる。時々、米の上のフライドチップが落ちてきて賑やかになる。
キャロットラペもユニークで、生のにんにくがたくさん入っていた。甘さとすっぱさもそれぞれ強くて、にんにくとのバランスがとてもいい。
トマトは甘くマリネされていて、おだやかな夏の味。

外に出ると何も変わっていなかった。