チキンカレー

カフェフーケという喫茶店とは繋がっていて、テラス席に座ればカレーもケーキも注文ができる。

店の中は、時間の経過で積み上げられた厚い含蓄があって、テラス席の壁面いっぱいに貼られたシャンゼリゼ通りの写真は、その含蓄の真実性には何も加えられていないようだった。

カレーは、乳製品が加熱されて他のものと融合した酸味とうまみ、物言わぬ職人のように支える鶏のスープ、あふれるほどの細かくなったスパイスが合わさる。
たったいま挽いたばかりであるかのようなコリアンダーとカルダモンが入っていて、とてもよい香りがした。
鶏もも肉は、崩れ落ちるように骨から離れる。テラス席の曇天の下では、それはもの悲しくもあった。
ミルフィーユのパイは厚く、切り分けても崩れない。