シネ・リーブル池袋にて映画『モリのいる場所』鑑賞。
出典:公式サイト


【作品詳細】
山崎努と樹木希林という、ともに日本映画界を代表するベテランが初共演を果たし、伝説の画家・熊谷守一夫妻を演じた人間ドラマ。30年間もの間、ほとんど家の外へ出ることなく庭の生命を見つめ描き続けたという熊谷守一=モリのエピソードをベースに、晩年のある1日を、「モヒカン故郷に帰る」「横道世之介」の沖田修一監督がフィクションとしてユーモラスに描いていく。昭和49年の東京・池袋。守一が暮らす家の庭には草木が生い茂り、たくさんの虫や猫が住み着いていた。それら生き物たちは守一の描く絵のモデルであり、じっと庭の生命たちを眺めることが、30年以上にわたる守一の日課であった。そして妻の秀子との2人で暮らす家には毎日のように来客が訪れる。守一を撮影することに情熱を傾ける若い写真家、守一に看板を描いてもらいたい温泉旅館の主人、隣に暮らす佐伯さん夫婦、近所の人々、さらには得体の知れない男まで。老若男女が集う熊谷家の茶の間はその日も、いつものようににぎやかだった。
(2018年/日本 配給:日活)
引用:映画.com


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reference:YouTube



山崎努さんと樹木希林さんの共演。この御二方が揃った映画がダメになるわけがない。二人の芝居の空気感を撮るだけでも観てられる。
実際に本作も二人の空気感、日本を代表する超ベテラン俳優が演じる夫婦の空気感を存分に魅せられた。

劇中で見習いカメラマンである鹿島(吉村界人)が何十年も家の敷地から出ていないモリのことを「仙人かよ」と言って、藤田(加瀬亮)に「それ本人が一番嫌がることだから言うなよ!」と怒られるシーンがあるのですが、鹿島の気持ちわかります。完全に仙人のような生活。
でも、周りからしたら「なぜ表に出ないんだ?」と不思議に思うことでも、モリにとってはこの庭ですら「広すぎる」と言う。どんなに周りから不思議がられてもモリにとっては自宅の庭が世界の全て。
文化勲章も人が大勢来るようになるからと言う理由で断る。絵や書もどんなにお金を積まれても気分が乗った時にしか描かない。
結局、人の価値観は自分次第であり、己の世界を作るのも自分自身。そんなことをモリの生活を観ながら私は思った。

もちろん、モリのような生活を続けるには共に生活する秀子(樹木希林)の存在があってこそ。仙人である夫を上手くコントロールする秀子は、「まだまだ生きたい、生きるのが好きなんだ」と言うモリに対して「生きるのは疲れる」と言う。
そんな二人だからこそ、「文句はあるけど、いつまでも二人で」生きていくのだろう。

物凄く静かな物語で、多くをなんでもないありふれた日常のシーンで描かれた映画ではあるけど、その中で“生きる”こととかを些細なことから考えさせられる作品。とても良かったです。