南インド料理ダクシンは株式会社Satvicaが運営するレストランで、2009年01月09日に一号店である東日本橋店をオープン。オーナーのラジクマール・ラターさんはインド・カルナータカ州のベンガルール出身で、エンジニアの旦那様とともに1999年に来日。当時はちょうど2000年問題への対応で南インドから多数のIT関係者が来日していて話題になった時期だ。東日本橋店が入るビルのうち、一階と二階がレストランで、上層階の一部は従業員の居住空間になっているという話を聞いたことがあるが、まあ、巨大な鉄板を導入したりなどもあって、当時はすごく話題になったよね。
2009年頃の自分は、東銀座の南インド料理ダルマサーガラ(料理長ヴェヌゴパールさん&副料理長シャンムガムさん体制の黄金期)に入り浸っていた。ある日、たまたま馬喰町(東日本橋)に南インド料理店がオープンするということを知り、苦労して情報収集し、それまでダルマサーガラでホールを担当していたラジェシュ・クマール君が店長、しかもシャンムガムさんが初代の料理長ということを突き止め、オープン早々に突撃して彼らと顔を合わせて爆笑したのも良い思い出だ。
その後、2010年10月22日には、南インド料理の超人気店ダバ・インディアと目と鼻の先のビルの地下に八重洲店をオープンして界隈を震撼させた。オーナーさんと初めて言葉を交わして名刺をいただいたのはこの頃だったかな。ものすごくきれいで流ちょうな日本語を話す人だなあと感銘を受けたことを覚えている。さすが、翻訳業に携わってきたプロだなと。その後、2011年09月03日には円相フードサービスが八重洲地下街にエリックサウスをオープンさせ、八重洲はいきなり南インド料理の激戦区となる。
しかし、ダバ・インディアとダクシンの店舗は八重洲の再開発計画に飲み込まれてしまう。ダバ・インディアは業態変更して新御茶ノ水のゴンドへと転生した。一方、ダクシンは八重洲から大手町ファーストスクエアへ移転して、2023年09月22日に再オープンとなった。現在、東日本橋店の料理長はサラヴァンナンさん、大手町店の料理長はアヤナールさんが担っている。
で、大変遅まきながら、2024年05月16日(木)、早目のディナー・タイムに訪問。
ビルを見て衝撃。下衆い人間なので賃料を想像して目眩がしてしまう(笑)。
ヴェテラン店長のアロッキア・スワミさんが案内してくれた。二階の窓側に着席。
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この日はなぜか甘い飲み物を欲していて、rose milk (ローズ・シロップ入りミルク) を。同行者は mango lassi (マンゴー・ピュレ入りヨーグルト・ドリンク) を。
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同行者はカレーやインド料理界隈の人ではなく、南インド料理はあまり経験がないが、せっかくのダクシンなのでそういう人でも受け入れやすそうなモノをチョイスしていく。まずは masala vadai / paruppu vadai (hひよこ豆の揚げスナック)。thengai chatni (ココナッツのツケダレ) をつけながら。vadai は思ったより大きめで結構スパイシー(黒胡椒由来かな)。chatni は thengai paal (ココナッツ・ミルク) が多めでシャバシャバのタイプ。
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ハイダラーバードの chepala vepudu / chapa vepudu (魚の揚げ物)。pudina chatni (ミント・ソース) をつけて。テルグ語の vepudu は英語の stir fry だったり deep fry だったりまちまち。現地では骨付きだと思うが、日本人客に配慮してか、骨は全くなくて食べやすかった。
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意外に辛味の強かった eral Chettinadu (チェッティナードゥ地方のスパイシーな海老炒め)。sukka とか chukka と言われるヤツだと思う。今回の一番のお気に入りだった。玉葱の使い方が抜群だなあ。
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plain dosai (発酵ケツルアズキと米ペイストのクレープ)。酸味は強くなく旨みがあってパリパリの仕上がり。こんなに美味かったっけ。同行者曰く、ずっと食べられてしまう、とのこと。確かに。
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先述したのと同じ thengai chatni と sambar (樹豆と野菜の煮込み) を。sambar はかなりティックな仕上がり。
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タミル料理だという kozhi vartha kari (鶏肉のマイルドなココナッツ・ミルク煮込み)。グレイヴィには辛さはほとんどなく、万人受けしやすい味。肉量は十分だったけど肉質がちょっとアレだったのが唯一残念な点。
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グレイヴェィに合わせた炭水化物は、カルナータカ式のバラエティ・ライスの一つ chitranna (レモン・ライス)。タミルだと elumichai sadam、ケーララだと naranga choru に当たる。ナッツ類と豆と少量のスパイスなどが入っていて美味しい。
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せっかくなので炭水化物をもう一つ。南インドらしさのある veechu parotta (鉄板焼き精製粉生地多層フラット・ブレッド) を。粘度のあるグレイヴィと良くマッチする。
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kadai / karahi (鍋型の器) に入った二品は思った以上に量があり、二人で食べるには十分だった。
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食後には masala chai (スパイシー・ミルク・ティー) のサルヴィスが。スタッフさんによるエア・ブレンド付き。カルダモンが強めかな。
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しっかり泡立っている。
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入れ替えてみた図も。写真はないが、この後にフィンガー・ボウルも出してくれた。ずっとご無沙汰だったから忘れていたけど、そういうサルヴィスもあったなあ。
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そして最後に mukhwas (食後の口直し) 等のサルヴィス。同行者はこういうおもてなしまで含めて気に入った模様。
今や東京は南インド料理が乱立して、ダクシンもすっかりご無沙汰してしまったが、今回チョイスし切れなかった料理も多々あるので、是非ともまた行かなければ。
ごちそうさま。