大久保の、牛すじカレー・小さなカレー屋がある通りなんですけど、エリック・サウスに勤めていた齋藤絵理さんという方がカレーと魯肉飯のお店を出すそうですよ、と千歳船橋の巨匠K氏に教えていただいたのが11月のことだっただろうか。

エリック・サウス(←実は西新橋にエリック・カレーがあった頃からとのこと)出身なら南インド系のカレーなのだろうなと想像はついたが、なぜ台湾料理の魯肉飯と結びつくのかは皆目見当もつかず。他には、渋谷で間借り営業をしている創作系のケニック・カレーというお店がこの異色の組み合わせを提供していたように記憶しているが、カレーと魯肉飯の接点とはいったい何だろう。

ということで興味津々で2016年12月03日に初訪問。もういきなり行列ができている(笑)。前評判の高さから、ある程度は覚悟してたけどすんごいな。

メニュー。左上の「ろかプレート」というのは商売上非常によく考えられたプレートだと思う。カレー目当てで来たお客さんでも「お、こんなのがあるぞ。店主のイチオシか。じゃあ、ちょっと魯肉飯と半々で食べてみるかな」となりそう。 周りのお客さんを見るとほとんどがこの「ろかプレート」をオーダーしているし、そもそも自分自身がそう(笑)。

 

そして、★魯珈の6つのこだわり★という、詳しい説明書きにより、様々な点が明かされている。カレーと魯肉飯に対する齋藤さんの並々ならぬ思い入れがビシビシ伝わってくる。

 

 

ということで、店主イチオシの「ろかプレート」を、これまたイチオシのゴア料理ラム・ヴィンダルーで。旧ポルトガル領ゴアは、一般的には南インドの範疇には入らないので、南インドのカレーではない云々は置いといて、まずラム・ヴィンダルーの美味しさにニヤニヤしてしまった。正確にはヴィンダルー「風」となっていて、酸味が突出し過ぎずに上手くまとまった感じがとてもいい。食べ進めるうちに辛さがジワジワ効いてきて、食べ始めよりも食べ終わる頃の方が辛く感じる。もちろん辛さのみを追求するような悪ノリは一切なく、多くの人が受け入れられる程度にしているように思う。

 

そして、件の魯肉飯。五香粉の他にも使われているホールの八角(スター・アニス)の強烈な香りが特徴的だ。脂の多い部位を使っていても、コラーゲン部分を残して脂分はある程度カットしているそうなので、くどさが抑えられてたくさん食べられそう(←と言って食べ過ぎれば元も子もないが)。これ、美味しいなあ。かつて東京にもあった鬍鬚張魯肉飯(ひげちょうるうろうはん)の味を再現したものらしいが、ヴィンダル―と同じ皿にあっても、全く違和を感じない。そうか、魯肉飯はカレー・ライスなのだ。

 

別アングルから。付け合わせの副菜も三種あるが、特筆すべきは高菜のマスタード・オイルあえ。非常に癖の強いオイルなので賛否両論あろうが、個人的には大好きな香りなので非常に嬉しい一品。

 

店を出たお客さんたちが「すっごい美味しかったね」と口々に言って帰っていく姿が印象的だった。

 

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何となくまたあの魯肉飯が食べたくなり、2017年01月11日に再訪問。

 

ろかプレート再び。カレーはレギュラーのチキンをチョイス。ぷちカレーとして追加オーダーした長ネギのクートゥを一緒に盛ってみた。

 

チキンは思っていたよりはるかにスパイスがゴリゴリ。スパイス・ジャンキーたちにはたまらない攻め方。ぷちサイズのカレーが用意されているのもいいね。エリック・サウスだと「本日の採食カレー」的なのがあったと記憶しているが、そういう位置づけなのかな。インドでは長ネギをクートゥに使うことがあるのかどうかは知らないが、クートゥに合う食材であることは、これを食べてみると分かる。

 

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又しても魯肉飯の禁断症状が出たので、2017年01月27日に再々訪問。2016年12月01日にオープンしてからまだ二月足らずだが、すでにあちこちの雑誌やメジャーなテレビ番組で取り上げられているため、多少のウェイティングは覚悟。

 

又してもろかプレート。今回は、ライス大盛り、ラム・ヴィンダルーに、追加ぷちカレーでビーフと舞茸のスープ・カレー(←札幌スタイルではない)をオーダーし、例によってワン・プレートに盛った図。

 

ビーフと舞茸のスープ・カレーは、ビーフの旨味が良く出ていて美味い。やはり限定のカレーは見逃せないな。で、改めてよく見てみると「羊・豚・牛」とバランスの良い肉食プレートになっている。ぷちカレーでチキンも追加していたら完璧だったな。

 

魯肉飯だけをじっくり食べてみたい気もするので、次回は、お店ではカレー・プレートだけいただいて、魯肉飯のお弁当をテイク・アウェイしてみるか。

 

ごちそうさま。

 

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店名「魯珈」の魯は魯肉飯の「ろ」で、珈はカレーの「か」だと説明書きにあった。一般的にカレー(カリー)には「口へんに加」の咖喱という字をあてる。「玉へん[←王だけど正式には玉へん]に加」の珈竰という字をあてる少数派もいる。敢えてマイナーな字の方をチョイスしたのにはちょっとしたこだわりを感じるなぁ。珈には「女性の髪飾りの玉」の意味があるが、もしかすると「ありふれていない華のある雅なカレー」を作るということかな。まあ、テキトーな推測なので悪しからず。