05月15日(金)と07月24日(金)、久しぶりに逗子のスパイス・ツリーを訪問。



シェフは、日本のインド料理を牽引する老舗デリーで経験を積んだマックンこと飯村政幸さん。学生時代にデリーでアルバイトを始め、そのまま入社。銀座店を経て六本木ミッドタウン店の料理長まで務めたツワモノで、あのスワミ・シェフ(現在は帰印)の元で研鑽を積んできた腕は確か過ぎるくらい確か。なお、デリーの前には神保町の欧風カレー店BONDYでも働いていたというから、これはちょっと意外。



この凄腕シェフ飯村さんの存在を知ったのは、ツイッターでフォローさせていただいているOさんとSさんからの情報がきっかけ。この時点で飯村さんは、週に2日だけ(木曜日に逗子のシネマ・アミーゴ、日曜日に鎌倉のオイチイチで)営業していた。で、早速日曜日に鎌倉を訪問して美味しい料理をいただくことに。その時に、良い物件があったら将来は実店舗を構えたいとお聞きしたので、かなり期待していた。

その後、逗子にお気に入りの物件が見つかったとのことで、2014年01月30日に待望の実店舗がオープンし、予想通りあっという間に行列必至の超人気店に。また、dancyu の2014年7月号(カレー特集号)に掲載され、さらに訪問のハードルが上がってしまった。

20150515

05月15日は、「マトン挽肉とネパール山椒」をチョイスし、さらに裏ワザで「バターチキン」を追加する2種盛りにした(2種盛りはメニュー上に表記なし)。本当のお目当ては「本鰆とココナッツ」だったが、売り切れてしまい、泣く泣く他のお客さんの食べている姿を恨めしく眺めることに。人気メニューは開店後の一巡目程度で売り切れてしまうことが多いので、かなり早い時間から並ばないとありつけない可能性が高い。マトンはちょっと意外な細挽きのキーマ。ネパール山椒との組み合わせはなかなか斬新かも。バターチキンは前々から食べてみたかったが、これが実に完成度の高い逸品で驚く。辛いのが苦手な人も苦手じゃない人も美味しいと感じるだろう。かといってお子ちゃま向けの単純な味ではなく、恐ろしく複雑な味わい。これはバスマティ・ライスではなく、是非ナーンかチャパティなどのブレッドでいただいてみたいなぁ。

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07月24日は、「ラムとミントとレモングラス」をチョイス。当然ながら、ナスのマスタードピクルス、空芯菜のマスタードオイル炒めも追加トッピング。マスタード好きにはたまらないラインナップだ。プレートにはデフォで人参のポリヤルやらムラ・コ・アツァール(ネパール式大根ピクルス)やらロースト・ポテト(アルー・サブジ?)やらがトッピングされているのだが、スパイス・ツリーのファンの間では、絶品オプションのトッピングを追加してライスを極力見えなくするのが流儀(笑)。メインのラムのカレーはかなりシャープな辛さがあり、肉もたっぷりで、こりゃ~美味いや。ダルはジンブー(ネパール料理で多用されるスパイス)の入ったネパリ・スタイル。スパイス・ツリーというと、どうしてもその華やかなメイン・ディッシュに気が行ったり盛り付けの美しさに目を奪われがちだが、控え目ながらもプレート全体をしっかりまとめているこの素晴らしいダルを甘く見てはならない。

実はこの日のプレート、かなりイレギュラーな仕様になっている。今回も目の前で次々と料理が品切れになってしまい、目当ての「鰆とヨーグルト」がソールド・アウト(⌇ຶД⌇ຶ)。ところが、前回(2ヶ月も前だが)訪問の際にも目当ての「鰆」にありつけなかったことを、なんと飯村さんご夫妻が覚えていてくれて「今日は魚が人気で、またなくなっちゃってすみません。よろしかったら残ってるグレイヴィだけでも」と言って、少し残っていた「マトン挽肉とネパール山椒」とともに、鰆の出汁のきいたグレイヴィをプレートに加えて下さるという素敵なご厚意。自分は常連でもないのに、店主ご夫妻のこの素晴らしい気配りと気遣いに、正直、感謝・感動しまくりだった。

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オイチイチ1

実店舗が出来る前、初めて鎌倉のオイチイチでいただいた時のプレート。南インドのフィッシュ・カレーだったと思う。予想とは違う味だったがタマリンドの酸味が心地よい素晴らしい出来だった。そしてこの脇役のダルの美味しさにも感動。

オイチイチ2

そういえばこの時代はサイドメニューに焼き物まであった。これはマトンの串焼きだったかな。スペアリブやサモサもあったように記憶している。

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実店舗オープン当日のプレート。この日は「ラムと青唐辛子」をチョイス。もう、ホントに言うことなしの美味しさ。鎌倉でいただいた時に、ダルの美味しさにも感動していたが、さらにパワー・アップしていた。

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実店舗オープンの一週間後のプレート。この日は「鰤と茴香のカレー」をチョイス。茴香は難読漢字だが「ういきょう」と読み、魚のカレーには割とよく使われるフェンネルというスパイスのこと。ただ、フェンネルの香りはそれほど強くなく、ひょっとしたらまとめ役に徹した感じの使い方かも知れない。

ツイッターでお店のアカウントをフォローしていると、とにかくカレーを作ることが楽しくて楽しくて仕方ない、というシェフのカレー愛がひしひしと伝わってくる。今後もまた素晴らしい新作をどんどんリリースしてくれることだろう。で、そろそろカレーだけじゃなくて、かなり充実しているデザート類も食べてみないとなりませんな。

ごちそうさま。

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自分と入れ替わりくらいのタイミングで帰ったトンデモ客。オーダーした「鰆とヨーグルト」を半分くらい残していた。二度とお店の敷居をまたぐなよ。シェフは廃棄処分するために料理を作っているのではなく、どうしても食べたくて炎天下の中でも順番待ちしているお客様のために、厨房で熱中症にかかってフラフラになりながら作っているんだよ。ホントいい加減にしてほしい。