数週間前にホスピス加入手続きのお手伝いをさせて頂いたヴィヴィアンさん(仮名、93歳)は、持病の心臓疾患の為入院されていたのですが、病院ではこれ以上の治療、症状改善は不可能とされ、ホスピスケアを受けることを条件に退院許可が降りました。

 

25年連れ沿った二人目のご主人の待つ元へ無事戻られたのですが、ご本人はちっとも嬉しそうな様子無し。ホスピス加入手続き、及び査定中に息子さんから過去に自殺未遂が何度か有ったことを知らされます。 このご夫婦は高齢者のための介護付き住宅にお住まいで常に介護スタッフがお二人を見守っている体制なのですが、隙を見てはお酒を飲んだり、薬を処方された量以上服用したりと目の離せない一人となっていました。

 

年明け早々ケアスタッフから連絡があり、ヴィヴィアンさんが尊厳死を望んでいるとの事。初仕事で出勤した今日、息子さんへ連絡を入れ、現状確認をさせて頂く事に。息子さんは既に尊厳死のプロセスをネットで検索されており、概要については理解されていらっしゃいました。カリフォルニア州で尊厳死を随行するには数あるハードルを乗り越える必要があります。その一つに精神科医による査定があります。ヴィヴィアンさんの場合、自殺未遂と現在服用されている精神疾患の薬がハードルをより高くすると思われます。息子さんもこの事実を理解の上、ヴィヴィアンさんのかかりつけの先生に相談されるとの事。

 

息子さんが、”尊厳死を随行できなくても母は何らかの手段で自死する方法を見出すでしょう。”と。

”息子さんとして居たたまれない気持ちでいっぱいなのでは?”伺うと、

”母がこれ以上苦しむ姿を見たくないのです。”というお答え。

 

長い間看護に関わってこられたご家族なら誰でも共感できる一言です。

私自身も父が末期癌で寝たきりになり、食事も出来なくなった時、一日も早く楽にしてあげたいと強く懇願したものです。

ヴィヴィアンさんが尊厳死を随行できるかはわかりませんが、一日も早く楽になれる日が来ることを願うのみです。