よく聞かれます。死に直面する仕事。重いイメージですよね。

 

どうして選んだの?どうやって続けられるの?私には絶対できない。

 

ホスピスに関わり早くも5年。何人の患者さんの旅立ちを見てきたか既に数は曖昧ですが、初めて担当させていただいた患者さんのことは今でも鮮明に覚えていますし、それぞれの患者さん、ご家族の事は一生忘れることはないと思います。ホスピスで働く面々は皆、口を揃えて”この仕事は天性のもので、自分が選んだのではなく、選ばれたのだ”と言います。ちょっとスピリチュアルのような神がかりのような感じですが、当ホスピスのスタッフの殆どは色々なキャリアを踏んできて、この仕事はお金とか利益が目的ではない、という人ばかり。私もその一人になるのでしょうか。修士号を持つキャリアのなかでは最低賃金かもしれません。お金ではないのです。

 

人間がこの世に生まれた時の純粋な喜びとそれを取り巻く感情。我々がその人生の終点に近づき掻き立てられる感情。生きるもの全てがいずれ死を迎えると分かっていても人生終着駅近くの感情はなかなか複雑なもの。その感情の整理、整頓のお手伝いが私の役目なのでしょうか。

 

ここ5年間の経験で患者さんの死に立ち会ったのは2回。どちらも突然の旅立ちでした。またまたスピリチュアルかもしれませんが、最期の息を吐かれる前から既に魂は(生気、スピリットなど色々な呼び方がありますが)旅立たれていたように思いいます。多くの患者さんは旅立ちの1,2週間前からご先祖様、お友達など既に他界された方々の訪問を受け、旅立ち後の世界が怖くない事を知らせてくれるそうです。(多くの場合、ご家族は患者さんが夢を見ているとか幻想を見ているとおっしゃりますが。)

 

本題に戻り、何故私がこの仕事を続けられるのか?

それは患者さん、ご家族、当ホスピススタッフの死に直面した時にしか表面化しない本心に触れることが出来るからかもしれません。