華やかな舞台の影で
11日はインカレの決勝(筑波大VS中央大)が、そして、明日12日は高校サッカー選手権の決勝がそれぞれ国立競技場で行われる。各世代の頂点を目指す華やかな舞台の裏で、若き戦士たちが新たな戦いへの船出にでた。今年のU20W杯の出場を逃したチームが岡田監督のもと、11日からのカタール国際大会に出場する。
日本にとってU20W杯に出場することは、とても大きな意味を持ち、95年以降、7大会連続で出場を果たしてきた。しかし、今回この大会への出場権を逃したことで、今後のこの世代の強化方針はとても注目をあびるだろう。日本サッカー協会のとった解決策は、A代表の岡田監督が暫定的に指揮を執るというものだったが、私はこれに異論を唱えたい。
理由のひとつは、これがあくまで暫定的な措置であること。A代表と同じコンセプトをユース世代にも浸透させる意図はわかるが、一時的なものではまったく意味がない。増して岡田監督は2月に大事なW杯最終予選(2/11 VS豪州) を控えていて心ここにあらずの状態だろう。実際、カタール国際のための選手は各クラブが推薦した選手を基に選出された。これは、建前上は開幕を控えたクラブ側への配慮とされているが、実際には、岡田監督がこの世代の代表選手を選ぶことができないのが本音だろう。
私はロンドン五輪代表の監督が決定するまでは、前任の牧内監督が継続することが望ましいと考えている。U
20W杯に出場することだけを彼が求めていれば、100人以上の選手を試したりせずに、優秀な89年早生まれの選手を多く起用していただろう。彼の長期的ビジョンを私は否定する気はない。
今回の協会の判断は育成、育成と謳っていながら結局結果でしか判断していないように思える。華やかな舞台の裏で数年後の日本サッカー界の未来予想図に影を落とすような重大な過ちが犯されそうになっている事態を見逃してはいけない。
大金星は失礼
高校サッカー選手権はベスト8が出揃った。インターハイチャンピオンの市立船橋が初戦で香川西に1-2で敗れたが、これを香川西二の大金星と報じたテレビ報道はどうかと思う。確かに夏のチャンピオンが冬の本命であることは確かだ。しかし、今年の市船が絶対的な強さを持っていないことは、1年間通してみてきていれば明らかなこと。加えて香川西のサッカーを一度でもみたことがあれば、市船を倒しても不思議ではないことは十分認識できたはず。いかに、ネームバリューに頼った分析しかできていないかがわかる。
話を大会全体に向けると、ベスト8に残ったのは、前橋育英、国学院久我山、滝川二、鹿児島城西、四中工、広島皆実、鹿島学園、大津。大波乱の連続などと一部ではいわれているが、優勝を狙えるチームですでに姿を消したのは、市船、野洲の2チームだけ。青森山田と作陽も優勝候補ですでに敗れたが、相手はともに優勝候補(前者が鹿児島城西、後者が広島皆実)のため、全体的に8強は比較的順当な勝ち上がりといってもいい。
では、この中でどこが本命かといえば、間違いなく鹿児島城西。準々決勝ではGKが出場停止なのが痛いが、チームの完成度は高い。対抗は前橋育英。守備力にやや不安はあるが、米田、六平、佐藤の中盤3人を中心に作る攻めの形は抜群。この2チームを除くと広島皆実にもチャンスがある。残った8チームにほぼ共通していえることは、確固たる実績がないこと。四中工が91年度に帝京と両校優勝を果たしているが、すでに17年も前の話。滝川二は2年前の全日本ユースで優勝しているが、当時の黒田監督はすでに勇退している。前橋育英は過去3度3位を経験しているがそれ以上の実績はない。そうなると、ここ数年での経験値が最も高い広島皆実に一日の長がありあそうなきがする。
この3チームから優勝がでれば私は今大会が波乱に満ちた大会だとは思わない。ネームバリューやJ内定などわかりやすい“肩書き”だけで取材をしていると、今後も“大金星”に勝るとも劣らないとんちんかんなフレーズが呼応するかもしれない。メディアの言動にも注目してみたい。
層の薄さの中にみた層の厚さ
新年の幕開けは例年通り天皇杯決勝。G大阪と柏の対決となったこの試合は、延長後半11分に途中出場の藩戸が倉田からのパスをシュート。1度はディフェンダーに阻まれたものの、こぼれ球を流し込みゴール。これが決勝点となりガンバがJリーグ発足後としては初優勝。同時に未だ手にしていなかった来年度のACLの出場権を手にいれた。
先のCWCで見事3位に輝いたガンバだが、リーグ戦では7位に終わり、この天皇杯優勝を逃せば来季からのレギュレーション変更により、前年度チャンピオンであってもACLに出場できない状況であった。
CWCで二川、佐々木を負傷で失い、さらにやっと(遠藤)も足首の状態が完全ではなく、セットプレーもろくに蹴れない状態でまさに満身創痍だった。ガンバはどちらかというと少数精鋭で戦ってきたチーム。いってみれば選手層は薄いほうだ。しかし、私は天皇杯の準決勝、決勝をみていてその考えは変わった。MFの武井や倉田など1、2年目の選手であってもピッチに立てば、決して浮足立つことなく安心して見ていられる。控え選手は全員いつ出番が回ってきてもいい心の準備ができているのだろう。そのあたりは西野監督の手腕ではないか。
ガンバは代表クラスの選手がずらりと並ぶようなビッグクラブではない。だが、来季も年間60試合程度の試合をこなせるだけのチーム体力は兼ね備えている。来年もユースから大塚、宇佐美ら楽しみな選手が昇格する。いきなり主力になることは難しいだろうが、おそらく彼らもチャンスさえあればすぐにチームに溶け込めるだけのポテンシャルを持っている。
早くも来季のガンバが楽しみである。
