それから私と彼は、お互い仕事の話しや、趣味の話しをした。
彼は元々が大手起業のサラリーマンだったけど、父親が具合いが悪くなって、今は父親の小さな塗装会社を継ぎ、会社を有限から株式に変えた事、趣味のゴルフの話題等をしてくれた。
彼と話していると、話し下手そうだけど、心地良い“間”があり…
それが今まで感じた事の無い、フワッとした気分にさせてくれる。
この会に参加参加して良かったかな?と思えるようになっていた。
パーティも佳境に入り、主催者がマイクを持ち、何やら提案してきた。
「皆さん、楽しんでいますか?せっかく知り合ったので“名刺交換”“連絡先交換”などを自由に行って下さい。」
これを聞いて、周りの人々がザワザワと行動に移る。
私はチラリと彼を見た。
彼も私を見ていた。
何だか気恥ずかしい・・・
下を向く私に、彼が耳元で囁くように言ってきた。
『連絡先を交換してもらえますか?』と。
コクリと頷き、携帯電話をバックから取り出す私。
赤外線でお互いの連絡先を交換、終了。
【s.sou@…】
見覚えのある“s”から始まるメルアド。
ん~っ!?
メルアド、変わって無いのかな?
私はお店辞めた後、電話会社ごと変えてしまったけど・・・
改めて、自分は失礼な人だったと反省。。。
ガヤガヤとする中で、更に耳元で彼が私に言った。
『いつなら連絡しても大丈夫?』
「いつ?」
答えに迷う。(いつでも大丈夫)って言うと、暇だと思われるし…かといって、先延ばしにしたく無かったから・・・
彼がお客さんとしてお店に来てくれていた当時、リピーターになってほしくて愛想を振りまいていた。
でも…………………
たぶん今は、私は彼に興味があり
《このチャンスを逃したくない》
と思っている。
だから少しだけ、駆け引きに出てる自分に気がついた。
「昼間は仕事なので、電話なら夜かな。メールなら特に指定は無いかも」
今考えられる、一番の妥当な答え方をした。
彼はまた優しい笑顔でニコッとする。
胸がキュンとなる。
私のツボのど真ん中みたい・・・そのフワリとした笑顔。
女の子みたいに整った、薄すぎず厚すぎない唇。
そこから覗く白い歯の片側には八重歯。
こんな人だった?
こんなに素敵だった?
正直に好みのタイプだ、と思う。
何で昔は気づかなかったのかな?
テンションが少しづつ上がっていく。
それにと同じように鼓動も早くなる。
久しぶりの感覚が私を襲う。
なんか、クラクラしてきた………
この時もう既に“恋に落ちていた”のかもしれない。
つづく