誰も何も気が付いていない。

 片方のスリッパが無くなっていたとしても、


 鏡の自分が本物であって、僕は偽物、


 僕は本物からしたら、鏡の中の人間であり、いつわりのものとして、嘲笑(ちょうしょう)されている。


 「決してそこからは出ることが出来ない」、

 「決してかなわない願い」、だということ。そういうい切ない存在だということを


 僕は僕自身を捨てた。


 僕は捨てられた。


 残された僕はまるでこの廃校のように、学校の経営をおしまいにした。


 『残された僕』


 一本の道を歩いている。道は無理に平らではないところを平たくしてしまったから、もともとは道ではない。

 僕が生まれる前から、この道はあったのだろうか?

 それとも道ではない、道とはとても呼べない、、大木が真ん中に高く茂(しげ)って、居座り、とても静かで、妖気(ようき)が漂った空間だったのだろうか。


 僕の中にある設計図

 道を外れて、麦畑の中をどんどん進んでいって、手で左右に掻き分けながら、向こうの方へ行った。


 向こうというのは、つまり、まだ道ではなかった頃の空間。


 僕はいつも見ていた。

 まだ道ではなかった空間を




つづく

『MONOで消され、ゴミ箱に。 ~3つの目~  第六話、終。』







前回


『MONOで消され、ゴミ箱に。 第四話』