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Cup Soup

いちにちの中で、いちばん考えたこと。

交換日記に限りなく近いなにかです。



『人生、ここにあり!』(2009)
監督・脚本:ジュリオ・マンフレドニア

U1さんとシネ・ウィンドで見てきた。
54週ものロングランを打ち立てた作品だけあって、たしかに大衆ウケしそうな筋書きではあった。
でも、日本じゃ絶対にオープンで描けないような場面が多くて、新鮮だった。
小ネタも面白くて、観客もみんなして笑っていた。

患者たちが投薬を減らしたことで始終勃起するようになり、
女を渇望するようになるくだりがある。オープンでしょ。

それで男性患者がみんなこぎれいな身なりをして小型バスに乗り込み、娼婦を買いに行くのだ。
(この手配をするのも、主人公の労働組合のマネージャーの仕事だから、笑える。)
すっごく下品なんだけど、見てて微笑ましくなっちゃう。

患者たちが自分の特性を生かして仕事をこなしていく過程を見るのも面白い。
特にお菓子のかけらでモザイク遊びをしていたルカが、
寄木張りの職人になっていくのは痛快だった。


金曜は上司に怒られまくったけど、
仕事のあとのクリスマス会がとても楽しかった。
仕事はいまだにやりがいを見いだせないけど、やっぱりあの職場の人たちは大好き。

土曜はクラギの定演があった。
去年のクリスマスイブ、最後の大合奏。
あの子たちが目を腫らしながら階段を降りてきた光景を思い出した。
もうあれから1年も経つのかと思って、信じたくなかった。

この日、あんまり自分の中で定演というイベントを楽しみにしておくのがなぜか嫌だった。
部活にいつまでも固執してる自分を、振り払いたかったのだと思う。
だから、直前まで自分の趣味に時間を費やそうと思い、
U1さんを誘ってシネ・ウィンドに繰り出した。
この映画については、面白かったのでまた別の記事に書くね。

会場に着くと、懐かしい顔ぶれがそろっていた。
選曲に若干ツッコミを入れたかった箇所があったけど、
指揮者と一心同体になって息を合わせる奏者のみんなが愛しくて、泣けてきた。
久々に聴いたクラギの音も、涙腺にきた。
音が鳴れば泣く、といった具合で、私はもうパブロフの犬と化してた。

終曲はホルストの組曲『惑星』より「木星」。
木星を聴くと震災のことを思い浮かべちゃうのは、
絶対に長岡花火と平原綾香のせいなんだけど、
この曲が終曲として選ばれてたのは、なんか感慨深かった。
中学生の時から、大好きな曲だった。父も、組曲のなかで一番好きな曲だと言ってた。
ノスタルジーのせいにして、ずっと泣いちゃった。

はじめて観客席から演奏を聴いて驚いたのは、
ステージが本当にあっという間に終わってしまうんだということ。
この数時間の公演のために、あの頃の私たちは何ヶ月の時間を費やしていたんだろう。
舞台を見ただけじゃ想像もできないような莫大な時間を、あの数分のために使っていたんだ。
ほんとに私の学生生活は、ほぼクラギだったんだなって思い知らされた。

あの子たちはもう合宿所に戻ってギターを回収してるころだろうか。
私が幹部だった時、来たるシューカツに絶望して、帰路に着いたのを思い出した。

うちに帰った今、また本腰いれて宿題をやらなきゃいけないのに、
なんだか燃え尽きてしまって手に着かない。
部活にシンパシー感じてる暇なんてないのに。
私はもうあそこの人間じゃない。
そろそろ企業の人間だって、いい加減思い知らなくちゃいけない。


『ノルウェイの森』(2010)
監督・脚本: トラン・アン・ユン 

ようやく観た、という感じでちょっと恥ずかしい。
評価の分かれる作品だから敬遠していたのだけど、こないだyoutubeで予告をふいに観たら
ワタナベ君と緑のやり取りがとても新鮮に思えて、どうしても観たくなってしまった。

私は活字といったら村上春樹くらいしか読めない人間だ。
他の作家の文体を知らないので、彼の小説がどうして映像化不可能といわれてるのか、
よく分からない。

この映画は、映像美という点ではとても満足。
四季折々の自然の中で抱き合う二人の姿がとてもきれいだった。
小物もレトロでとてもかわいいし、背景もいちいち洋服と色が合ってた。

U1さんが、ベトナムに行った時この映画を思い出してたって言ってたけど、
監督はベトナム出身だからだろうって言ってた。
学生寮のボロさ、アパートのキッチュな家具、カラフルな小物、
これらはたしかにベトナムに通じるかもなって思った。

あと、キャストどうかなぁって思ってた直子(菊地凛子)も緑(水原希子)も、
子供らしさがあってとてもかわいい。
なにより松ケンが演じるワタナベ君がとてもかわいい。
こういう鼻のとがった男の子、好きだなって思った。


残念だったのは、レイコさんの扱いかな。
最後に、直子の弔いにビートルズをばんばん弾いてくシーンが好きだったんだけど、
映画だとこれが大幅にカットされてて泣いた。
ワタナベ君がレイコさんとのセックスに意欲的じゃなかったのも、「ちがう!」って思った。

ラブシーンはけっこう丹念に描かれていた。
ていうか、それがメインみたいだった。
たしかに、いちばん恋愛感情の機微が出しやすいもんね。
小説みたいに淡々としてて(熱っぽさがないわけではない)、透明な感じできれいだった。
彼が直子と身体を交えるとき、なぜか晴れていないのが気になった。

どうでもいいけど、緑と直子がよくやってた
柄シャツ×カーディガンは犯罪的にかわいいなー。
真似してみよう。