KOTOKO | Cup Soup

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いちにちの中で、いちばん考えたこと。

交換日記に限りなく近いなにかです。



『KOTOKO』(2012)
監督:塚本晋也

最近はでっちさんと映画部を立ち上げる勢いである。
coccoがお好きだとうかがったので、また一緒にシネ・ウィンドへ。

私はcoccoを全然知らなかったので、少しだけ予習した。
凛としたよく通る歌声。しかし身体はか細く儚い。
あんな薄いお腹から声が出ているなんて信じられないや。

映画は心を病んだシングルマザー琴子のお話。
彼女には人間が二人に見えてしまう。
しかも、その二人のうちの片方が襲い掛かってくるという幻想をみる。
世界が一つに見えるのは、歌っている時だけ。

幼い息子・大次郎を守ろうとするあまり、異常な行動をとってしまう琴子。
ついに幼児虐待の疑いをかけられ、大次郎と引き話されてしまう。

そんな琴子の前に、田中と名乗る男が現れた。
バスで彼女の歌声に魅了されたという彼は、突如彼女に結婚を申し込む。

さてここから感想。

リストカットのシーンがとにかく多くかかった。
グチュグチュと血の滴る音を聴いて吐きそうになった。
言い寄る男の手の甲に、フォークを突き立てるシーンもグロかった。
思えばR-12指定だった。くっそー。
途中で席を立つ人もちらほら。
どのシーンも生傷が絶えない。

琴子の歌声が聴けるシーンが、上手く中和していた。
汚物を流す水みたいに。
チープな間接照明を灯したアパートでのリサイタル。見入ってしまったな。

音楽・美術はcoccoだという。
琴子と大次郎が暮らしたアパートのインテリア。
煩雑で、カラフルで、折り鶴がたくさん飾られていた。
キャスキッドソンみたいな柄のクッションに身をゆだねて本をむさぼり読む彼女の姿は、
まるで少女。

でっちさん、私の部屋、あんなんじゃないからね!

この映画については「母親の愛を思い知った」という感想が多い。
それについてはあんまり共感できなかったな。

それよりも、いずれ母親になることへの怖さが増してしまった。
きっと多くの女性が胸をよぎるはず。

琴子は言う。
「こんなにも細い私の腕を、この子は頼って…
 私が少しでも手を話したら、この子は落ちる」

そうか、赤ん坊とはそういうものなのだ。
どんなに目の前の母親が未熟であろうと、彼女に依存しなくては生きていけないのだ。

ああ、それまでに少しでも立派な人間になっておかなくちゃ。