9時少し過ぎに家に着くと、既に旦那は片づけをしていて、警察への話も終わっていた。用意された防塵ツナギを着て家の中へ。
明るく照らし出された家の中はどこから手を付けていいかわからない。
昨日この時間まではいつもと変わらない1日の始まりだった。家の中は昨日のあの時間のままそこにある。ただすべて真っ黒なだけ
ボーっとする頭でもう使い物にならない物たちをゴミ袋に詰めていく。
全部家ごと重機で壊して産廃として持って行ってもらえばいいじゃん!
そんな風に考えていた私は先ほど来ていた保険やさんと旦那の言葉に愕然とする。
まず保険は解体処分費は入っていない。そして仮住まいの保障はない。
私は家を建てた金額と家財保険代が出ればもう1回家なんて建てれるものだと簡単に考えていた。
後に解体処分費が500万円弱と見積もりが出るのだが、これは家と中の動かせない物だけの金額だ。半分燃えていても、びしょぬれになっていても家具も電化製品も全て何とか処分しないと金額が加算されるだけだ。このことを予想して旦那は自分たちで捨てれるものは何とかしようと言った。
これも後にわかるのだが、市が補助してくれる家財の処分は2トントラック1台だ。
一軒家の家財ともなれば実際外に出してみて分かるのだが2トントラックが6台あっても乗りきるかどうか。せめてもう1台と掛け合ってみたもののいい返事はもらえず。
あんなに必死で消火してくれた消防を恨めというのか?燃やしてもらえばよかったのか?完全に燃え尽きてしまった家では必要のないトラックをまわしてはもらえないのか?
絶望しきったあの時の状況ではこんなことしか考えられなかった。
そして黙々とゴミを袋につめていく。
こんな真っ黒のゴミでも市のごみ収集に出すのだから分別しなくてはならない歯がゆさ。元々そういうところがチキンな私は細かく分別せずにはいられない。
そんなノロノロした片付けでも、あっという間にゴミは何十袋にもなった。