「こっちの車のキーは?」
家の前方に停めてあった旦那の車。正確には代車。
良いのか悪いのか2日前に車検に出して借りていた代車。
キーは燃え始めている1番奥の旦那の部屋に。
上着を取ってきてくれた近所の人もさすがに無理だったと戻ってくるほど既に火はまわっていたのだろう。
少し離れた場所に移動した後もあまりの煙にもう少し移動するように指示された。
そこからは隣の家の陰になって自宅がよく見えない。
ますます広がる炎と凄い煙をただただ見ているしかなかった。
強くなる雨はなんで火を消してくれないんだろう
見えない家の燃え具合を想像して車の中でうなだれた。
火事後何度となく思ったことだけど、煙って凄い。
閉め切っている車の中も煙臭くて苦しくなってきた。
ここで私は旦那の幻影を見る。一瞬で消えてしまったので本人かどうかわからない。
そうだ電話しないと。今日は午後から九州へ出張に行く予定だった。
電話をかけようとしてスマホが無いことに気づく。
家に忘れてきたけどどこに置いてきたか思い出せない。思い出したところで取りには行けないのだけど。。
お財布に旦那の名刺を入れておいて本当によかった。
仕方なく近くで警備をしていた警察官に事情を話してスマホを借りることに。
仕事で配布されているものだからか、発信の仕方が違うのか普通にかけられるのかとオロオロ。
四苦八苦して無事につながり 旦那の第一声が「どこにいるの?」
とっくに会社から戻ってきていたようで私を探していると。やはりさっきの一瞬は本人だったんだ。
場所を告げて電話をお返ししたが、待てど待てど来ない。
煙くてつらい状態になってきた。猫も心配だ。イライラする
もう置いて移動しようと思ったけど、今度はパトカーやホースが邪魔になって出られなくなっていた。
さっきの警察官に話して車とホースをよけてもらい出発しようとしたときに旦那到着。
運転を代わってもらい通行止めの外へ
行く当てもなく車を走らせた。