芸術家の彼を追いかけ続けて。 -3ページ目

芸術家の彼を追いかけ続けて。

20年以上前。彼の駆け出しの頃。この人の魅力の虜になった。そして私も彼に釣り合うようにと努力し追いかけ続けた。そしていま、私は彼から信頼を頂いている。そして私も名前が売れるようになった。なのに焦燥感にかられるのはなぜなんだろう。

いまから何年も昔、
芸術家の彼がコンクールで一つ目のタイトルを取った後の頃

そして私は今の職業に就く前の頃。

とある大きな演奏会でのこと、私は降り番で舞台袖に居た。

ほんとに偶然だったけれど
その舞台袖には、私と彼しか居ない時間が出来た。

当時は親友関係だった私達。

団員達が舞台に出揃い、あと少しで彼のみが舞台に出ていくとき

突然。そのとき事件は起きた。

真っ暗な舞台袖にて
彼はいきなり私の腕を捕まえて

私を真っ暗な壁に連れてゆき、そして自分の両手を壁に付いた。

そして、
その腕の中に私を入れて抱きしめた。

抱きしめながら

「打上げ後に2人で会おうよ」

それだけ言うと、アッケに取られる私を暗い舞台袖に置いて

自分だけ華やかな明るいステージに出てゆき
そして
何ごともなかったように軽やかに演奏をはじめた。

その間わずか数分の出来事。

私は、予想外の出来事に、びっくりして動揺してしまった。

…とまぁ…
文章に書くとドラマみたいでややベタな感じであるのだが

それを不意にリアルに行動され私は非常に驚いた。

でも。今ならよーく解る。

彼は自分の演奏姿を私に見せつけて

【暗い舞台袖での口説く時間】と【明るい舞台での演奏の時間】

…この2つのギャップ…
これを魅せて、私が混乱するコトを頭に計算で入れたのだ。

だから舞台袖で私を口説いたのであろう。

そしてこれまた彼の予想通り、まだ当時、若かった私は

この不意打ちの出来事で【混乱】してしまった。

その後の打ち上げでも、頭の中で一人で、グルグルと先程の動揺をひきずっていた。

そしてそのあと
演奏会の打ち上げ後には、更なる【混乱期】に私は突入していった。

その混乱とは
恋愛事とは全く違う意味で、のちに彼自身さえ驚く彼の予想外の行動となった。

…つづく…