高尾山頂から小仏城山まで歩いてみる(その1) | 旅はブロンプトンをつれて

旅はブロンプトンをつれて

ブロンプトンを活用した旅の提案

以前、9月初旬の土曜早朝に麓の駐輪場にブロンプトンをとめて、高尾山に登ったことをご紹介しました。
高尾山口駅前から1号路を経て、リフト山上駅、ケーブルカーの高尾山駅であるかすみ台展望台、たこ杉、浄心門、男坂を経由し、薬王院の中を抜けて高尾山頂まで、1時間21分かけて7時45分に到着しました。
ケーブルカーの運行は朝8時からですから、この時間に山頂に辿り着いた人たちは、みな自分の足で麓からのぼってきた人です。
夏の低山は日中が暑いので、涼しい山登りを求める人はどうしても朝になります。
その意味で、高尾山の山頂にはけっこう人がいます。
ひょっとすると、この季節は朝しか富士山が拝めないのかもしれません。
休憩を兼ねてひと通り写真を撮影した後、これからどうしようかと思案します。
普通のハイキングなら、1号路以外を使って下山するところです。
途中に滝があることで有名な6号路など、涼しそうです。
しかし、時間的にちょうど登ってくるハイカーと逆行する形になり、狭い山道は登り優先のためかえって時間がかかりそうです。
それにハイキングや登山を趣味としていない私だって知っています。
登りよりも下りの方が体力的にはきついと。

そこで、今来たルートを戻って薬王院を抜け、ケーブルカーかリフトを片道利用して下山することを考えました。
これなら、もっともはやくブロンプトンに戻れそうです。
体力が余っていれば、大垂水峠を越えて相模湖にあるファミリーレストランに入り、早めの昼食を食べて涼むのもよし、余力が無ければ高尾山口駅から東京方面に帰り、帰宅しやすい場所でやはり涼みながら読書をするもよし、もう朝に運動している以上、のんびり過ごすことが可能です。
しかし、薬王院の境内は9時近くなるとかなり混雑するはずです。
とにかく静かな山歩きがしたいのに、観光客でごった返す道を戻るのは嫌だし、ここから薬王院までの間にほんの僅かですがアップダウンがありましたから、登りも少しだけあるわけです。

(安直な登山への戒めからか、「陣馬山まで5時間」と大書きされています。)
では、山頂から薬王院とは逆方向の西方面に向かい、途中の分岐から左へ折れて南下して、国道20号線の大垂水峠に出て、バスで下るというのはどうでしょうか。
腕時計を見ると7時50分。
ここから大垂水峠までのコースタイムは下りで55分ですから、到着は8時45分を見込みます。
八王子駅北口行きのバスは8時55分です。
ちょうど良い時間です。
ちなみに、そのあとは12時01分ですから、逃したら逆方向の10時36分発相模湖行きに乗車し、相模湖駅から高尾駅にJRで戻り、そこから京王線で高尾山口駅へ戻るという、ピンポン玉のような移動をせねばなりません。
とにかく遅れてはいけないと、高尾山から尾根筋を西へと向かう登山道に入りました。

(まき道との合流点。ここで左折すれば山腹をまいて引き返すことができたのに)
殆どの人が山頂から引き返してゆく中で、奥高尾縦走路に足を踏み入れる人は殆どおりません。
しかも、私はハイカーというよりはランナーのような格好でいます。
入った途端、階段でどんどん下ります。
入口に、紅葉台10分、一丁平30分、小仏城山60分、景信山120分、陣馬山約5時間と書いてありました。
いわゆる裏高尾縦走路です。
標高599.3mの高尾山頂から同549.6mのまき道(まき道というのは、山頂をとおらずに山腹をまいてやり過ごす道のことで、高尾山頂を経由せずに、尾根筋のさらに奥にある山を目指すための、いわゆる近道のことです)合流点まで50m近くを一気に下ってしまったので、もう山頂へ引き返す気持ちは最初の段階で失せてしまいました。
そこからすこしだけのぼり返して、トイレのある紅葉台です。
ここからも富士山は見えていて、高尾山頂とはうってかわり、誰もおりません。

(紅葉台への登り)
紅葉台をこえたあと、道は再び下りにかかり、大垂水峠分岐の標高474.7m地点まできました。
もう元居た山頂から標高差で121m以上下ってきたので、だんだん高くなってきた気温とともに、さっさと大垂水峠方面に抜けたくなります。
時刻は8時06分で、ここから大垂水峠まではコースタイム標準で35分ですから8時55分のバスには余裕で間に合うはずです。
そうしたら、冷房の効いた車内でくつろぎながら、10分ちょっとで高尾山口駅に戻るので、ひょっとするとリフトやケーブルカーを下りの片道だけ利用するよりも、早く着いてしまうかもしれません。
しかし、ふとここで思ったのが、大垂水峠には今は何もないということでした。
昔はバスに乗ってきて湧き水ラーメン富士屋さんで食べて、ブロンプトンで高尾山口駅なり相模湖駅なりにダウンヒルで下ったものですが、今は閉店されてしまいました。
そして、ちょっと物足りない気がしてきました。

(紅葉台からの富士山)
そこで、4月に旧甲州街道の小仏峠から、小仏城山山頂の桜を見に行った時のことを思いだしたのです。
あのとき、向こうの山頂から高尾山頂が良く見えて、「すぐそこ」のように思われました。
コースタイムも45分と、大垂水峠までより10分余計にかかるだけです。
そして、小仏峠を経由して小仏バス停に下れば、そこからのバス便の方が便数は多いはずです。
それに、この区間を歩けば、一応高尾山口~高尾山~小仏城山~小仏峠を縦走したことになり、あとは小仏峠~景信山~明王峠の区間だけ歩けば、中学生の時に和田峠~陣馬山~明王峠を歩いたことのある私は、裏高尾縦走を完成させることができます。
私は峠越えも好きですが、尾根筋歩きも好きなのです。
それは自転車でも同じで、尾根の道ばかりを選んで走ることもあります。

(大垂水峠への分岐)
コースタイムをみると、小仏城山まで45分、小仏峠までさらに20分、そこから旧甲州街道を東にくだってバス停まで45分と、トータル1時間50分で小仏バス停に到着します。
「よし、今日はもっと歩こう」とばかり、少しだけ迷った後に小仏城山への登山道を選びました。
しかし、入ってみてわりと早い段階で後悔しました。
まず、大垂水分岐から急に道が狭くなり、両側のススキが迫ってきました。
9月初旬で半袖ですから、下手をすると腕を切ってしまいます。
それに8時をすぎて気温があがってくると、いわゆるムンとする草いきれが凄くなってきました。
それに、尾根筋は防火の意味もあるのか、大きな木が少ない分日影も少ないのです。
また、高尾山頂からいったん474.3mの分岐まで下ってきてしまっているので、ここから標高670.4mの城山山頂までは標高差200m近い登りになります。

(道はどんどん狭くなります)
歩いてみて分かったのですが、この区間は登りにしても下りにしても階段が多く、もしブロンプトンをつれていたなら、押し歩きは絶対できないのでした。
一応虫よけスプレーをしてきたので、アブや蜂は寄ってこないのですが、メマトイのような小さなハエが目の前にまとわりついて煩いのです。
こういう場合、薬用メンソレータムなど、ハッカ系のリップクリームを瞼や目の周りにぬると効果的なのですが、9月はまだ暑い時期なので、当然そのようなものは持ち合わせておりません。
それに、もし日焼けしたらパンダのように目の周囲だけが汚くこげ茶色に焼けてしまいます。
(その2)につづく

(一丁平への登り)