7月にもとめた岸野寛さんの茶碗が我が家へ。

前に書いたブログ では白磁の壺を紹介しましたが、
今回は渋い茶碗でございます。

ギャラリー縄の個展で強烈にひきつけられました。
とにかく見れば見るほど、「これ、いいわ~」と思ってしまいます。


器な生活-岸野茶碗1

ギャラリー縄では「黒茶碗」として展示されていました。
でも、実際の色は黒ではありません。

岸野さんいわく、「黒茶碗としか名づけられないので、黒茶碗にしています」とのこと。
確かに、○○茶碗と前に形容しがたいものです。

この茶碗は小ぶりで、とても手になじみます。
また、窯変が一律ではなく、さまざまな景色をみてせくれます。
特に、いたるところに丸い「焦げ」のような窯変が見受けられます。

腰の部分には、ひびが入っていて、落ち着いた景色に力強さを与えています。

器な生活-岸野茶碗2

見込みは実際の容量よりも大きく感じられます。
また、見込みの中にも窯変の丸玉がちらほら。

水をはると、より一層この窯変がクリアになって、
夜空を眺めているような雰囲気をかもし出します。

高台のバランスも絶妙です。

器な生活-岸野茶碗3

小ぶりな茶碗なので、高台も大きくはありませんが、
とにかく収まり具合がいいのです。
しかも安定感が抜群です。

形状も景色も決して目を引くものではありません。
でも、見れば見るほど味が出てくる。

形状や色彩を最小限度まで突き詰めたミニマルな美しさ。
窯変やひびなどの偶然性が生み出すおもしろさ。

バウハウスとジョン・ケージを足して二で割ったような精神性を感じさせる一品です。