箱ができて、鈴木大弓 さんの茶碗が我が家にやってきました。
そば茶碗と呼ばれる茶碗です。


器な生活-大弓1

そば茶碗は高麗茶碗と呼ばれる器の一種です。
形状的な特徴としては、まず平たいことが挙げられます。
また、この茶碗は全体的に薄づくりで、丁寧にロクロを挽いています。

また、そば茶碗は高台周辺に色々と約束があります。
まず、高台脇の部分はぷっくりとしています。

器な生活-大弓3

高台の中は「うずまき兜巾」と呼ばれる渦巻きがみられます。
この茶碗では高台際に「かいらぎ」も出ています。

茶碗の内側の約束事は、
中央の見込みの部分が一段落とし込みのように、
掘り下げられています。

これは他の高麗茶碗にはない特色です。

器な生活-大弓2

この茶碗には「目あと」もちゃんとあります。

目あとは小さい陶土の団子をおいて、その上に別の茶碗を乗せて、
何枚か重ねて焼成するためにできる焼き残しです。
写真では白くなっています。

また、地肌にうっすらと赤みを帯びた部分が見られます。
これを「御本」といいます。

釉薬が結晶化して赤い斑点になるのですが、
窯変のもっとも美しいものだといわれています。

このように、鈴木さんのそば茶碗は、
そば茶碗が持っていなければならない条件を、
見事なまでに備えています。

徹底的に古典を追求することで、
オリジナリティを生み出していく作陶には、
驚かされてしまいます。


器な生活-大弓4


新しい茶碗が手元にくると、
まあ、お茶を飲みたくなるのが人情。

さっそく、餅匠「しずく」 のお菓子を買って、
お茶を頂きました。