Literary Walk in Richmond | Have a cup of tea

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リッチモンドの文学ウォーキングツアーに参加した。


このツアーは、ツーリストインフォメーションに置いてあったリーフレット(Heritage Walks & Talks)に紹介されていたもので、ジョージ・エリオットやヴァージニア・ウルフほか、リッチモンドに縁のある作家や著名人の住んでいた家などを訪ね、その人生や作品などについて紹介するというものだった。参加料は、ツアー後、ホテルでのお茶が含まれて5ポンド。これはロンドンで開催されている他のウォーキングツアーと同様、事前の予約なしで、当日、集合場所に行くと参加できる。この文学ツアーは、11月の毎週日曜に開催されているものだった。


午後2時に集合場所のRichmond Theatre劇場前に行くと、ガイドの女性がバッチを付けて立っていた。当日は霧雨で気温も10度以下と低く、あいにくの天気だったが、参加者は12名とツアーは盛況だった。


文学ウォーキングツアー


まず、劇場から歩いてすぐのリッチモンドアダルトコミュニティカレッジの近くまで行き、ジョージ・エリオットが住んでいた家の近くで(現在は公的機関の所有で実際にその家を見ることはできなかったが)、彼女についての生い立ちや作品、既婚者との出会いと同棲、年下の夫、当時の社会状況などを説明してくれた。その家でエリオットは”Adam Bede(アダム・ビード)”などを執筆していたとのことだ。


次に、劇場前にあるリッチモンドグリーンに移動し、そこは周辺が家に囲まれている緑地だが、その家は著名な作家たちが住んでいたのだそうだ。リッチモンドグリーンに面した一角に、お城のような門が残っているが、ここはかつてリッチモンドパレスと呼ばれ(元はシーンパレス)、エリザベスI世らが滞在し、シェイクスピアの劇団が女王のために劇を上演していたそうだ。

リッチモンドグリーン



リッチモンドパレス跡


また、チャールズ・ディケンズも休暇でたびたびリッチモンド周辺を訪れており、彼の作品にはそれらの土地の描写がよく登場するそうだ。そういえば、今BBC1で放映されているディケンズの『リトル・ドリット』を観ていたら、Twickenham (トウィッケナム)という言葉を聞いた。


そのトウィッケナムはリッチモンドの隣の町だが、そこには詩人のポープが、また、やはり隣接するシーンには『トム・ジョーンズ』を書いたヘンリー・フィールディングも住んでいたそうだ。また、『カンタベリー物語』を書いたジェフリー・チョーサーの名前も出てきた。


また、リッチモンドグリーンにあったゴシックスタイルの建物の前では、トウィッケナムにあるストロベリー・ヒルという別荘に住んでいたゴシックホラー小説の祖と呼ばれる作家ホレス・ウォルポールについても言及していた。


ゴシックスタイルの建物


その後、少し歩いて街中を抜けたところにあるヴァージニア・ウルフが住んでいた家に行く。ここはブループラークが付いているが、ここでヴァージニアの夫が出版業を営み、精神を病んでいたヴァージニアはそのセラピーのために、夫の作業場で活版印刷の作業をしていたという。ガイドさんは、その細かい作業にセラピー効果があるのかどうか疑問だけど、と言っていた。そういえば、映画’The Hours’(邦題:『めぐりあう時間たち』)で、リッチモンドに住むヴァージニア(ニコール・キッドマン演じる)の様子を描写している。


ヴァージニアウルフの住んだ家


ヴァージニア・ウルフの住んだ家


そして、同じ通りにある教会に移動し、エドマンド・キーンという俳優の墓碑などを見る。キーンは19世紀初頭にロンドンの劇場でシェイクスピア劇などを演じて活躍し、リッチモンドに住んでいたそうだ。


エドマンド・キーンの墓碑


教会


リッチモンドに縁のある人物の詳細については、以下のサイトに掲載されている。


リッチモンドの歴史



途中で逢った猫


ツアーの最後には、リバーサイドホテルという、名の通りテムズ川が望めるホテルで紅茶、コーヒーとビスケットをいただく。ティールームには暖炉に火が入っており、ホテルの猫も出迎えてくれて、Cozyな雰囲気のなか文学ツアーは幕を閉じたのだった。


ホテルからテムズ川の眺め


ホテルの猫



この日はテムズ川の満潮の日で、夜までには川沿いのフットパスは水が冠水していた。

テムズ川の満ち潮