男女の会話71

「除夜のカネゴン」


男:こんばんは。男です。
女:こんばんは。除夜野 鐘子(じょやの かねこ)です。
男:取って付けたような名前にしたな。
女:じゃあマンさんにも取って付けたような名前を付けましょうか。
男:できればやめてほしいけども…。
女:除夜野 鐘権(じょやの かねごん)でいかがでしょうか?
男:却下や。
女:即答ですな。
男:しかもその名前やったら、キミと親戚か兄妹みたいな感じになってまうやん。
女:夫婦がご希望で?
男:やめろ!!ってか、そっちもあったか…気付かんかった。
女:照れんでもよろしいですがな。
男:嫌がっとんねん。しかも“かねごん”ってウルトラシリーズに出てくる怪獣やないか。
女:それは“カネゴン”ですよね。Wikipediaによりますと…

金入れのような頭部は一見するとカエルやアンコウのようで、口はジッパーの歯が付いたがま口で大きな舌があり、その下にはそばかす状の黒い粒々模様がある。頭にあるとげは相手に馬鹿にされないように強く見せるもので、目はお金の方を向いて細長く2本飛び出しており、垂れてぎらついた眼球からは感情が高ぶると涙がこぼれ落ち、怒ると煙を噴出する。10キロメートル先まで見える視力を持っており、額の大きい金はさらによく見える。左胸にはレジスターが付いており、その中身のコイン選別腸[3]によってコインの本物と偽物を見分けることができ、腸の鑑定液による分別を経て、本物のコインから金属エネルギーを吸い取る。それと同時に鑑定神経の作用でレジスターを動かし、食べた本物のコインの量に伴ってレジスターの数値が上がり、カネゴンの活動エネルギーに変換される。

女:ってな感じですね。まさにマンさんそのものですやん。
男:どこがやねん。ほんまにそんなんや思われるからやめてくれ。
女:追加しますと…

足の甲には2つのボンボンがあり、地面を踏むたびに光りだす。

女:それなんてまんまマンさんですよね?
男:オレってどんな人間やねん?
女:どんなって、こんなんですやん。




男:……意外と可愛いな……。
女:でしょう?
男:でしょう?やあらへんねん。こんな姿で生きてられるか!!
女:年越しそば、食べました?
男:急に話変えんなや。
女:あたしはまだ食べてまへんねん。
男:オレもまだ食ってへん。
女:マンさんはどんな年越しそばですのん?
男:どんなって、普通のそばやけど。
女:普通のそばでっか。…って、なんか話が広がりまへんなぁ。
男:しゃーないやんけ。普通のそばやねんから。
女:あたしの年越しそば、ちょっと変わったそばにしたろかいな。
男:マジか。どんな風に?
女:たとえば…中華そばとか。
男:そばはそばでも中華そばってか。じゃあ黄色い麺やな?
女:そうそう。なるととかメンマも入れたりね。
男:年越しそばとしては確かに変わってるけど、ただ中華そばになったってだけやん。
女:おもんないでっか?
男:いまいちやな。
女:じゃあ、割った竹の滑り台の上から中華そばを流して、それをすくって食べる“流し年越し中華そば”なんてどうでっか?
男:それはかなり変わってるな。でもなんか不味そうやな。
女:焼き豚ともやしとネギも足しましょうか?
男:もっと不味そうになったわ…。
女:あたしのそばかすも見せたりまひょか。持ってけドロボー!!
男:見たないし。なんでキミのそばかす見なあかんねん。
女:じゃあフランク永井の『おまえに』でどうでっか?
男:フランク永井の?『おまえに』?
女:そばにい~て~く~れる~♫って歌詞でしたよね?
男:よう知っとるなキミ。いやそれ歌の歌詞やん。あの“そば”とは関係ないやん。
女:ほんなら…郷ひろみの『そこに居てくれるだけでいい』なら?
男:似たようなタイトルやな。ほんでもはや“そば”が入ってへんし。
女:作詞作曲は“うどん粉が薫ってますのに。
男:やっぱり”そば”ちゃうやん。せめてそば粉を薫らせろや。ほんで“うどん粉が薫る”やなくて“近藤薫”やろ。
女:ちなみに編曲は“席順二郎”みたいですね。
男:“関淳二郎”な。なんの席順やねん。そば屋の席順か?年越しそばはどこいった?
女:マンさん、めっちゃよう知ってはりますな。さすが年のなんとやら。だてに年老いてまへんな。
男:“年の功”ってゆーた方が楽やろ。ほんで年老いてとかゆーな。まだまだ若さ溢れとるわ。
女:溢れさすんならお盆の上にしといてください。周りが汚れるんで。
男:汚れるとかゆーな。
女:除夜の鐘って、人間の煩悩の数である108回鳴らすって言いますよね?
男:置いてけぼりにすんなよ💦
女:マンさんの煩悩の数は何個なんでしょうね?
男:はぁ?人間やねんから108個やろ。
女:あ、人間なんですね?
男:人間やなかったらなんやねん!?
女:カネゴンかと…。
男:ちゃうし!!
女:ちなみにあたしの煩悩は人間より1個多いんですよ。
男:1個多い?ってことは109個か?
女:そうそう。だからわざわざ渋谷の109前で年を越します。
男:渋谷の109…全く関係ないやないか。……ってかキミ、もしかして渋谷の近くに住んでんのか?
女:いやいや、渋谷のタワマンってゆーてもーたらちょっとマズいんで勘弁してくださいよ。せいぜいチンケなタワマンって事で…。
男:その言い方、ゆーてもーてるようなもんやないか。
女:まぁそれは冗談です。渋谷の交差点付近で年を越すやなんて、あたしはまっぴらごめんですわ。
男:じゃあ、静かに家で年を越すわけやな?
女:チンケなタワマンの中でね。マンさんは府中の日本最大の刑務所の中ですよね?
男:誰と間違えとんねん?なんでオレが府中刑務所の中で年越さなあかんねん。
女:あ、府中市郷土の森博物館でした?
男:そこどこか知らんねんけど。
女:しかもプラネタリウムで星を眺めながらでしょ?めっさロマンティックが止まりまへんな💕
男:キミ、頭大丈夫か?
女:あ、間違えました。三鷹のホストクラブでしたよね。
男:ちゃうし!!なんでオレが三鷹のホストクラブで年越さなあかんねん。
女:なんでて、お仕事しながらですやん。
男:いやオレはホストやなんてゆーた事ないぞ?
女:カネゴンみたいなホスト…なかなかインパクトあって指名ナンバー1も夢じゃないですね。
男:全く想像つかんわ。ってかなに?このわけの分からん会話。
女:せっかくの大晦日ですから。大晦日スペシャルバージョンです。
男:要らんて。普通の会話にしてくれよ。
女:普通の会話ですね?普通の会話って事は、自動的に普通の大晦日って事になりますな。
男:自動的にってなんやねん?普通の大晦日に普通の会話でええやないか。
女:なるほど、マンさんの希望が見えてきました。
男:オレの希望?なにそれ?
女:普通の大晦日にあたしと普通の会話しながら、普通の初夜の鐘を聞きながら年を越したいって希望ですね?
男:初夜の鐘ってなんやねーん!?やめてくれーーー!!
女:はい、ってな事で今年もお世話に…
男:おいおいおい、こらこらこら。なに勝手に終わらせようとしとんねん?
女:まだ終わりまへんのんか?あんまり長いと誰も読んでくれまへんで?
男:う……それを指摘されるとちょっと💦
女:でしょう?
男:じゃあ、今年最後の会話はこれにて撤収とするか。
女:はいはい、今年も色々とお世話になりました。
男:こちらこそ。来年もまたよろしくな。
女:来年もありますのん?
男:( ̄▽ ̄;)
女:これで最後かと思ってましたのに。
男:やりたくないってか?
女:うーん…年越してどんな初夢を見たかによりますかね?
男:どんな判断やねん…。初夢に頼るんかい。
女:まぁ来年の事は来年に考えましょう。
男:なんかモヤモヤするけど、そうするか。
女:取りあえず無事に今年が終わりますように…。
男:そうやな。じゃあ解散。元気でな( ´ ▽ ` )ノ
女:はいはい、ほなね~♪

終わり