男女の会話52

「観光大使になりたい」

男:こんばんは。男です。
女:地球のみなさん、こんばんは。女です。
男:キミは地球外生命体なんか?
女:そーゆー設定もおもろいかもですね。
男:設定ならええけど、ほんまにそうやったら勘弁してくれよ。
女:なんで勘弁なんですか?
男:だってなんか怖いやん。口から腕かなんかが伸びてきそうやし。もしそうなら今すぐカミングアウトして、故郷の星に帰ってくれ。
女:そんな酷い仕打ち…。椅子完樽まで遠いのに。交通費くださいよ。
男:そこの生命体かい!来れたんやったら当然帰れるやろ。交通費なんてどんだけかかるんかわからんしな。
女:まぁ設定上はね。
男:キミの設定は自由自在やろ。なんでもありみたいやし。
女:自由自在よりも自画自賛ですかね?
男:嫌な設定やな。やめた方がええぞ。
女:冗談ですがな。あたしほど自分に自信の無い女はおりませんから。
男:どうだか…。なんか今までのキミを見てると両極端に見えるけどな。
女:両極端とは?
男:だから、自信満々に見えたり自分を卑下しまくってるように見えたり。ちょうどええ感じが少ないと感じる。
女:そうでっか。ちょうどええ感じの大人やとは思ってますねんけどね。
男:そこは自信あり気やな。キミがよく言う“ええ感じの大人”って、どんな大人なんかさっぱりわからんねんけど。
女:それは人それぞれですから。あたしが思う“ええ感じ”とマンさんが思う“ええ感じ”は違うと思いますよ?
男:なんか曖昧にされてる感しか無いんやけど。
女:曖昧もおもろいやないですか。ハッキリもええけども、曖昧な存在もあって当然やし必要やと思います。以上、CNNのエチオピア特派員からのレポートでした。お疲れ様です。では失礼します‥…━━━ΣΣΣ≡ヘ(*-ω-)ノ
男:逃げるな逃げるな。なに勝手にわけの分からんことゆーて会話終わらそうとしてんねん。まだ早いぞ。
女:さすがマンさん。バレバレでしたね。
男:世界中の人からバレてるって。いや、世界中の人がこれを読むことなんてないけどさ。
女:椅子完樽星人の朝の新聞なみに読んでまっせ。
男:キミの星の人は朝に新聞読むんかい?地球人は新聞離れしてんのに。偉いとゆーべきかアナログとゆーべきか…。
女:褒めるかけなすかどっちかにしてください。曖昧は嫌いです。
男:さっきは曖昧は必要やとか高らかにゆーてたやないか。
女:時と場合によるってゆーてませんでしたっけ?
男:ゆーてへんな。
女:話は変わりますがええでっか、マンさん。
男:都合が悪くなるといきなり話を変えるよな。
女:臨機応変にならんと、この現代社会を生きていけまへんからね。
男:えらい大そうなことゆーとんな。
女:あたし最近思ってる事があるんです。
男:いきなりかい。思ってることってなんや?
女:観光大使になってみたい。
男:観光大使?キミが?なんでまたそんな…。
女:なんか面白そうですやん。仕事で観光もできそうやし。
男:いや、観光なんて遊び、できひんに決まってるやん。自分でできると思ってるんか?
女:できるでしょ。日本語も一応覚えてるし。
男:キミ、外国人なんか?
女:いやそれはアメリカンジョークですけど。
男:どこがアメリカンやねん。ほんで観光大使ってそもそもその地域にゆかりのある人間やないとあかんみたいやで?キミはどこの観光大使になりたいん?
女:グランドキャニオン国立公園です。
男:アメリカやないか。日本ちゃうかったんかい。
女:そんなんゆーてませんやん。それこそ世界を股に引っ掛けたグローバルな観光大使になりたかったんで。
男:そんなとこに引っ掛けたらあかんやろ。それにキミはグランドキャニオンにゆかりがあるんか?
女:実は若かりし頃のあたしのあだ名が『グランドキャニオンゆかり』やったもんですから。
男:名前の“ゆかり”ちゃうし。“ゆかり”の意味がちゃうし。しかもそのあだ名で呼ばれた経緯を知りたいわ。めっちゃ興味あるわ。ぜひ教えてくれよ。
女:それはまた…おいおいって事で。
男:今はあかんのかよ。結局このまま忘れてまうんやろうな。
女:マンさんが自分でメモしといてくださいよ。自分の頬骨の辺りに。
男:見えへんがな。忘れさせようって魂胆か?
女:マンさん、毎日鏡の前に立って顔見ますよね?その時に分かるでしょ。
男:ああ、なるほど。だったら気付くか。って…そんな顔して外に出られんやんけ。かっこ悪い。
女:『グランドキャニオンゆかりのコンパニオン・ライフ』ってタイトルでスピンオフの物語としていつかご紹介しますから。
男:なんだか怪しいタイトルやな…。キミの若かりし頃ってヤバそう。
女:観光大使の話に戻ってよろしい?
男:ああすまん。その話やったな。どうぞ。
女:ゆかりのある地域で観光大使…でしたよね?
男:そう。それで考えてくれ。
女:だったら屋久島の観光大使になりたいです。
男:屋久島か…なんかもう観光大使だらけって感じがするわ。しかしキミは、屋久島になにかゆかりがあるんかいな?
女:実は若かりし頃のあたしのあだ名が『縄文おすぎ』やったもんですから。
男:まるで屋久島の縄文杉みたいやないか。ほんまの話か?
女:ほんまほんま。ほんま過ぎて嘘みたいになってますが。
男:だから嘘やろ。絶対嘘やわ。
女:あとはですねぇ……
男:人の話を聞けや。
女:北海道のオコタンペ湖の観光大使にもなりたいです。
男:今度は北海道?日本だけでも南から北へと、広範囲にもほどがある。ほんで…ゆかりは…もしかして……
女:はい、そのもしかしてです。実は若かりし頃のあたしのあだ名が『おこたんのペコちゃん』やったもんですから。
男:ええ加減にせーよ?どう考えても嘘やろそれ。さっきからキミは若かりし頃にどんだけあだ名があんねん?
女:ほんまですってば。嘘に聞こえるんでしょうけど。
男:嘘にしか聞こえんけどな。
女:ゆーときますがマンさん、よう聞いといてください。
男:なんや?
女:オコタンペ湖はですね、北海道の千歳市西部にあるんですけども、然別湖近くの東雲湖、阿寒湖近くのオンネトーと並び、北海道三大秘湖と称される神秘の湖なんです。
男:神秘の湖…それで?
女:それで、鬱蒼と生い茂る原生林に囲まれているため湖の全景は見られませんが、どないかすれば素晴らしい展望が見られます。ちょっとエロい表現に聞こえますけど。
男:キミがゆーとエロく見えてまうねんて。ほんで、どないかすれば…神秘の湖が見れるんやな?どないかってとこがえらい曖昧やねんけど。
女:わざと曖昧にしたんですやん。うまいこと覗き見してください。すると、季節や時間帯、太陽の当たり方、見る角度によって、湖水の色がコバルトブルーやエメラルドグリーンに変化。オコタンペ湖には人を惹きつけてやまない不思議な魅力があるんです。
男:覗き見…やっぱりエロい表現やん。でも不思議な魅力ね…なんとなく想像できるわ。そうやって聞くと実際に見に行きたいなとは思う。
女:でしょ?まさにあたしがオコタンペ湖の観光大使として最適でしょ(^^)v
男:最適とまでは言えんけど。なんせゆかりが単なるあだ名やし。あ、聞きたかったんやけど…
女:なんでも聞いてください。
男:あだ名が『おこたんのペコちゃん』ってそもそもどーゆー意味?
女:怒りっぽいペコちゃんです。
男:えーっと、ペコちゃんってあの不二家の?
女:そうです。不二家の下ぶくれの女子ね。
男:あのニッコリした女の子が怒りっぽいってか?
女:はい。あの女の子が怒ってる顔をイメージしてもらえればええかと。
男:可愛くないな、そのイメージ。
女:あたしは可愛くないですから。
男:そーやろな。だけどあだ名はそうやったとして、だからと言って北海道のオコタンペ湖とは全く関係ないやん。
女:似てるでしょ。
男:似てるのは響きだけやろ。
女:それだけ似てりゃゆかりがあるっちゅーても文句言えまへんよね?
男:そーか?
女:そーに決まってますがな。まぁ他にも『阿寒湖』とか『摩周湖』とか『支笏湖』とかありますけど。
男:他にもあだ名を用意しとんかい。それはもうズルやんけ。
女:一番のお気に入りは『滋賀びわ子』です。お土産は『フナずっしり鮒ずし』ね。
男:ほんまに呼ばれてんか?ちゃうやろ?それはもはや、キミのペンネームみたいなもんちゃうの?
女:ペンネームて。あたしは物書きちゃいますから。そもそも物書くの大嫌いでして💦
男:だけどあだ名は考えるの好きなんやな。
女:大好きです。
男:ほらやっぱり!!ほんまに呼ばれてたあだ名やなくて考えた名前やったんやん!!
女:あ、しまった…(ㅎ.ㅎ )
男:だからあんな観光大使とか言いながらさもゆかりがあるように見せかけるために、適当にあだ名を考えたんやろ。
女:『京都どす恵』もなかなかええでしょ?
男:やかましいわ。まだあったんかい。
女:京都らしいドリンクも考えましたよ。
男:いや、今そんな話ちゃうから。
女:『八坂ジンジャーエール』とか。
男:それって単なる駄洒落やないか。
女:食べ物やと『地下鉄至上カラス饅頭』とか『八つ当たりおたべ』とか。
男:もうクォリティ低空飛行の駄洒落のオンパレードやな。
女:お楽しみスポットなら『ウズウズ太秦映画ムラムラ』ってゆー喫茶店とかね。
男:大人の怪しい喫茶店か?もしかして変なお店か?夜に開店する感じか?
女:新しいご当地キャラも考えてあります。
男:そこまで考えたんか。
女:『正義のあらしやマン』は観光客でカオス状態になった渡月橋で『渡月橋ビーム』を発射して秩序を正すんです。
男:ただの交通整理やないか。
女:もちろん『あらしや饅頭』は定番の歩きながら散策スイーツです。
男:定番なんや。でも不思議とその定番の饅頭がどんな饅頭なんかは知りたいとも思わんけど。
女:あと鴨川には新たな施設を作ります。
男:鴨川に?どんな施設?
女:水族館です。カップルは料金が割り勘になるとゆー『カップル割り勘サービス』が受けられます。
男:へ~カップルのサービスか。割り勘…ん?…いや別に払うのと一緒やん。特別感ありそうな言い方してるけど。なんの得にもなってへんやん。
女:そーゆー取り方をされがちですよね~。
男:それしかあらへんがな。ほんでその施設は、名前は考えてあるんか?
女:もちろんです。その名も『鴨川シーワールド京都』です。
男:それって千葉の『鴨川シーワールド』のパクりやん。
女:でも鴨川は京都にもありますやん。
男:あるけど海からめっちゃ遠いぞ?ほんであまりにも名前がそっくりやん。鴨川は鴨川でも、もうちょっと違う名前にせなあかんやろ。
女:『かもがわかも~ん水族館』とかどうでっか?
男:ん…さっきのよりはマシかな…。
女:キャラクターもいてまっせ。
男:そんなもんも用意してんのか。どんなキャラクターなん?
女:可愛い鳥をデザインしたゆるキャラちっくなキャラですねん。
男:ほぉほぉ。それって、やっぱり鴨をモチーフにしてるんやろ?
女:鳩です。
男:なんで!?普通はそこは鴨やろ。おかしいやん。
女:だって鴨川の河川敷って、鳩だらけですやん。
男:だからってそれをキャラクターにする?施設の名前からしても合わんやろ。
女:ええですやん。「かも~ん♪」って大声で鳴きまっせ。
男:気持ち悪いっちゅーねん。あかんあかん。キミには観光大使は任せられへん。ほんでそもそも観光大使って芸能人や有名人がなるもんやねん。
女:え?
男:キミは一般人やから、なれるとしたら“ふるさと大使”やな。
女:マジでっか…。ターイムショーック。
男:キミ、タイムショックって知ってんのか?
女:それは田宮二郎も含めて知りまへんけど、とってもショックって事です。
男:ええやん。だって意味的には一緒やろ、多分。
女:観光できるんでっか?
男:いやそーやなくて。
女:じゃどこのふるさと大使になろうか考えますわ。
男:キミのふるさとが一番やろ。
女:って事は、大阪?
男:やっぱり(笑)
女:大阪は…天下の台所やからもういっぱいおるでしょ。観光大使もふるさと大使も。
男:天下の台所は江戸時代ちゃうかったっけ?じゃ親御さんのふるさとは?
女:えーっと…あ、それはこの男女の会話では伏せときます。
男:他ではええんかい。
女:他は構いまへん。
男:なんやねんそれ。意味わからんけどまぁええわ。そろそろ今日は撤収しよか。
女:えー観光大使になりたかったのに~。じゃお疲れ様でした~‥…━━ε=ヘ(*`゚ω´)ノ
男:こらこら、待て待て、勝手に終わって帰るなよ。
女:ちょっと疲れましたんで。
男:オレも疲れたわ。わかった。もう終わるからあとでゆっくり休んでくれ。
女:このあと腹筋・腕立て伏せ運動を100回やりますけどね。
男:元気やな。ほんまに疲れてんのか?
女:懸垂も100回やって、そのあと検尿1回ね。
男:なんで検尿?病気なん?
女:趣味です。
男:どんな趣味やねん!?まぁええ。じゃあまた今度な。元気でな( ´ ▽ ` )ノ
女:また春にね~ってそんな先かい!!ってツッコみが欲しかった。ほなね~♪

終わり